起業したての会社が税理士に依頼できる8つの業務とポイント

ポイント
  1. 起業支援ができる
  2. 決算書や確定申告書類の作成ができる
  3. 税務調査への対応ができる
  4. 節税・税金対策ができる
  5. 記帳代行ができる
  6. 資金調達支援ができる
  7. 経理・会計指導ができる
  8. 経営のアドバイスができる

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ポイント5 記帳代行ができる

記帳代行とは、帳簿作成などの経理業務を代行してもらうものです。平成30年現在、記帳業務は義務化されており、事業主は青色・白色の違いに関係なく、帳簿への記帳と記録の保存を行わなければなりません。

個人事業や中小企業のなかには決算期が迫ると慌てて記帳などの作業を行うところもあるようですが、その場合、誤りも生じやすくなります。誤った申告は、税務調査が入った場合に追徴税金が課されることもありますから、細心の注意を払わなければなりません。

また、記帳の重要性を理解していても、実際には記帳作業が追い付いていない事業主は少なくないと思います。個人事業主の中には、忙しくて記帳業務をする時間を割けないという人も多いでしょうし、経理担当者が辞めてしまったり、あるいは人件費を削減したいために経理を専任で雇用していないという会社もあるでしょう。

・経理業務の丸投げで業務効率化

こういう場合も、頼りになるのが顧問税理士の存在です。税理士には、伝票や仕訳帳、現金出納帳などの帳票類から総勘定元帳を作成する作業や、会計ソフトへの入力なども、丸ごと依頼することができます。会社側は、領収書や通帳のコピー、請求書などを税理士に送るだけで、煩雑な作業は必要ありません。

税理士によっては、記帳代行に限らず、そこから会社の財務状況を把握して、財務体質の改善などを提案してくれるところもあります。また、簿記の知識がない経営者や経理担当者は、税理士に記帳代行を依頼する際、会計ソフトの使い方や記帳の仕方を教えてもらってもいいかもしれません(ポイント7参照で後述)。

税理士に依頼することで、事業主は記帳の煩雑な作業から解放され、本業に集中することができます。また、記帳代行を税理士に依頼することで、経理などにかけていた人件費を抑えることも可能となります。

ポイント6 資金調達支援ができる

顧問税理士に依頼した経験のない事業主の方は意外に思われるかもしれませんが、税理士は、金融機関からの融資などの資金繰りの相談にも乗ってくれますし、さらには融資の協力もしてくれます

例えば、銀行などの金融機関から融資を受けるさいに必要なのが、決算書です。ポイント4の「節税対策」のところで説明した内容とは一見矛盾するように思われるかもしれませんが、節税をすれば納税額が減ります。納税額が減るのは、利益が少ないということを意味しますので、融資の審査に大きく影響します。

・税理士の活用で融資を有利に

そこで、融資を目的とする場合は、顧問税理士と相談をして、あえて節税をしない、もしくは節税額を調整して、融資が得られるだけの利益を残しておくということもできるわけです。

このように、融資のために決算数値をどのくらいの水準に落とし込んでいくかということや、融資に必要な事業計画書の作成など、融資を通すためのノウハウを顧問税理士はふんだんに持っていますので、積極的に活用するといいでしょう。

場合によっては、顧問税理士に依頼して、必要に応じて融資の際の面談などに同席してもらうこともできます。金融機関の担当者からの専門的な質問にも対応してもらえれば、非常に心強いですし、事業主の心理的負担も軽減されます。

銀行以外でも、自治体の補助金や助成金、日本政策金融公庫等の融資を受ける際に、顧問税理士が協力してくれることがあります。特に現在は、中小企業向けの補助金(ものづくり補助金や創業補助金、小規模事業者持続化補助金など)が促進されており、それらの認定支援機関になっている顧問税理士であれば、補助金の申請を積極的に支援してくれます。

ポイント7 経理・会計指導ができる

ここまで述べてきたように、税理士に依頼することで経営者や社員は煩雑な記帳などの業務が軽減され、経営に集中できるなど、さまざまなメリットが生まれます。

しかし、だからといってすべてを税理士任せにしていたら、いつまでも会社にノウハウが蓄積されません。また、税理士と長く付き合う場合でも、経営者や社員自身が経理や会計の正しい知識を身につけることで、より的確な経営判断や業務上の判断が行えるようになります。

そこで、税理士への依頼を通じて、会計や経理のノウハウを会社の中にも蓄積していくのが賢明でしょう。顧問税理士は、納税に対する正しい知識や情報を提供することにより、その会社の経理処理方法に即した適正な決算、会計帳簿の作成方法、会計ソフトの導入やその使用方法、仕分けの入力方法なども指導してくれます。

また、後述するように、財務内容をベースにした経営上のアドバイスもしてくれます。

ポイント8 経営のアドバイスができる

税理士と、経営上のアドバイスを行う経営コンサルティングは別の役割だと考えている経営者も少なくないようです。やはり税務・会計のイメージが強くなりがちですが、実は税理士は、税務・会計のプロであると同時に、多くの企業と関わり、経営者様の悩みを聞き、資金調達に関する金融機関との交渉なども行うことで多くの知験を蓄積しているのです。

加えて税理士は、その会社の記帳代行や帳簿の作成を行うことで、会社の財政状態も熟知しています。財務諸表からは、経営上の問題点や改善点などの膨大な情報が読み取れます税理士は、それらの数値を分析することで、会社全体の経営状況を把握し、その会社の状況に応じた改善策を提案することができるのです

そうした知識、経験を活かし、税理士は経営のアドバイスも行っています。例えば、起業したばかりの会社にとって重要なのは資金繰り、すなわちキャッシュフローです。売掛金の回収前に、仕入れや支払いなどの支出が発生し、最悪、黒字倒産になってしまうケースなどもあるからです。

・税務知識をフル活用

そのため、お金の流れをきちんと把握し、資金計画・財務戦略を立てるうえで、税理士のアドバイスはとても重要です。顧問税理士は、「月次残高試算表」や「資金繰り表」などの帳票類に加え、業績の推移や運転資金の状況を見て、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

お金の流れが安定したら、将来会社を発展させるためにどのくらいの規模の投資ができるのか、そのためには、いくらくらいの融資を獲得する必要があり、会社の財政・経営状況から、どの程度まで負債が許容できるかといった指摘もしてくれます。

このように、顧問税理士に相談することで、直近の資金繰りだけでなく、将来の経営目標に向けての可能性などについても、的確なアドバイスを受けることができるのです。

・税理士は経営アドバイスが本業ではない

ただし、基本的に税理士顧問契約の内容には、経営のアドバイス・提案などのコンサルティング業務は含まれていないということに注意です。税理士に初めて依頼するときや、税理士変更などを行うときは、その税理士が自社の業種を熟知しているか、どのようなアドバイスをくれるのかといったことを確認し、経営パートナーとして相応しい顧問税理士を探すことが重要でしょう。

まとめ

税理士に依頼するとお金がかかると思い、個人事業主の中には、申告なども自分で済ませてしまうという人も少なくないようです。しかし、税金の還付や、青色申告での最大65万円控除などを適正に行えば、顧問税理士への支払いをまかなって余りある節税対策をすることもできます。

ちなみに、年間売上1000万円以下の個人事業主の場合であれば、顧問税理士に毎月来てもらい、帳簿などをチェックしてもらった場合の顧問料は2万円くらいから、同じ売上規模の法人であれば2万5000円くらいからです。心配な人は、まずは税理士に相談してみるといいでしょう。多くの税理士は、1時間以内の相談であれば、ほぼ無料で乗ってくれます。

・個人事業主が税理士に依頼するタイミング

また、個人事業主などが気になるのは、会社がどのくらいの規模になったら顧問契約などを結んで税理士に依頼したらいいのか、ということでしょう。

よく言われる目安は、「売上高1000万円」です。なぜなら、売上高1000万円を超えた個人事業主は、その2年後から消費税の課税事業者になるからです。その場合、消費税の納税額を自分で計算して確定申告を行わなければなりません。

消費税の計算方法は非常に複雑で、消費税法の専門知識が必要となります。個人が会計ソフトなどを使わずに手計算で税額を計算することは、まず困難といっていいでしょう。

そこで税理士の登場です。タイミングとして、売上高が1000万円をこえたら、税理士への依頼を本格的に検討してみるといいでしょう。

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