起業したての会社が税理士に依頼できる8つの業務とポイント
- 起業支援ができる
- 決算書や確定申告書類の作成ができる
- 税務調査への対応ができる
- 節税・税金対策ができる
- 記帳代行ができる
- 資金調達支援ができる
- 経理・会計指導ができる
- 経営のアドバイスができる
個人事業を含め中小企業クラスの会社を設立したとき、手間となるのが「決算書の作成」「各種税務関係書類の役所への届け出」などです。せっかく会社を作ったのに、経営者自らが経理作業や税務申告の準備に追われて、本業がおろそかになってしまったら、本末転倒です。
そこで経営者の強い味方になってくれるのが、顧問税理士です。税理士は、そうした手続を代行するだけでなく、経営へのアドバイスなどを通じて、会社にとっての心強いパートナーとなってくれます。ここでは、起業したばかりの会社が顧問税理士に依頼する内容や、そのメリットをご紹介します。
そもそも税理士に何かを依頼するのは、会社を設立した後のことと考えている人も少なくないと思います。しかし、設立時もしくは設立直後にもさまざまな手続きが発生します。
例えば青色申告の届出をしなければ、税制上の優遇措置が大きい青色申告で確定申告を行うことができません。また、社会保険、労働保険などの手続きも行わなければなりません。さらに、これから事業を行うに当たっては、銀行や公的機関からの融資を受ける必要がある会社もあるでしょう。融資を受けるに当たっては、事業計画書が必要な場合もあります。
こうしたさまざまな手続きも、顧問税理士がサポートしてくれる場合があります。税理士業務は、おもに税務に関することだけと思われがちですが、最近ではこのような融資に関するアドバイスから社会保険、労働保険に関することなども含め、経営全般に関わるサポートをしてくれるのです。
個人事業主の場合は、ある程度収益が上がってきたとき、株式会社などに変更する「法人成り」というタイミングがありますが、その際の手続きなども顧問税理士に任せると手続きもスムーズに行えます。
「決算」や「確定申告」など、年1回の税務処理をともなう申告書類の作成と申告は、特に経理システムが整っていない規模の小さな会社などでは、手間のかかる作業です。しかしこれは会社として必須の作業だけに、省くわけにはいきません。
もちろん、これらの手続きは自分自身で行うこともできますが、顧問税理士に依頼するメリットは、「早さと正確さ」です。顧問税理士以外の人が作成した申告書には、約8割の計算間違いがあり、その多くは税金の納め過ぎと言われています。
事業主といえども、経理の専門的な勉強をしてきたわけではありませんので、プロ並みの申告書が作れないのは当然です。忙しい経営者は、毎年更新される法律をカバーすることも難しいでしょう。
しかし、顧問税理士に依頼すれば、その道のプロですから、法改正なども踏まえ、適正な申告をしてくれます。税理士が作成した決算書は信用力も高く、後述する税務調査のさいも毅然とした対応で臨むことができます。
例えば、過去の申告で税金の納め過ぎがあった場合も、正しい手続きを踏まえることで、税金も正しく戻ってきます。そうした手続きも税理士が代行してくれます。
また、申告のためには、日々帳簿に記帳したり、領収書をそろえたり、決算期には棚卸をしたりと、さまざまな作業が発生します。
もちろん、経営者が自ら決算書の作成や申告をおこなうことで、会社の経営状況が把握できたり、税務の知識が身につくこともあるでしょう。
しかし、知識不足だったり、段取りがわからなかったりすると、経理業務にばかり時間を取られて本業に集中できないこともあるでしょう。その点、税理士に依頼すれば、記帳などの業務も代行してくれますので、経営者は本業に腰を据えて取り組むことができます。(ポイント5参照)。
また、現在の確定申告では、e-Taxを利用して申告している事業主も増えてきていますが、税理士に依頼すれば、申告書を代理送信してもらうこともできます。その場合、事業主本人の電子証明書も必要ありません。
税務署や国税局から税務調査が入ったときの対応も顧問税理士に依頼することができます。
会社経営をしていると税務調査が入ることがあります。
もし税務署職員に申告内容について質問されたとき、経営者は正しく応えなければなりません。しかし申告内容について自信を持って応えられる経営者は多くないでしょう。
そういうときでも、顧問税理士に依頼しておけば税務署の対応に立ち会ってもらうことも可能です。専門家の立場から、税務処理の内容の正当性を主張してくれるので、大変心強いでしょう。
税務署や国税局は、会社の業種や規模を見て、「通常ならどのくらいの収益を上げているか」という情報を持っていますから、そうした数字と乖離のある会社には常に目を光らせています。
逆に言えば、税務調査が入るということは、税務署側が、会社の申告内容に何らかの不備があるという確信をもって来るということも言えます。その場合、税務申告の内容を正確に応えられなければ、追徴課税などを受けることもあります。
仮に追徴課税を課せられた場合でも、顧問税理士に対応してもらうことで、追加徴税を減額してもらうことが可能になるケースは多々あります。税務調査の結果、追徴課税として100万円以上となることも珍しくありません。しかし税理士を通せば、それを数十万円に減額することも可能です。
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税理士と顧問契約を結ぶ理由として、節税と税金対策を挙げる事業主は多いでしょう。会社を経営する以上、誰もが利益を上げて儲けたいと考えますが、儲ければ儲けるほど税金の負担は増えていきます。
例えば税の対象となる所得が800万円以内なら、法人税率は15%、それに事業税や住民税などを合わせると、約24%の税金がかかります。さらに、所得が800万円以上になると、法人税率が10%近く跳ね上がり、税負担は30%以上となります。1000万円の利益を上げても、300万円は税金で持っていかれるということです。
事業主のなかには、税金の負担の重さに耐えかね、脱税に手を出す人もいます。しかし脱税が見つかった場合、非常に厳しい重加算税などの罰則が課せられますから、脱税という選択肢は考えないようにしましょう。
そこで、顧問税理士に依頼すれば、年間売上と利益を予測し、節税のための対応策を考えて経営者にアドバイスしてくれます。もちろん、脱税をアドバイスする税理士はいません。
節税にはいろいろな方法があります。わかりやすいのは基礎控除などですが、さらに経費の計上の仕方によって節税につながるものもあります。優秀な顧問税理士であれば、そうした節税方法を提案してくれます。
財務基盤の脆弱な中小企業にとっては、節税もお金を残す有効な手段となります。
たとえば、貸借対照表上の課題として、「貸方」の「負債の部」を減らして「純資産の部」を充実させる必要があるとします。純資産の部を充実させる方法は2つあり、1つは資本金を増やす「増資」、もう1つは、「利益剰余金の積み上げ」です。利益剰余金は、損益計算書の「(税引後)当期純利益」から積み上げられていきます。つまり、その年の利益から、支払った税金の残り部分を着実に貯めていくことが必要です。
このように、税金を最低限に抑えるために税理士に依頼し、脱税とされないように調整してもらうことができます。
ただし、税理士のなかには、節税に積極的な税理士と消極的な税理士がいる点に注意です。後者は国税局出身の税理士などに多いと言われますが、その点も踏まえて税理士に相談することをオススメします。