税務調査で知っておきたい10のポイント

ポイント
  1. 税務調査とは、納税者の税務申告の内容が正しく申告されているかどうかを税務署がチェックすること
  2. 税務調査で調べられる項目とその対策法をご紹介
  3. 税務調査により誤り等が発見され追徴課税を課せられるケースは少なくないですが、その場合に税務調査でどう対応するべきか

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 2-3 ポイント5 在庫計上の誤りや漏れ

在庫の計上による誤りや漏れが発生すれば、「在庫高の減少⇒売上原価の増大⇒利益額の減少」により納税額が減るため、在庫高の確認も税務調査の対象になりやすいです。

在庫の計上漏れ等に対する調査は、決算月やその翌月等の期間を中心に商品の仕入から売上までの流れを帳簿類で確認する形で行われます。「決算月とその翌月などの仕入」「売上」「在庫の内容」を確認し、計上漏れなどの矛盾点がないかがチェックされるわけです。

決算月の前月に仕入れた商品が決算月に売上されているか、在庫になっていないかなどが帳簿類から照合されます。うっかりしたミスでも意図的な計上漏れでも商品の一連の流れを確認すれば、間違いは容易に発見できるため、企業側でも同様の確認をしておきましょう。

また、企業では「発注済みの輸送途上の発注品」「通常利用していない貸倉庫への入庫品」「外注先に支給した製品等」「仕入先の納品書・請求書の未着」などがないかチェックしておきましょう。

 2-4 ポイント6 人件費

従業者数の多い企業等では人件費での間違いや架空計上がないかが税務調査でよく確認されます。

人件費の調査では、「従業員のタイムカードの記録」「人件費の明細」「人件費の支払明細」「社会保険料の支払記録」「従業員の在籍・退職記録」などにより矛盾点がないかチェックされます。

また、「在籍していた従業員への支払がない」「余分に支払っている」「在籍していない人物や退職した従業員への支払がある」といった矛盾点が発見されることがあります。

調査への対策としては、まず毎月の従業員の人数・構成(正社員や非正規雇用者等)と人件費総額を把握し、人数・構成から考えて人件費総額に大きな変動が見られる月を中心に確認すると良いでしょう。

次にタイムカードによる従業員の在籍の確認、人件費明細とその支払明細による照合などを行えば、人件費の支払漏れなどが確認できるはずです。

なお、人件費の架空計上が疑われやすいため、従業者の履歴書、給与支払いでの領収書など保存をしておき、人件費として証明できる証拠を揃えておきましょう。

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 2-5 ポイント7 個人的な使途とみられる経費

経費の中で金額が大きく事業との関連性が疑われやすい計上項目は、税務調査の対象になりやすいです。

例えば、「自動車の購入」「旅費宿泊費」「飲食代」「贈答費用」「駐車代金」などで、事業とは関係なく私的な目的で使われたものでないかが疑われ確認されます。特に領収書があっても何の目的で誰に対して行ったものか不明といったケースでは問題視されることになるでしょう。

もしその点が指摘され明確に回答できない場合は、使途不明金や使途秘匿金などに認定され、重い追徴課税を課せられる可能性もあります。

対策としては、上記のような経費の計上がないか(特に役員等で)チェックし、領収書の存在とともに、いつ、誰のために何に使ったかなどを明らかにしましょう。

経費が必要となった事実に関する証拠(取引、利用内容、成果など)を準備しておくことが望まれます。例えば、自動車ならカギの保管、利用者や運転の記録・保存などが必要です。

 2-6 ポイント8 外注費が調査される

税務調査では「外注費での架空請求」や「給与の可能性」についてよく確認されます。

「外注費での架空請求」については、実際には役務等を受けていないのに受けたようにして計上することです。

「給与の可能性」については、本来給与として処理すべき役務等の提供に対して外注費として計上していることです。

なお、給与の場合は、「委託者の管理下で拘束され細かな指示により作業をする」「費用が成果ではなく時間に対する対価として支払われる」などが該当します。外注費が給与扱いとされると、消費税の仕入税額控除や源泉徴収の支払い分が加わるため、慎重な取り扱いが必要です。

架空請求等での調査では外注に関する契約書、発注書、メールなどの依頼内容等、請求書や支払記録などから矛盾点がないか確認されることになり、発注先への調査も実施されます(これを「半面調査」という)。

給与に関する調査では、契約書や成果物の内容などから時間に対する報酬か、受託者の裁量で提供した役務等かなどがチェックされるのです。

対策として、架空請求等ついては外注したことの事実を証明できる準備が欠かせません。そのため外注先への発注書控え、メール等での依頼内容、請求書、支払記録など外注の実施を証明できる資料を整えておきましょう。

また、給与扱いについては外注と給与扱いとを明確に区分できる契約書などが必要です。外注先の責任や判断で遂行・提供され、報酬が成果や作業自体に対するものであることなどを明確にしておくことが大切です。

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3 追徴課税される場合の対応

税務調査により誤り等が発見され追徴課税を課せられるケースは少なくないですが、その場合に税務調査でどう対応するべきか説明しましょう。

 3-1 ポイント9 税務調査時は税理士に立ち会ってもらう

税務調査で調査官は疑わしい処理については損金不算入にするつもりで指摘してきますが、客観的な証拠を盾に反論して損金であることを認めさせることも不可能ではありません。

ただし、税務署との交渉は税務会計の専門家である税理士でないと対応は困難です。そのため税務調査ではできる限り税理士に立ち会ってもらうのが良いでしょう。

 3-2 ポイント10 税務調査での交渉では優先度を決める

税務調査での交渉では優先度を明確にして交渉することが重要です。

売上や仕入の計上のズレや漏れなどが追徴課税になっても次年度の税金が少なくなる(=取り戻せる)ため、追加の負担は軽くなります。

しかし、「役員への貸付が報酬と判断される」「関係会社への貸付金が寄付などに認定される」「交際費の一部が損金扱いされない」などのケースでは次年度以降に税金を取り戻すことができません。

そのため交渉にあたっては、税金が取り戻せない、重加算税などの重い税が課される、などの認定を少なくする、追加の税金を少なくする交渉が求められます。

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