フランチャイズオーナー希望者必見!東大卒金融マンが実体験から教える、フランチャイズの失敗回避術

ポイント
  1. 商売開始の決断に必要不可欠なのは裏取り。そのポイントは?
  2. 自分の力と、選ぶ舞台。勝率を高めるための要素を分解。
  3. 自分の責任で、自分がやるという覚悟。

目次 [非表示]

本部とオーナー 対等なビジネスパートナーを目指すには

本部との条件交渉術

伊藤)どういうところまでやるのかみたいなところの仕切り具合を本当にお互いが細かくちゃんと認識しておかないと絶対にずれるじゃないですか。

古川)ずれますね。

伊藤)やってくれると思ってたのにと。

古川)できればメモを取る。メールに残す。特に、最後の契約書が目の前にあるようなときに。

加盟契約書というのは極めてフランチャイザー寄りの、日米和親条約のようにひどい不平等契約なんです。

もう「すべては自己責任」、本部は教えてくれるけど「結果までは知りません」と、「やめたかったら違約金」というような文書なんですけれども。

普通の人であれば読んでる途中で、加盟するのやめますという話になるんです。

そういったときにネゴのポイントがいくつかあって、できれば向こうの責任者に「いや、そこはこうこうこういうかたちでケアしますよ」と言わせてメモを残すことが必要になると思います。

伊藤)強い本部であればあるほど変えてもくれないと思うんですけれど、できたてだとアレンジできたりするんですか。

古川)そういうのはあると思います。加盟が欲しいということがあるので。たとえば加盟金という話で言うと「ゼロ次募集」というような、実験オーナー募集の場合は加盟金ゼロというケースもあるんですね。

1次募集は安い。だんだん店舗数が増えてくればくるほど加盟金は高くなるということが多い。早いタイミングでのオーナーの方が強い関係を構築しやすい。

伊藤)勝てる確率が高くなるほど高くなりますからね。ちょっとリスクを取りに行って、契約者とかで最大リスクとかはじいておいてコスト下げられる可能性もあるかもしれないし、面白いですね。

古川)そうですね。そういったところを僕は狙っています。つまり、まだ加盟店が多くないところは自分で新規加盟することも含めて狙っています。

こちらもあわせてお読み下さい
リスクをとってメリットを享受せよ!ベンチャー・フランチャイズの魅力!

「事業は本当に成立するのか」を見極める

古川)で、これは話の議論が違うかもしれないんですけども、いわゆるフランチャイズコンサルタントで出てくる人の多くが本部構築コンサルタント。

伊藤)本部を作っていくコンサルタント。

古川)はい。本部構築コンサルタントがついている本部があるとします。本部構築コンサルタントはどのような資料を作ればクロージングしやすいか分かっているので、実際の説明資料みたいなものを読むとコンサルがついているかどうかだいたいわかるわけです。

最初は心配な加盟候補者を資料の中で「うちの成功モデルはここがポイントですよ」「あなたの心配はこうカバーできるので安心できます」「万全にサポートします」と加盟を見送るポイントを逆三角形型でふるい落としていって、だから加盟すると良いですよとまとめます。

でもね、その資料は加盟者を集めるテクニックの賜物であって、その本部の事業モデルが本物であるかどうかは別問題なんです。

やっぱりアーリーステージの本部というのは実績の根拠が弱かったりするんです。直営店が2店舗だけ、フランチャイズ店は友達に1店舗だけやってもらっていて、「行けそう…と思うんすけど、どうすか」と、こういうのが非常に多い。

よく見てるとそんなに調子のいいビジネスモデルというのはあんまりなくてですね。それが本当に成功モデルなのかどうか、「これ、たまたまじゃない?」というのも多い。このへんの見極めにはさっきの
XYの中でYの力が求められると思うんです。

伊藤)飲食とかスポーツ系とかジムとかあるじゃないですか。たとえばライザップとか、自前で確立したメソッドがウリなわけじゃないですか。ほかのスポーツ系もメソッドを売ってる感じなんですか?

古川)僕が加盟しているスポーツ系の方は、ビジネスモデルがとがっていると思います。後追いグループが出てこない。

これはいいなと思っているのは、各店の数字をディスクローズしてるんですよ。これは増店を検討する上でとても参考になります。

自分はいま
2店舗ですけれど、各店の営業成績がわかるので、この2店舗がいいのか悪いのか、ビジネスモデル自体に継続性があるのかないのかがわかるのです。非常に増店が検討しやすいですね。

伊藤)聞いても教えてくれない?

古川)教えてくれない本部が多数派だと思います。教えてくれない最大の理由は守秘義務ありますからとか言うんですけど、でも、オーナー達に開示している本部はありますね。

自分のビジネスモデルに自信を持っているところに多いと思います。

伊藤)本部のビジネスモデルが最低限良いとして、フランチャイジーの人の、個人の力でどのくらい成功確率が変わるものですか?

古川)けっこう変わると思います。どこの本部でも同じことを言うのですが、「本部の言うとおりやってください」と。「本部の言うとおりやれば成功します」、「失敗するオーナーがなぜ失敗するのですか」と聞くと「本部の言うことを聞かないからだ」と。割とこういうこと普通に言うのですけど、僕はそういう本部の言い方にはダウトと言いたいです。

いいビジネスモデルがあるとしても、オーナーのY軸が不足していたり、ましてやビジネスモデルの中にウソがあったりすると。本部の言うとおりやってうまくいくほどビジネスは甘くない。

関連記事

著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。

古川暁

古川暁

東京大学を卒業後、日系・外資系金融機関でキャリアを積む。仲間達とフランチャイズ業界を投資という観点から研究し、準備期間を経て独立。現在2つのフランチャイズ本部に加盟・3店舗を運営中。フランチャイズ加盟候補者として多くのフランチャイズ本部と出会い、実際にフランチャイズ起業者として会社を運営している経験を将来の起業志望者につなげる意思を持つ。証券アナリスト、和歌山県出身、3人の子供の父親。