税務調査で追徴課税されない・軽減するための対処法とは
- 追徴課税は、本来納付されるべき税額が納付されていない場合に追加で課される税金を指します。
- 追徴課税を受けると本来支払うべき税額よりも多い税金が加算されることになり、企業や個人事業主としては大きな経済負担となります。
- 税理士と相談したうえで、追徴課税の金額だけでなく今後の税務調査の影響なども考慮して交渉の落としどころを見出しましょう。
税務調査時に追徴課税の対象となりやすい経理処理内容を見直し、適正に修正することで追徴課税を回避できるケースがあります。
税理士の協力の下、次に示す項目などを修正して対処しましょう。
申告年度に計上にすべき売上を何らかの理由や誤りにより次期に計上していれば追徴課税の対象になるため、そうした売上計上の時期のズレや計上漏れがないか確認し、あれば修正しておきましょう。
申告後に売上計上のズレが発見した場合などは、税理士と相談し修正申告を行うどうか検討しなければなりません。申告後のチェックでは業年度の切り替わる前後の時期の売上と入金の関係に着目して確認すれば、売上計上のズレにあたる計上も発見しやすくなります
仕入の増加は、「売上原価の増加⇒利益の減少⇒税金の減少」に繋がるため、仕入の誤り、架空の仕入や仕入の水増しなどは税務調査の対象になりやすく、発覚すれば追徴課税の対象になります。
なお「架空の仕入」「仕入の水増し」などは悪質な行為となるため、発見されれば重加算税などが課される可能性も高くなります。そうした悪質な行為を絶対にしないことはもちろん、誤って実際にない仕入を計上しているケースがないかを確認し、あれば修正しましょう。
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在庫計上の誤りや漏れにより在庫高が減少すれば、結果的に税額が少なくなることから在庫の誤りなどは追徴課税の対象になりえます。
輸送途上の発注品、臨時に貸倉庫に保管している在庫、外注先に支給した製品や仕入先の誤った納品書による仕入計上などがないかを決算時に確認し、あれば修正する必要があるでしょう。
人手の多い業種などの場合、人件費の計上に誤りや架空の人件費の計上がないかが税務調査および追徴課税の対象になりやすいため、事前の確認と修正が求められます。
アルバイトなど臨時の雇用が多い企業では履歴書や給与支払いでの領収書などの保存や、人件費の発生の事実を証明できる証拠を揃えておくことが必要です。人件費の架空計上も悪質な行為と判断されるため、そうした事実がない場合でも誤解されないように証拠を提示できるようにしておきましょう。
中小法人では一定額の範囲の法人交際費は損金算入が認められていますが、交際費に当たらないものが交際費として計上されていれば追徴課税の対象になります。
計上された交際費が個人的な目的のものではないかという点が税務調査でチェックされ、そのように認定されればその計上は損金不算入となり税金が多くなるわけです。私的な交際費に当たらないことを証明できるように、いつ、どこで、誰と(のために)、いくら使ったか、をわかるようにしておく必要があります。
・役員が計上した経費や役員への貸付金等
役員が計上した経費が企業とは関係のない個人的な使途である場合は損金にはならないため追徴課税の対象になります。
また、役員への貸付金で利息をとっていない、貸付が長期間に及ぶのに返済がない場合などは役員へ給与とみなされることもあります。役員の給与には定期同額給与などの税法上のルールがあり、上記のような貸付金等は役員への給与扱いとされ税法上の損金に該当しないことから法人税が増えることになるのです。
給与とされた役員では所得税が増えることとなり、税務署としては二重に税金を増やせる追徴課税になります。このようなケースでは税務調査でのチェックが厳しくなりやすいため、誤解を招く経費計上、貸付金や仮払いなどは使途を明確にし、利息の徴収などを実施しておくべきです。
・関係会社との取引
関係会社との間で誤った取引や架空の取引による利益操作の行為がないかもチェックされるケースが多いですが、あれば当然追徴課税の対象になります。
関係会社や他の業者に業務を委託している場合などに、計上された委託費の契約書や発注書などがないと架空の委託ではないかと怪しまれます。誤解されたり、追徴課税に認定されないためには発注書などのほか、業務を受けた成果物の内容を提示できる資料などを用意しておきましょう。
・支出目的が不明の領収書
目的が不明、発行期日が不明などの領収書は損金不算入となる使途不明金となる恐れがあるため、税務調査で指摘され追徴課税の対象になります。
個人的な使途で支払った費用を企業の経費として処理していないかが指摘されることが多いため、同じ内容で計上の多い項目などは時系列の矛盾などがないか社内でチェックしておくべきです。
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税務署の修正申告の指摘に反論できない場合など、追徴課税を回避できないケースもありますが、その際、納税者の負担が軽減される方法を紹介しましょう。
税務調査での税務署の主張をすべて認めればそれに従った修正申告で追徴課税を支払うことになります。しかし、その主張を100%認める必要のないケースも多く、税務署との交渉により追徴課税を軽減することも不可能ではありません。
そのためには信頼できる税理士に相談してその企業の経理処理や税務申告内容および税務署の主張を精査し、粘り強く税務署と交渉していく必要があります。税務署の修正事項や指摘事項のうち追徴課税をできるだけ軽減するために、どれを認めどれを拒否するかといった妥協点を探ることも重要です。
税理士と相談したうえで、追徴課税の金額だけでなく今後の税務調査の影響なども考慮して交渉の落としどころを見出しましょう。
追徴課税の程度は対象となる内容や税の種類によって異なるため、それらを考慮して、税務署と交渉する必要があります。
①税金がある程度取り戻せるかどうかで交渉内容を検討する
たとえば、売上や仕入などの計上の時期のズレを認め、修正申告に応じれば追徴課税を受けることになります。しかし、ズレにより次年度に計上されるはずだったものが修正されれば、次年度では税金が少なくなります。
一方、交際費や役員報酬などでは、その扱いによっては損金不算入とされそれに対する税務署からの修正要求に応じると、追徴課税の税金は次年度以降に取り戻せないことになります。
そのため、取り戻せるものは認めても取り戻せないものはできるだけ認めない方が得になるため、その点を踏まえた交渉が必要になるでしょう。
②追徴課税の取り戻しが困難な場合
税務署との交渉でできるだけ認めないようしたい対象は以下のようなケースです。
・役員や関係会社への貸付等
役員への貸付等の中には給与として判断されるようなケースがあり、その場合は臨時の役員報酬と位置付けられ損金には算入されず追徴課税の対象となります。
しかし、長期の貸付を「会社からもらったもの」と認めない限り給与とは成立しないため、税務署にはその貸付金について利息を付けて返済すると主張すれば、これに関する追徴課税は回避可能です。
なお、税務署が納税者側のその主張を認めない場合でも、修正額をできるだけ小さくなるように交渉することも不可能ではありません。
また、関係会社への貸付等も上記と同様のことが言えます。親会社からの貸付等が関係会社への贈与や寄付と判断されることがあり、その場合は追徴課税の対象となります。
しかし、親会社が関係会社者に支出したお金を「あくまで借りたもので、もらったものではない」と関係会社が主張すれば、贈与や寄付として成立しません。そのため安易に「もらったもの」というような表現は避け企業間の貸し借りであり返済してもらうものと明確に回答すれば、これに関する追徴課税は回避できます。
③交際費
交際費は支出した費用の一部は損金に算入されますが、それ以外は損金不算入となりますが、税務調査でその損金不算入の部分を認定すれば追徴課税となります。
そして、この追徴課税については次年度以降に取り戻すことはできません。そのため交際費に関する追徴課税の認定の交渉では極力応じず、別の対象で応じるなどの対応が求められます。
なお、税務署が納得しない場合でも、内容によっては会議費や福利厚生費等の性格が否定できないなどの理由で修正額の減額が可能となるケースもあるため、そうした交渉も必要です。
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