50代で起業を決意!あるシニア起業者の夢と不安

ポイント
  1. 自分にたりないことで、ある程度知っておかなければならないこと
  2. 新規ビジネス立ち上げに関する事前調査など
  3. チャレンジャーズの活用

目次 [非表示]

これまで国籍の異なる5社で働いてきました。会社規模は1万人~15万人とまちまちでしたが、独立する瞬間、たった1人の会社になります。このギャップ、一言では説明しきれないものがあります。30数年働いた金融業界から卒業し新たな業界で起業しますので、ふたつの大きな不安があります。

1、起業して独立するのはドキドキすると同時に不安だらけ。
2、起業後数年以内に90%以上が立ち行かなくなると言われるなか、何であえて起業の道を選ぶのか?

独立を決意してから、なんだかどんどんコンサバ(保守的)になっていく日々が続きます。働く環境が整っていたありがたみが身にしみてわかるようになりました。妻にも「起業の9割以上は失敗するのに、なぜ、あなたが?」と言われたりしますと、「不安」と「」が頭の中で交差するのを感じます。

悩むより走りながら考えて軌道修正することが大切だと頭ではわかっていますが、気持ちが揺れることが多くなりました。昨年からチャレンジャーズ・メンバー(※1)になっていますので、時間があるときはサイトに入って動画を見たりして、気持ちを切り替えるようにしています。

※1:株式会社ウェイビーが運営する起業家コミュニティー。会員限定のサイトでは起業のノウハウが詰まった音声・動画コンテンツが閲覧できる。
チャレンジャーズ

渋谷区長の長谷部さん
渋谷区長の長谷部さん

また、制度融資など政府や自治体が用意している起業優遇制度を勉強するため、区の産業振興課などに通い、情報収集をしています。利便性や制度優遇面を踏まえて会社登録地やオフィスを決定したいと思っています。

このシリーズのテーマは「シニア起業」です。会社を辞めて、まさに起業に踏み出すその前後に思ったこと、これまでに準備したことをまとめてみました。項目は全部で8つあります。

1、自分にたりないことで、ある程度知っておかなければならないこと
  (1)ウェブサイト作成などIT系の基本知識・会社の庶務&経理知識など
2、独立して起業するときの「気持ち」と「ものの見方」のリセット
3、事業構想の絞り込み時に、まだ揺れている自分がいる
4、新規ビジネス立ち上げに関する事前調査など
5、時間
6、チャレンジャーズの活用
7、中国関係を含む人的ネットワークの構築・強化
8、雑感&まとめ

1、自分にたりないことで、ある程度知っておかなければならないこと

 (1)ウェブサイト作成などIT系の基本知識・会社の庶務&経理知識など


会社の庶務&経理知識など

同年代との比較で、自分はけっしてIT知識やITリテラシーが平均以下ではないという自信はあります。しかし、これはなんの保証にもなりません。会社経営の効率化がなおざりにすれば、起業成功確率を下げることにつながります。

2018年3月からトータルで約42時間を使って親切な講義を受け、ウェブサイトの基本知識習得から、簡単なウェブサイトの作成まで一応やり遂げました。この勉強でもっともよかったのは、作り手目線でものを見る目が多少身に付いたことです。今後は、自社のITエンジニアとの会話がスムーズになるのではと期待しています。

起業直後のウェブサイト作成とは直接関係ない話ですが、今まだ余裕があるうちに、ブロックチェーンやAI、IOT、トレーサビリティシステムなどの勉強機会をなるべく増やすようにしています。

例えば、自分が今手掛けているプロジェクトAの企画にメドがつき、実用化の段階になれば、多少のコストをかけてもトレーサビリティシステムを導入し、商品管理をすることで商品の付加価値が増すと思います。商品の安心・安全を確保するために,栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程でITタグをつければ、各段階の記録を作成し保存しておくことができます。

万一、食中毒など健康に影響を与える事故などが発生した場合、問題のある食品がどこから来たのかを調べたり(遡及)、どこに行ったかを調べたり(追跡)することができます。これは自分が経験を積んだ金融業界とは縁遠い技術で、ある意味、まったく知らなかったしくみを導入することになります。

今後の課題として、ある程度調べたうえで専門家に相談するのがベストかもしれません。今後はチャレンジャーズメンバーにヒアリングする予定です。自分の性格は大雑把なところがあるので、庶務や経理関係には向いていないと「自信をもって宣言」していますが、そうはいっていられない立場になります。

そこで『中小企業の経営実務ハンドブック』を購入しました。自分に向いていないと思いつつも時間があるときにパラパラと見始めているところです。

2、独立して起業する時の「気持ち」と「ものの見方」のリセット

 バイブル、「起業の科学」著者、田所さんとの写真です。
バイブル、「起業の科学」著者、田所さん

大手企業に長くいますと、多少なりとも安住している状態になります。「自分の管轄範囲だけを見ていれば」といった気持ちもありました。しかし、起業後は社長として、内外の経済環境、ビジョン、ミッション、バリュー、会社方針、ビジネス・モデルなど、常に気にしなければならないことが多くあります。

これらを瞬間的に頭でシミュレーションできる習慣を身につけたいと考えています。

「社長は孤独なもの」と以前からよく耳にします。気楽に相談できる人がいない、または外部の人に相談できる事柄が限定的など、セカンドオピニオン的な存在を求めることが困難かもしれません。

3、事業構想の絞り込み時に、まだ揺れている自分がいる


千葉科学大学の養殖現場視察

20年以上前に取ったMBAの卒論テーマをベンチャー起業にしたこともあり、以前からいろいろな分野に旺盛な興味を持っていました。その優先順位をどうつけるかが自分にとっての課題でした。MBAを取った当初は、自分の専門である金融を活かして起業する考えがありました。

最近、自分の国内外での経験から、語学のみならず外国の文化的な部分も理解でき、内外を俯瞰して見ること(これはまた、多くの日本人ができていないことかもしれません)ができる優位性を活かした方が、より広範囲な事業展開が可能だと気づきました。

金融業界での経験を「補完要素」として、自分の強みを生かすべきだと思うようになりました。問題は、やりたいことがいっぱいあり過ぎること。優先順位を決めるのに、何らかのルールを設ける必要を感じ、2018年7月現在、4つまでに絞り込んだところです。

こちらも合わせてお読みください
急増するシニア起業!50代、60代で起業する人が増えている理由

関連記事

著者プロフィール

鈴木 響

鈴木 響

父親の仕事の関係で、上海生まれの上海育ち。小さい時から日中2つの異なるカルチャーの中で育ち、大学に入ってからは英語研究会で「欧米」カルチャーに触れ、マルチカルチャー人間となる。その後34年間、証券会社に勤める。外資含め計5社の証券会社で、多くの当社初、業界初、日本初の商品開発やサービス提供に携わる。2018年6月退職。 2018年9月〜上海復旦大学へ入学予定。起業準備中。日本の色々な良いものやサービスのコンテンツを活用及び加工しつつ、中国の中間層や富裕層の中で急速に高まっている「本物志向ニーズ」とのマッチングビジネスをやろうと着実に準備を進めている。