NPO法人を設立するメリット、費用、手続きなどまとめてみました!

ポイント
  1. NPOでできる業種は法律で限定されている
  2. NPO法人は設立までに時間がかかる
  3. 設立までの流れや予算について理解ができます

目次 [非表示]

NPO法人とは?~NPOのスタイル~

NPOとは英語ではNon・Profit・Organizationと表記され、頭文字を取ってNPO法人と省略されています。

NPO法人は日本では特定非営利活動法人と呼ばれています。

非営利という名前の通り社会的貢献活動を行って、団体の構成員(株式会社でいう株主と同じような立場の人のことを指しています)に対しては、収益を分配することを目的としていないことがNPO法人の大きなポイントになります。決して団体が行うすべての活動をタダで行うというわけではありませんので、この部分は絶対に勘違いしないようにしてください。

株式会社や合同会社(LLC)などの営利企業の場合には、自らの組織の収益を最大限にするために活動することが企業の存在するための最大の目的となることは間違いないでしょう。

しかし、NPO法人の場合には法律的には収益をあげることを主な目的として活動を行うことは出来ないことになっています。

つまり、株式会社や合同会社の場合、事業が成功し、利益がどんどん増えた場合、その得た収益を株主や、役員に配当してもOKなのに対し、NPO法人の場合はお金儲けを目的として活動していないので、活動範囲を超える収益が発生した場合はそのお金を皆に配当できないという所が特徴となります。

ただし、決してお金を必要としてはいけないという意味ではありません。NPO法人も人が集まって組織を運営している以上は、その人達にも生活がありますのでお金が無ければNPO法人自体が職員の給与を支払うことが不可能になり、結果として存続することが不可能になってしまいます。

ですので、NPO法人の主な活動の収益を目的としている分野に関しては、お金を得る活動を行う事は認められているわけです。

また、その事業で得た活動範囲を超えた収益は社会的な貢献活動のお金として利用する事になります。

さらに、NPO法人は、非営利団体であると言う世間の多くのイメージから、お金を受け取らずに、ボランティア活動を行っているというイメージを持たれる方も沢山いらっしゃるかもしれません。

ですので、頂いたお金は、NPO法人の活動の費用には使えないのではないか?と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか?

それは違います。頂いたお金が、そのNPO法人本来の活動の目的に沿っているものであれば、何も問題がないのです。

このように、NPO法人の特徴としては、簡単に言いますと、社会的に人の役に立てる、お金目的ではない団体。しかし、活動に必要な範囲でのお金は得ても良いという事になります。

ですので、社会的に貢献はしたいけど、収益も上げたいと言う事であれば、NPO法人になる必要はなく、株式会社や合同会社のような営利を目的としている会社を立ち上げれば良いという事になります。

法人というものは一般的に営利法人と非営利法人とに大きく分類されており、営利法人として認識されているものが株式会社や合同会社になります。

非営利法人にはNPO法人をはじめとして学校法人や宗教法人などが代表的なものとして挙げられます。

NPO法人はNPOについての基準などの様々な要件を定めている、特定非営利活動促進法という法律によって法人としての存在を認められたものであります。

しかし法人格があるかどうかに関係なく、環境問題、国際協力、文化の保護、地域活性化、社会福祉、教育などに代表されるように、様々な分野で社会的なニーズのある活動を行うことを求められていることを理解しておきましょう。

株式会社・合同会社設立に関してはこちらをお読みください。
参考リンク➡会社設立のメリット・デメリットから、設立後までの手順のまとめ
参考リンク➡合同会社設立(LLC設立)について日本で恐らく1番分かりやすいまとめ

株式、合同、社団法人などとNPO法人の違いを知りたい方は下記をお読みください。
参考リンク➡5つの人気法人の設立・形態・種類・比較についてまとめてみました

注意が必要!?NPO法人は行える業種が限定されている?

NPO法人を設立して活動したいと考えている場合にあなたに一番注意してほしいのが、NPO法人は活動することが許されている分野が法律で20種類に限定されているということです。

ちなみに許されている20種類ですが、法改正により徐々に増加しており、直近の法改正が行われるまでは17種類でしたので、だんだんとNPO法人を設立して活動したいと考えているいわゆる社会起業家の方にとっては活動がしやすくなっているといえるでしょう。

特に法人格を取得して活動しようと考えている場合には、20種類に当てはまらなければ法人格を取得することができないので、法律で指定されている20業種に当てはまるかどうかをしっかりとチェックしてNPO法人の設立手続きを行うようにしましょう。

法律で指定されている20業種は1つのNPO法人で1つの業種の活動しかできないわけではなく、指定されている20業種であれば複数の活動を行うことは問題とはされていないので多彩な活動を行い幅広く社会に貢献することが出来ます。

以下に指定20業種を挙げておきますので、あなたが今行っている又は行おうと考えている社会貢献事業がNPO法人となることができる活動かどうかを確かめてみてください。

以上が法律で定められた20分野になりますが、1つの活動を行えば、これも活動に含まれるという関連性が多いとは思いますのでメイン活動の周辺はNPO法人の活動として含めておいていいでしょう。

NPOとNGOの違いとは?

NPOと間違えやすい存在としてNGOというものがあります。

NGOというのはNon・Government・Organizationの略称で、日本語では非政府組織と呼ばれています。

NGOも非営利活動を行うという広い意味ではNPOと似たようなものとも言えるかもしれません。

ただし国を超えて国際的な活動を行う場合にはNGO、国内で社会貢献活動を行う場合にはNPOだと認識しておくと分かりやすいと思います。

以下にNPOとNGOの違いがわかりやすいように比較の画像を載せていますので、画像も見ながらイメージを膨らませていただければと思います。

NPO法人のメリットとは?

設立費用が安い

NPO法人は設立する資金が抑えられるという点は非常に大きなメリットになります。

株式会社などと違い設立時の資本金が0円でも設立することができるようになっています。また株式会社であれば最低でも15万円、合同会社であれば最低でも6万円は必要になる登録免許税などの設立時に必須となる費用も掛からない点もメリットになります。

そして所轄庁に対しての認証申請が必要になりますが、申請手数料は無料なことも負担軽減につながってきます。

このように資金面から考えるとNPO法人は誰にでも設立のハードルが低いと言えます。

税金で営利法人よりも優遇される

社会貢献活動を行うNPO法人のような非営利団体は税金が課せられないと思われている方もいるかもしれませんが、税金が課せられることには株式会社などの営利法人と違いはありません。

ただ、税金面で優遇されている点としては入会金や会費などは税金の対象となる収益とならないこと、さらに収益事業を行わないNPO法人は、法人住民税の均等割りが免除になる点などで営利法人とは違いがあります。

税金について全体像を知りたい方は下記もお読みください。
参考リンク➡起業時に知っておくべき税金に関するまとめ

公共機関が行う事業に参加するチャンスが広がる

国や地方自治体の財政状態の悪化という原因があるものの、現在、自治体では高齢者の福祉、子育て支援、環境保全、動物愛護などの社会貢献事業に関しては対象の業務を行っているNPO法人に任せるか、ノウハウが豊富な団体を協力して事業を行うなどをしています。

営利企業では営利を追求するので任せにくいことも、非営利団体のNPO法人であれば国民や市民の反発は少ないですから、お願いしやすいということですね。

NPO法人と言う名前自体に信用度がある

そもそも、社会的な信用となると、皆さんからすれば個人と法人の違いだと思われるかもしれませんが、

設立するのに早くて一週間程度で出来てしまう法人や、1人でも設立出来てしまう法人に比べ、NPO法人は設立時に最低でも10名必要である事や、平均的にも6か月の設立にかかる期間がある事、また、審査の厳しさがまるで比較にならないなどの点から、同じ法人であっても、社会的信用度が圧倒的に違います。

NPO法人と名乗る事が出来るだけでも、それだけで最大のメリットと言えるのです。

個人の場合よりも事業が行いやすい

あなたがNPO法人を設立して行う事業を以前から同じ事業を個人で行っていた場合には、設立後にこの事実を実感することになるでしょう。

社会的な信頼度の面から考えて、どうしても個人で活動しているよりも、団体として活動をしているほうが事業を行いやすくなるのです。

この最大の原因は個人ではよほどの資産家ではないかぎりは金銭面で限界がある、団体であれば金融機関などに融資されることによって事業を継続させていくことが可能になっていくのです。

個人事業と法人の様々な違いを知りたい方は下記もお読みください。
参考リンク➡起業する!個人から法人成りに!法人成りを様々な視点で解説

職員を雇用することで活動の継続性が高くなる

NPO法人となれば、職員を雇用することで組織化して活動を継続していくことができる可能性が高くなります。

法人となっていれば、設立者が不慮の事態で活動ができなくなった場合でも社会貢献活動を継続していけることになり、結果的には組織(社会貢献を行いたいと考える法人の職員)としても活動によって恩恵を受ける方も助かることになります。

NPO法人に寄付をする場合の優遇

NPO法人に、個人や企業が寄付をしても、税金の優遇はありませんが、「認定特定非営利活動法人」になったNPO法人に寄付をすると、一定の控除などが受けられます。

個人が寄付した場合は、限度内の金額に応じた控除が受けられます。また、企業が寄付した場合にも限度内の金額に応じた経費処理が認められています。

このような面から考えると、NPO法人は寄付を受けやすいと言うメリットがあると考えられています。

財団法人や一般社団法人との違い

所得の20%の範囲でみなし寄付が認められている事は同じですが、認定NPO法人となった場合、みなし寄付の範囲は50%と膨れ上がる為、財団や、社団などの公益法人と比べても利点となります。

NPO法人のデメリットとは?

いい加減な経理は許されない

NPO法人は社会貢献活動をすることを公に認証された組織ですから、いい加減な経理は許されません。

法人の財政状態を誰が見てもわかるように会計帳簿を作成することが必要となってきます。

資金に余裕がある法人であれば税理士や会計士などの専門家に依頼することも可能ですが、設立当初は資金面で厳しいことから、法人の職員が会計を行うこともあると思います。

職員を雇用する場合には簿記知識など会計帳簿を理解できる人材を雇用する必要性も考えていきましょう。

NPO法人は自治体からの監査が入ることもありますから決められた事務書類をしっかりと管理していくことも絶対に忘れてはいけません。

税理士などのプロの手を借りることが必要な場合には以下の記事をご覧ください。
参考リンク➡起業したての会社が税理士に依頼できる8つの業務とポイント

法人の責任として税務申告を行うことになる

非営利組織は税金の問題は発生しないのでは?と思われた方は半分正解です。

収益事業を行っていない法人であれば税務申告の必要性はありません。

しかし、税務署が収益事業を行っていると判断した場合にはNPO法人のような非営利組織であっても、法人税を支払う必要がでてくることがありますので、法人の行っている活動によって変化してきます。

情報は公開されることになる

NPO法人は税務申告義務があるとはいえ、株式会社や合同会社などの営利企業と比較すれば税制面では優遇されています。

そのため、毎年しっかりと活動を行っているかという事実の証明として、自治体に事業報告や収支報告を書面にして提出する必要が出てきます。

そして、作成した書面は公開されており、気になった方であれば誰でも閲覧できる状態にすることで、より社会貢献活動を公平に行うように促していると言えるでしょう。

NPO法人を継続させる5つのポイント

継続的な事業収入を得ること

NPO法人に限らない事ですが、法人を設立して継続して運営していくためには、一定以上の資金が必要になることは間違いありません。

必要不可欠なものだけを考えるだけでも、事務所の家賃、従業員の給料、社会保険料、税金などNPO法人であっても運営してくために必要な経費は営利企業と一切変わることはありません。

以下でお金のいただき方についてご紹介いたします。

会費を集めること

一定額の収益を見込めるものとしては会員を募集して会費を集めるという方法があります。

NPO法人の活動に賛同してくださる人々を広く集めることで、1人数千円の会費をいただくなどしてうまくお金を集めやすくします。

会費を集める場合にはとにかく会員数を集めることがすべてであると考えるのではなく、現在の段階でNPO法人の活動に賛同して会員になってくださっている既存会員に継続して会員となってくれることを中心にして考えていくのが無難です。

また、会員として継続していただくためには、活動に賛同してもらうことは当然ながらも、会員から集めた会費をNPO法人としてどのような活動にいくら使用したかという使途を完全に明らかにする(毎年1回など定期的な報告を行うと会員の安心が得られます)ことで会員の信頼を得ることも大切になってきます。

寄付金を募ること

NPO法人には、企業や個人などから寄付金が集まることがあります。

寄付をする目的には、単純にその活動内容に賛同して応援したいといったものから、寄付をすることで税金を節約したい企業や個人事業主といったものまで様々です。

NPO法人自体の活動のオリジナリティーや社会的影響などがこの寄付に大きくかかわってきます。まさに事業の根幹や質が、寄付に影響するわけです。

寄付をしてもらおうという考え方ではなく、他の団体よりも影響力のある活動、自分達しかやっていない活動を研ぎ澄ませていく必要があります。

最近ではNPO法人の活動資金不足をサポートする手段としてクラウドファウンディングサイトなども登場してきていますので、利用できる部分に関しては最大限に利用して経営の安定を考えていくといいのではないでしょうか。

助成金や補助金の活用

NPO法人が行う活動を対象としている助成金や補助金はたくさん存在しています。

国や地方自治体が行っているものだけではなく、民間団体が条件を設けて、その条件を満たした団体に助成金や補助金を出している場合もあります。

金融機関などから借り入れるお金と異なって助成金や補助金は原則的には返済の必要がないだけに、貰えるものは可能な限りもらっておくとよいでしょう。

※注意点としては助成金や補助金は申請したとしても必ず支給されるとは限らないということです。

また永久にもらえる助成金は存在しておらず数年間で期限が切れることも覚えておくようにしましょう。

補助金、クラウドファンディングなど資金調達の方法を知りたい方は下記もお読みください。
参考リンク➡10種類以上の資金調達の種類、方法、メリット、デメリットをまとめました

人材の確保

活動を行うには資金と同様に人材が必要不可欠です。

NPO法人の活動への参加の仕方として、法人の理事(役員)として事業のリーダー的存在となる、会員として会費を支払うことで間接的に活動を応援する、常時ではないもののボランティアとして団体の活動に参加をする、法人の従業員として常勤スタッフとして雇用されて活動するなど様々な参加方法が存在しています。

NPO法人の在り方や考え方も大きく変わってきています。

アメリカでは就職人気企業にNPO法人がエントリーすることも当たり前ですし、日本のイメージとは異なり、NPO法人であっても通常企業以上に報酬がもらえたりします。

今までのようなNPO法人=ボランティアのようなイメージでは、なかなか多くの優秀人材を引っ張ってくることはできないわけです。

そのため、資金の創出部分とも同じですが、活動のユニークさ、インパクトという活動の本質が、人材採用にも大きく影響を受けるのです。

NPO法人設立前に抑えておくべき手続きの流れ

20分野から活動の中心をどれにするのかを決める

NPO法人を設立するにあたっては、まずはあなたが設立しようと考える法人がNPOに関して定めた特定非営利活動促進法に定められた20分野のどの活動を行いたいのかを明確にしておく必要があります。

20分野の業種に関してはすでに述べていますので、そこを参考にしてください。

活動のメインがぶれてしまうと後になってこんなはずではなかったと後悔することになりかねないので、最重要なコンセプトとしてじっくりと考えておく必要があります。

設立までの流れや時間をあらかじめ把握しておくことが大事になります。

設立発起人会の開催

NPO法人を設立する場合、最初に行うのが設立発起人会の開催です。

設立発起人会では法人を設立するメンバー(法律上は発起人と呼ばれています)が集まって、法人設立の趣旨、役員や会員の会費の金額、NPO法人の活動目的と実際に設立後に行う活動などを設立趣意書、定款、事業計画書、収支予算書にまとめられるようにしていくことになります。

設立発起人会で法人設立の方針が決定後に行われるのが設立総会です。

設立総会はNPO法人の構成員である社員が集まって法人設立の意思決定を行う会になりますので、設立までの流れでは非常に重要なものといえます。

設立総会での内容(議事運行など)については議事録にまとめる必要があるので忘れないようにしましょう。

設立総会まで終了すれば、あとは事務所を管轄する法務局にて設立手続きを行うことになります。

まずは設立認証の申請を行い、申請が認証された後に法人設立の登記を行うことでNPO法人が設立することになります。

NPO法人の設立の日は法人設立の登記の書類を提出した日となるので、設立日にこだわりがあるのであれば、日程を調整したうえで登記を行うようにしましょう。

設立の登記の後には所轄庁(都道府県知事又は内閣府)に法人設立の届け出を行うことになります。

設立認証申請書の記載内容

NPO法人の設立時には設立の認証を受けるために所轄庁(都道府県知事または内閣府)に設立認証申請書を提出しなければなりません。

設立認証申請書のフォーマットに関しては申請先で指定がされているので、事前に確認をして指定された通りに従うようにしましょう。

設立認証申請書には法人の名称、代表者の氏名、主たる事務所とその他の事務所の所在地、定款に記載されている目的を記載することになります。

設立認証申請書に記載する内容で注意しなければいけないのが、法人の名称と定款に記載された目的の2つです。

この法人の名称と定款に記載された目的の2つに関しては、記載内容が定款の内容と完全に一致していなければいけないとなっているので間違えないようにしましょう。

主たる事務所とその他の事務所の所在地に関しては住所を省略することなく、すべてを記載するようにしなければならないので注意が必要です。

設立当初から事務所が複数あるケースは少ないとは思いますが、複数の事務所を設ける場合にはすべての住所を省略することなく記載するようにしておきましょう。

申請書には申請書を提出する日を記載し、申請者の住所、氏名か住所、電話番号を記載して押印をしなければなりません。

押印に使用する印鑑に関しては実印でなく認印でも問題はありません。

定款記載事項

定款にはこれは記載しなくてはいけないのだという参考として確認してみて下さい。

定款記載事項は以下に記載する13個です。

以下に定款記載事項が一目でわかりやすいように、画像として記載させていただきましたのでご覧ください。

役員や社員の確保NPO法人を設立するには、最低でも10人以上の社員が必要

会員の種別が正会員と賛助会員に分かれている場合には正会員の人数が社員の数としてカウントされるので賛助会員がいくら多くいたとしても正会員が、10人以上いなければNPO法人を設立することができないので十分注意して下さい。

また役員として、理事が最低3人以上、監事が1人以上必要となります。

役員については社員から選んでも社員以外の外部から選んでも問題ないので、NPO法人にふさわしい人材を選ぶようにしましょう。

役員で注意するべき点としては、親族の役員の数が役員総数の3分の1を超えてはいけないことと、役員の中で役員報酬を受け取る人数が役員の3分の1以下でなければならないことがあるので忘れないように注意して下さい。

役員や社員についての必要書類

役員に関して提出する必要書類としては役員名簿が挙げられます。

役員名簿には理事や監事の氏名と役職、住所又は居所を記載する必要があります。役員名簿は2部作成して提出することになるので忘れないようにしましょう。

また役員については役員に就任することと、欠格事由に該当しないこと、法律に違反しないことを明記した就任承諾書と宣誓書を提出する必要もあるので注意して下さい。

この時には同時に役員全員の住所または居所を証明する書類も提出することになります。

社員名簿にはNPO設立の最低条件である10人以上の社員の氏名と住所または居所を記載することになります。

正会員と賛助会員といった複数の種類の社員が存在する場合には正会員10人以上の記載が必要になりますが、10人以上であれば賛助会員も記載しても構わないので全社員を記載しても問題はありません。

総会の開催

NPO法人を設立するときには設立総会を開催し、NPO法人としてどのような役割や意義があるかを確認することになります。

設立総会は設立時の1回だけしか開催されないが、設立後には最低でも年1回以上は社員総会を開催しなければならないと規定されています。

社員総会には通常総会と臨時総会があり、通常総会は年1回以上開催することが義務づけられています。

社員総会で決めるべき内容には定款の変更や、NPO法人の解散や合併などNPO法人としての存立に関わってくる重大な事項となっています。

総会を開催する場合には社員には開催通期を送付しなければなりません。

また社員が社員総会に出席することができない場合には社員は委任状を提出することで意思を表明することができます。

設立総会や社員総会など会議を開催した場合に忘れてはいけないのが議事録の作成です。

議事録には開催した日時、開催場所、出席者、議案の内容と議決の結果を記載するようにしましょう。

設立登記

設立認証の申請手続きが終了して認証書が手元に届いたら、その日から2週間以内に管轄する法務局にて設立登記の手続きをしなければいけないことになります。

所轄庁(都道府県知事または内閣府)が申請書を認証するかどうかの決定が出るまでの期間は平均的な期間で2か月から4か月とかなり長い期間を待たされることになるので、この期間を利用して設立登記の準備を万全にしておきましょう。

準備しておくと特に手続きが素早く進むものとしては、NPO法人の印鑑(人間でいう実印のこと)です。

設立登記の際には法人としての印鑑と印鑑届け出が必要となるので、事前に印鑑を作成して法務局に届け出をしておく必要があります。

印鑑以外に準備しておくものとして法人設立時の財産目録、代表者個人の印鑑証明書があります。

また、認証申請を行ったときに作成した定款に理事の就任承諾書と宣誓書も必要になってくるので準備しておきましょう。

設立登記を行う際には、所轄庁から届いた認証書と登記申請書、OCR用紙、法人の印鑑を揃えて法務局に行くことになります。

代表者以外が法務局に行く場合には委任状を準備していないと受け付けてくれないので、注意しておきましょう。

設立登記が終了した後は、所轄庁にNPO法人が設立されたことの届け出をすることになります。

NPO法人設立に必要な予算や期間・手続きについて

設立の予算から流れまで

ここではまとめとして設立に必要な予算と設立までにかかるおおよその時間を説明していきます。

設立予算

まずは予算ですが、NPO法人はこれまでも説明してきたとおり、株式会社では必要となる登録免許税などの必須の予算がありませんので、あなたが自分ですべてを設立する場合には極端な話ですが必要となるのはあなたの労力だけでお金はタダでNPO法人が設立できることになります。

しかし、時間がある場合には自分ですべての手続きを行うことも可能でしょうが、すでに個人で事業を行っており素早く法人に移行したい場合には専門家に依頼することになるでしょう。

この場合の予算ですがNPO法人設立を代行している事務所によって変化はしてきますが、報酬はおおむね15万円~30万円の間と考えておきましょう。

注意しなければいけないのは、法人は設立以降でも定款を変更したり、理事が変わったりするたびに届け出を行う必要が出てきます。

このような書類作成でも自身で行えば全く費用はかかりませんが、専門家に依頼するとなると最低でも数万円の費用を覚悟しなければいけませんので、

資金に余裕がない設立時や直後は節約するためにも、自身で行うという選択もありかと思われます。

設立までに必要な期間

まず覚えておいていただきたいのはNPO法人は素早く設立が可能な株式会社と異なって設立までに、数か月単位を見なければいけないということです。

ここでは設立までの必要な期間を理解しやすくするために以下に画像として掲載していますので、ご確認いただければと思います。

認証決定の部分では審査段階で不認証の決定が下されることもあり、そうなれば設立までの期間はさらに延長されます。

NPO法人設立には非常に時間が必要ということを理解して素早い行動を起こしましょう。

最後に

ここまでNPO法人を設立するまでに必要な手続きや書類などを最低限の範囲であるが述べてきました。

NPO法人は社会貢献活動を行いたいと考える高い志を持った方には素晴らしい制度です。

今回は述べていませんが、税金面でも株式会社などと比較すると優遇されている面もあるので、社会貢献を行う為に組織が必要だと考える人はNPO法人という選択肢を1度検討してみてはいかがでしょうか。

おすすめの関連記事

ーNPO設立のリアルな話ー
インターンの先駆けとして。NPO法人ETIC.事務局長鈴木氏が考える人材と採用

ー事業を始めたいと考えている方に設立を検討している方にー
起業に必要な費用を時間軸とともにまとめてみました

ー出資・投資を受けたい人はこちらー
【最新2019】エンジェル投資家とは?出資・投資を受ける7つの秘訣とメリット・デメリット総まとめ

関連記事