前回のStepメールで、経営者が自分の仕事を手放すことについて話をしました。
経営者が本来の仕事をするには、ある程度の仕事を社員に渡していきます。その時、仕事の役割や仕事の範囲、仕事に対する方針と方針を判断する基準について経営者が決め、社員に浸透させておく。このことが決まっていれば、社員は経営者と同じ判断基準で、同じ行動が行えるようになります。
このことを把握しながら、社員に仕事をさせることが任せることです。
経営者は、社員の行動が自社の判断基準に沿った行動かどうかを常に確認しておきます。もし、少しでもその基準と異なった行動をした場合経営者は軌道修正をします。
任せるとは経営者がすべきことを、社員に頼んでさせることです。つまり、経営者と同じ考えを持ち同じ行動になることが任せることです。
しかし事前に、仕事の役割、範囲、方針と判断基準を決めずに、社員の判断で仕事をさせているのは、任せるではなく、放置になります。
社員は経営者ではありません。社員のこれまでの人生で得てきた情報を基に仕事を判断します。その判断は、経営者と同じとは限りません。時には同じになることがあるかもしれませんが、頻度と継続性には課題があるでしょう。社員を放置してしまうと、もし社員が経営者と異なる判断をした場合、軌道修正が難しくなります。
軌道修正ができれば良いでしょう。しかし、軌道修正ができなければ、社員と経営者の基準が溝になり社員は会社を辞めてしまう可能性もあります。
社員自身に考えて行動をして欲しいと思う経営者は非常に多いです。
しかし、それは社員が自由に考えて判断する事ではなく、あくまでも会社の利益に繋がり、社員へ与えた役割や仕事の範囲、方針に関する判断基準に沿ってのことです。
経営者がこの違いを整理できていないと、仕事の成果は大きく異なります。
私のこれまでの経験で「社員の自主性に任せているから。」と言う企業は、経営者と社員の意思の疎通ができず、常に何かしらの課題が生じてます。
経営者は「社員は俺の言うことを聞かない。」と言い、社員は「経営者は常に言うことが変わるので、ついていけない。」と言います。
これは会社全体の判断基準が無くそれぞれの判断で行っていることによる弊害です。
社員は経営者ではありません。社員の判断で仕事をさせている放置状態では、経営者にとって必ずしもベスト判断で仕事をするとは限らないのです。
社員に仕事させるなら、経営者の方針と、判断基準を理解させ同じ仕事が再現できる任せられる状況で、仕事を渡していきましょう。