副業(複業)解禁!他社の就業規則から見た企業の実態を探る!
- 副業(複業)解禁する企業は少し前までは禁止している企業が多かった
- ごく直近では副業(複業)禁止する企業は低下
- 副業(複業)解禁は優秀な人材流出を防止する特効薬です
副業(複業)解禁が叫ばれている今ですが、世の中で副業(複業)をしている人はどの位いるのでしょうか。今回は副業(複業)の実態についてみてみましょう。
兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言によると、働く人側で見てみると働く人のうち、副業をしている人は約234 万人(3.6%)、副業を希望する人は約368 万人(5.7%)という結果があります。
これだけ副業(複業)がいわれていて、副業(複業)を推進する動きもありますが、実はまだ3.6%の人しか副業(複業)をしていないという実態があるのです。
一方で、従業員を雇用する企業に着目して兼業・副業の実態をみてみましょう。企業側について見ると、引き続き多くの企業が就業規則等で原則禁止している実態があります。慎重な姿勢うかがえるのです。
具体的に、株式会社リクルートキャリア(以下、「リクルートキャリア」)が2017 年2 月に発表した「兼業・副業に対する起業の意識調査」によると、(以下、「2017 年リクルートキャリア調査」)においては、「兼業・副業を禁止している」企業の割合は77.2%となっています。副業(複業)を禁止す理由の多くは次となっています。
①長時間労働・過重労働を助長する
②情報漏洩のリスク
やはり、複数の企業で働くと長時間労働になるのではないか、機密事項が漏れるのではないかという不安から副業(複業)解禁に二の足を踏んでいる状況が分かります。
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副業禁止の就業規則が有効になるケースとは
次に中小企業の反応を見ていきましょう。
兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言によると、次の結果となっているそうです。
副業(複業)を禁止している・・・48.0%
兼業・副業に関する規定自体ない・・39.6%
副業(複業)を禁止している」・・61.9%
兼業・副業に関する規定自体ない・・31.1%
このことから明確に副業(複業)を禁止している企業割合も多いのが実態ですが、兼業・副業を禁止する規定自体が存在していないという企業も一定数いることが分かります。つまり、就業規則上にはないけれど、慣例として禁止している企業が相当数いるということなのです。そしてその従業員は慣例として「うちでは副業(複業)はだめなのだな」と暗黙のルールで縛られているという状況があるのです。
次に上場企業の動向を見ていきましょう。
兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言の中で、日本経済新聞社と日経リサーチが、2017 年1 月に発表した「働き方改革を巡る意識調査」の結果が引用されていますが、次の結果になっています。
認めており、届け出も必要ない企業・・1%
認めているが届け出または許可制企業・・17.9%
禁止している企業・・73.1%
上場企業においては、兼業・副業に対してかなり慎重であることが分かります。
兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言では、時系列でも動向が示されています。それによると、正社員の副業を禁止していないとする企業の割合は低下(1995 年18.0%→2004 年16.0%)しているとのことですが、副業を禁止している企業の割合が上昇(38.6%→50.4%)していると指摘しています。
つまり企業においては、次時系列でみると厳しくなってきていたということが分かります。といってもこの調査は2004年までの時系列のため、直近の副業(複業)元年である2017年までの動向を含んでいないので、以前は厳しくなっていたということが分かる、ということに過ぎません。
また、同提言の中では、中小企業庁による「平成 26 年度(2015 年)兼業・副業に係る取組み実態調査」の結果にも触れていて、近年では副業(複業)を禁止している企業の割合は低下しているとも指摘しています。そして最後には「兼業・副業を容認する動きがみられるといってもいい」と記載されています。
つまり、以前までは就業規則にも禁止規定を設けるなど企業は副業(複業)についてはたいへん厳しい姿勢を示していました。また、就業規則で副業(複業)禁止規定がなくとも、慣例で認めていない企業が多かったのが実態です。
ですが、近年では副業(複業)解禁をする企業も増え、副業(複業)解禁することがニュースに取り上げられていることも見ることができるようになりました。直近では副業(複業)を解禁する動きが増えていると捉えてもいいでしょう。
副業(複業)解禁をするとどのようないいことがあるのでしょうか。これについては、「創業そのものを考える人が少ない」日本という課題を解決する糸口になります。つまり、副業(複業)解禁されると、起業する人材が増えるということです。
今までは起業することに不安から二の足を踏んでいた人材も、副業(複業)容認されることで、次のチャレンジを今の収入を確保しながら挑戦が出来る、そんな世の中になってきているのです。
副業(複業)解禁には様々な不安もあるでしょう。ですがその不安は「リスクがありそうだからなんとなく不安」というよくわからないことへの不安が大半です。副業(複業)解禁をしている企業も増えてきており、政府も副業(複業)解禁が働き方改革の一つに挙げています。
企業としては「よく分からないから禁止する」というのではなく、前向きに副業(複業)解禁することで、優秀な従業員の人材流出防止にもつながるといったメリットにも目を向けてみましょう。
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