開業税理士と勤務税理士の年収の違い

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 税理士には、開業税理士と勤務税理士という二つの存在があります。ではこれらの違いに関して、中でも特に収入の面では一体どれだけの差があるのでしょうか。今回はこの開業税理士と勤務税理士の年収の違いをご紹介しましょう。

 まず、分かりやすい結論のデータからお伝えします。

【開業税理士の給与収入金額】
300万円以下 31.4%
500万円以下 16.7%
700万円以下 12.0%
1000万円以下 13.5%
1500万円以下 11.0%
1500万円以上 10.4%
平均収入金額 約744万円

【勤務税理士の給与収入金額】
300万円以下 9.4%
500万円以下 12.0%
700万円以下 14.8%
1000万円以下 23.4%
1500万円以下 20.7%
1500万円以上 17.1%
平均収入金額 約866万円
(出典:第6回税理士実態調査報告書、p144,p304
http://www.nichizeiren.or.jp/suggestion/siryo-1/15.pdf)

 これだけを見てみると、わざわざリスクを冒して開業せずとも、勤務税理士の方がいいじゃないかと思った人の方が多いのではないでしょうか。この事実、意外ですがあまり知られていないのです。インターネットで検索してみると、記事の中には開業税理士の年収相場を3000万円前後としているものもあります。

 これが一体いつ時点の話を参考にした情報なのかは分かりませんが、税理士が全員加盟をすることになっている日本税理士連合会が2014年に調査をした最新の数字では、以上のように開業税理士の平均収入金額の方が低いのです。

 もちろん、あくまでも低いのは平均です。収入の大きさで考えてみた場合、開業税理士の方は年収1億円以上が0.1%いるのに対して、勤務税理士に1億円以上は今のところいません。そういう意味では、もしも税理士として1億円以上の収入を得たいということであれば、やはり開業をする以外他に手はないのかもしれません。

 ところが年収1500万円以上でも、それどころか年収5000万円以上でも、実際のところその割合の方は勤務税理士の方が多いのです。そのため少なくとも年収5000万円以上あれば十分という人にとって、収入だけで見れば今の時代は勤務税理士の方が好ましいと言えてしまうのです。

 ただし、だからと言って必ずしも開業することが好ましくないことかと言うと、これはまた別問題ですのでぜひその点も忘れないようにしておいてください。なぜかと言うと、開業して自分が代表を務めた場合には、収入以外に人それぞれ得られるメリットというものがあるからです。

 例えば勤務税理士であれば、まずほとんどの人が週5日朝から晩まで働く必要があります。ところが開業税理士として働いている場合であれば、極端な話ですが好きな日に休むこともできます。もちろんそれによる売り上げの減少というのはそのまますべて自分の収入へと跳ね返ってきてしまうのですが、ある程度の収入があればむしろ労働時間を短くして自由に働きたいという人からすればこれは嬉しいことと言えます。

 またこの他、開業をする人の中には人間関係を一番の理由に挙げる人もいます。勤務税理士であるかぎり、ほぼすべての場合においてそこには上司がつきものです。この上司との人間関係が良好なものであればいいのですが、もしも性格が合わなければやはり日々の労働が苦痛なものとなってしまいます。そこで人によっては、たとえ少しくらい収入が下がったとしても人間関係を気にせず代表として自分の自由にやりたいという人もいるのです。

 年収の違いだけで見れば、今の時代は開業税理士の方が不利と言えます。しかしそれ以外の面で見れば、全員に共通してどちらがおすすめという話では決してないのです。

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