成長のスピードが変わる! 広い視点で大きなビジョンを掲げることの意義について
- 商売は時代によって流行り廃りがあり、常に変化していく姿勢・未来を考えるビジョンを描き続けないと、その後の飛躍は訪れない。
- 常にその限界を突破し、より大きく成長するためにはどうすればいいのか求める先にあるのが「ビジョン」自分たちが掲げたものが未来を導く
経営の目的はさまざまあれど、外せないポイントであるのが「営利目的」です。慈善事業やボランティアとして実現したいことがあれば、NPOでも任意団体でもいい。そうではなく、会社として行動するということはつまり、そこに営利目的があることは無視できません。
とかく、ビジネスで登場する用語には、戦略(Strategy)や戦術(tactics)、ミッション(mission)など、軍事的な用語が多いのが特徴です。これは、軍事とビジネスに共通するエッセンスが数多く存在している証拠です。つまり、それだけ厳しい世界なのです。
では、ひたすら目先の利益だけを追求し、激しい競争を勝ち抜いていけばいいのでしょうか。そうではありません。とくに、大きな成果をあげ、大きく成長している企業ほど、広い視点に立った「ビジョン」を掲げているものです。ビジョンとはつまり方向性です。
どのようなビジョンを掲げて会社を動かしていくか。どのようなビジョンを元に行動計画を立案するか。それによって、企業の成長は大きく変わります。では、なぜ変わるのか。とくに中小企業におけるビジョン立案の重要性について考えてみたいと思います。
そもそも経営は商売をすること。商売とは、販売と購買を反復継続して行う事業のことです。有形無形、いずれの商売であったとしても基本は同じ。「収入-支出=利益」という構図に変わりはありません。だからこそシンプルであり、やるべきことは一定なのです。
ただし、経営を商売という範疇でのみ考えていると、いずれは成長が鈍化してしまいます。どんな商圏にも限りがありますし、時代によって流行り廃りもあります。栄枯盛衰という言葉のとおり、いつまでも右肩上がりで成長できる分野は存在しないのです。
であれば、会社が大きく成長していくために必要なのは、「どこを目指すのか」「何を実現するのか」という指標を掲げた上で、つねに変化していく姿勢です。「将来はどうなるのか」を考えつつ、「こういう未来を実現したい」と考えること。それがビジョンです。
もし、会社にビジョンがなければどうなるでしょうか。商売を粛々と行うのみに終始してしまいます。そこには、一時的な成長はあるかもしれませんが、大きな飛躍はありません。つまり、一定の枠におさまる成長しか望めないのです。限界が存在する。
では、つねにその限界を突破し、より大きく成長するためにはどうすればいいのか。そのために必要なのがビジョンです。とくに、大きく視野の広いビジョンを掲げていればいるほど、成長の度合いもまた大きくなる。目指す先が遠くにあれば、行動も変わります。
たしかに、投資家やメンターと呼ばれる存在から、先々の行動を指南される場合もあるでしょう。場合によっては「こうするべき」という道筋を示されることもあるかもしれません。しかし、最終的には自分たちが掲げるビジョンこそ、自分たちを導いてくれるのです。
もちろん、ビジョンが規定するのは将来の姿だけではありません。日々の行動も、ビジョンによって規定されます。もし、「今後20年、世界で拡大するであろう◯◯市場においてリーダ的存在になる」というビジョンを掲げていた場合、日々の行動はどうなるでしょうか。
「そのために何をすればいいのか」「世界とのパイプをどうつくるべきか」「国内市場の最大化はどこまで進めるべきか」など、具体的な目標が見えてきます。それらの指標から、日々の施策へと落とし込むことで、行動計画が決まります。
ビジョンがなければ、日常のルーチンワークを淡々とこなしていくだけ。クリエイティブなスキルが高い人ほど、いずれはやる気を失ってしまうでしょう。そうなると、いくら組織が大きくなったとしても、仕事の中心は「社内政治」に向いてしまうことでしょう。
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ビジョンを補完するものとして「理念」があります。ビジョンと理念の意味の違いについては、ビジョンが「未来から考えた現状のあり方」、理念が「創業当初から変わらない守るべき精神」と考えておけばいいかと思います。ポイントは時間軸です。
ただ、それぞれの違いを意識するよりも、「どう活用するべきか」を考えた方が有益でしょう。時間軸には「過去・現在・未来」しかありませんし、起業家にとって重要なのは「現在」と「未来」だけです。あとは、個々の意思決定において判断すればいいだけです。
ビジョンも理念も、意思決定に活用できなければ意味がありません。現状と未来の差を埋めるための戦略・戦術・行動を見極め、今、何をするべきなのかを考えていく。ビジョンと理念の双方から検討すれば、ブレることもないはずです。
もっとも、起業当初からビジョンの実現のみに邁進することはできないでしょう。それよりも、「日々の売上をいかに上げるか」ということに腐心することが多いかもしれません。しかし、たとえそうだとしても、ビジョンは掲げておいた方がいいと思います。
人は、目先の利益のみを追求するだけで、限界を超える頑張りを発揮できるほど、強い生き物ではないと思います。ある程度の利益が確保できるようになれば、飽きもするし、目的も見失ってしまうもの。モチベーションが下がるもの当然だと思います。
だからこそ大きなビジョンを掲げるべきなのです。到達できるかどうか分からないが、それでも、自分たちと社会にとって崇高だと考えられる目的に向かって邁進すること。そこにこそ、起業の意義と起業家の成長があるのではないでしょうか。
ー藤岡清高氏が思うビジョンとはー
大切なのはビジョンの共有。株式会社アマテラス代表・藤岡清高氏インタビュー
ー掲げれるだけでは繋がらないー
目標を目的化している起業家は失敗します