税務調査で追徴課税されない・軽減するための対処法とは
- 追徴課税は、本来納付されるべき税額が納付されていない場合に追加で課される税金を指します。
- 追徴課税を受けると本来支払うべき税額よりも多い税金が加算されることになり、企業や個人事業主としては大きな経済負担となります。
- 税理士と相談したうえで、追徴課税の金額だけでなく今後の税務調査の影響なども考慮して交渉の落としどころを見出しましょう。
企業の経営者や個人事業主の中には税務署による税務調査への対応だけでなく、その結果次第で追徴課税を課せられるケースもあります。
そこで今回は追徴課税の目的や種類などの内容を説明するとともに、追徴課税を課されないための対処法、負担の軽減方法などをご紹介します。
税務調査とは、税務署等が会社や個人事業主の税務申告の内容が税法に沿って適正に処理され申告されているかどうかを確認するために実施される調査です。
調査官は帳簿類や企業に関する資料等を利用して申告内容が税法に沿って適切に処理されているかをチェックし、その結果、問題がなければ申告は「是認」され、追加の税金も発生しません。
しかし、申告内容に誤りなどが指摘されると、申告者には修正申告等が求められ、追加の納税義務などが生じることになるのです。
追徴課税は、納税者が税務署に提出した申告書の法人税等の税額が正しくない、あるいは未提出であるなど、本来納付されるべき税額が納付されていない場合に追加で課される税金を指します。
この追徴課税には税法に基づいた正しい税額との不足分だけでなく、「期限内に納付されていない」「税法に適さない税務処理をしている」などの場合には罰金としての追加の税金も課されるのです。つまり、追徴課税は納税額の不足分を徴収するとともに、ペナルティーを課す目的でも実施される税金と言えます。
誤った申告や不正な申告は行政的な制裁としての追徴課税が課されることになります。
追徴課税の種類には「延滞税」「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」などがあります。それぞれ見ていきましょう。
・延滞税
延滞税は税金の法定納付期限までに納付しなかった場合に課される税金で、その納付期限の翌日から納付するまでの日数に応じて課されます。なお、延滞税は以下のような計算されます。
①納期限の翌日から2月を経過する日まで
原則として年7.3%とされ、特定の期間については別途定められた税率が適用されます。
②納期限の翌日から2月を経過した日以後
原則として年14.6%で、特定の期間については別途定められた税率が適用されます。
・過少申告加算税
過少申告加算税とは、期限内に税務署へ申告したあとに税務調査で誤りが指摘されたことで修正申告を行う、または税務署からの更生処分を受けることで期限内申告より税額が増える場合に課される罰金です。
調査通知以後かつ更正予知前に行われた修正申告に基づく過少申告加算税の税率は原則5%ですが、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については10%になります。
また、更正予知後の修正申告の場合の税率は原則10%で、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については15%です。
・無申告加算税
無申告加算税とは正当な理由なく期限後に申告したり、所得金額の決定を受けたりする場合に課される税金です。無申告加算税の各年分の税金の計算では、原則的には納付すべき税額の50万円までは15%が、50万円の超の部分は20%が乗じられます。
なお、税務署の調査を受けるまでに自主的に期限後申告すれば、無申告加算税は5%を乗じることになり、納税額が少なく済みます。
・重加算税
重加算税とは税務申告にあたり二重帳簿、帳簿書類の隠匿、虚偽記載などによる隠蔽や仮装等が実施された場合に課せられる税金です。こうした隠蔽等の行為は悪質であるため、重加算税が最も重い税として課せられます。
重加算税は、申告書を提出していた場合では増差税額(未納にあたる税金部分)に35%を乗じ、申告書を提出していない場合は40%が乗じて計算されます。
しかし、期限後申告等があった日の前5年以内に重加算税が課されていると上記の割合は各々10%増え45%と50%になるのです。
追徴課税を受けると本来支払うべき税額よりも多い税金が加算されることになり、企業や個人事業主としては大きな経済負担となります。
特に重加算税では35%や40%といった重い税金が課されられるため、事業運営に支障をきたすこともあるでしょう。
また、追徴課税を受ける理由が悪質な脱税行為である場合、その後も税務署からマークされて頻度の高い税務調査が実施される可能性が高まり、調査自体が厳しくなる恐れもあります。
さらに大企業などの場合、悪質な不正行為はニュースや新聞などで報じられることも多いため、世間の注目を浴びて批判の的となります。企業イメージが大きく損なうことになるでしょう。
もちろん適正に税務申告を行い、追徴課税を回避できれば余分な税金を支払う必要はなくなります。追徴課税分のキャッシュを慌てて用意するような資金繰りの苦労をすることもありません。
このとおり、不正申告には厳しいペナルティが課せられることにあるため、普段から正しく帳簿をつけて、信頼性の高い決算書、確定申告書を提出する必要があるわけです。
税務調査の対応の仕方について知りたい方はぜひ!
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