【まだ白色申告?】 青色申告のススメ〜メリット・デメリットまとめ〜

ポイント
  1. 青色申告のメリット(個人事業主・法人と共通のもの)
  2. 個人事業主のみが対象となる特典
  3. 白色申告と青色申告をした場合の税額比較

目次 [非表示]

3 個人事業主のみが対象となる特典

これまで、個人事業主と法人に共通する青色申告のメリットをご説明しました。しかし、個人事業主のみが対象となるメリットもあります。個人事業主の方のみが対象となる青色申告の特典は、白色申告している方と比較してとても有利ですので、ぜひご参考ください。

3-1 青色申告特別控除の適用を受けられる

現在の制度では、青色申告をして「正規の簿記の原則」にしたがった帳簿を作成し、貸借対照表に加えて損益計算書を作成した場合、事業所得の金額から65万円を差し引くことができます。また、簡易な帳簿と貸借対照表に加えて損益計算書を作成した場合、事業所得の金額から10万円を差し引くことができます。

 

複式簿記+貸借対照表、損益計算書を作成

65万円控除

簡易簿記+貸借対照表、損益計算書を作成

10万円控除

(平成30年4月現在)

しかし、この制度は平成32年に変更となる予定です。簡易な帳簿と貸借対照表に加えて損益計算書を作成した場合に10万円を差し引けるのは変わりませんが、「正規の簿記の原則」にしたがって会計帳簿を作成した場合に65万円を差し引ける制度が、55万円に変更されます。

ただし、電子申告をした場合に事業所得より10万円を差し引ける制度が新たに創設されますので、電子申告をすでにされている方や、今後される予定のある方には影響がありません。

3-2 青色事業専従者給与を支払える

事業を営んでいると、たとえば奥さんに経理を手伝ってもらったり、息子さんに力仕事を頼んだりすることがあります。家族とはいえ無償で手伝ってもらうわけにはいかないので、給料を支払うことがあるかもしれません。

しかし原則として、同居している親族に対してお給料を支払っても事業の経費とは認められません。なぜなら、家庭内のことなので本当にお仕事の対価として支払ったのか、それともお小遣いとして渡したのか区別がつかないからです。

ただし、以下の要件を満たした場合には、同居の親族に支払った給料が経費として認められます。

  • 親族に対する給料が経費となる条件

1.

事業者と生計を一にする配偶者やその他の親族である

2.

その年の12月31日時点で15歳以上である

3.

年間で6ヶ月以上、その事業者が行なう事業に従事している(他のお仕事をしたり、昼間の学校に通ったりしている場合には原則不可)

さらに、以下の要件を満たしていれば、経費計上できる金額に制限がありません。

 

1.

青色事業専従者に対して支払われた給与である

2.

「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の税務署長へ提出している

3.

届出書での記載方法により支払われ、実際に支払われた額が記載金額の範囲内である

4.

青色事業専従者給与の額が、労務の対価として相当だと認められる金額である

表の「2.青色事業専従者給与に関する届出書を納税地の税務署長へ提出している」の場合、届出書の提出期限は、基本的に青色事業専従者給与を算入しようとする年の3月15日までとなります。この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載します

一方、白色申告の方の場合、下記の2つの条件の低いほうの金額という制限があります。

  • 親族に対する給料が経費となる条件(白色申告の場合)

1.

事業専従者が、事業主の配偶者なら86万円、配偶者以外なら専従者一人につき50万円

2.

この控除を行なう前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額

「労務の対価として相当な金額」が具体的にどれくらいなのか判断に悩む方が多いようですが、特別な知識や資格がない方の場合、一般的には月に10万円程度だと言われています。

3-3 家事関連費の一部を損金算入できる

自宅を事務所にしている場合の家賃や水道光熱費、自家用車を業務に利用している場合の維持費やガソリン代など、プライベートな支出とも事業用の支出とも言える支出のことを家事関連費といいます。

白色申告の方の場合には、明確に事業用の支出だと言えるものでなければ経費とすることができませんが、青色申告の場合には家事関連費のうち事業用の支出と言える割合を経費とすることが認められています。

4 白色申告と青色申告をした場合の税額比較

それでは、個人事業主の方が白色申告をした場合と青色申告をした場合、どれほど税額が変わるのか比較してみましょう。

  • 個人事業主のAさんの例

開業1年目は設備投資などの経費がかさんで「200万円の赤字」、開業2年目は「484万円の黒字」になった、月10万円の報酬で仕事を手伝ってくれる専業主婦の奥さんがいるAさん(男性)と仮定してみます。なお、484万円とは30代男性の平均年収です。また、住民税の均等割は所得に関わらず発生するため、考慮しません。

白色申告だと、開業1年目は赤字ですので税額はゼロです。開業2年目は484万円から基礎控除の38万円、配偶者控除の38万円を控除した金額に税率をかけると、所得税が388,500円、住民税が約408,000円で、所得税と住民税の合計は79,500円となります。

一方、青色申告だと、同じく開業1年目は赤字ですので税額はゼロです。開業2年目は484万円から基礎控除の38万円、配偶者控除の代わりに青色事業専従者給与の120万円と、開業1年目の赤字200万円を控除した金額に税率をかけると、所得税が63,000円、住民税が約126,000円、所得税と住民税の合計は189,000円となります。

・開業2年目の税額比較

 

2年目

所得税

住民税

合計

白色申告

388,500円

408,000円

796,500

青色申告

63,000円

126,000円

189,000

したがって、このケースでは、青色申告をしたほうが607,500円の節税となります。さらに、国民健康保険は本人の所得に比例して負担額が大きくなりますので、白色申告をした場合と青色申告をした場合の負担額はより大きなものとなります。

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