経営理念を徹底活用で会社が強くなり業績アップする話

ポイント
  1. 経営理念を徹底理解することで会社はどんどんよくなる
  2. 良い・悪い経営理念がわかる
  3. 経営理念を活用した会社経営を実施できる

目次 [非表示]

経営理念は会社の規模などと関係なく、全ての会社は絶対に作成する必要があると思っています。特にリソースが決定的に少ない中小企業にあっては、経営理念の有無、経営理念の浸透や活用度合いというもので、会社の業績はもちろん、そもそもの会社の強さに実はとても関係してきます。

ここでは、経営理念とはそもそも何か、どう作るべきか、活用はどうすればよいのかについてご紹介します。

経営理念とはそもそも何か?

経営理念とは、会社の存在理由や存在目的のことです。会社が最も大切にしていること、目指していることを言葉にしたものだと思ってください。

「会社は何のために存在しているのか」
「会社は何を目指しているのか」
「会社が最も大切にしていることは何か」

会社のそもそも存在している理由や目的そのもののことです。経営理念の存在によって、会社の大きな方向性、大切にしている価値観、具体的な行動指針などを明確にすることができます。

経営計画書の作成や運用について書きましたので合わせてお読みください。

経営計画書の作成から効果的な運用で会社を変える方法

経営理念は何故必要なのか?

経営理念は必要なのかどうか?という話が必ず出てきます。結論で言えば、経営理念自体の目的や効果を達成するもの(=経営理念)が会社には必要になります。

少し考えてみましょう。そもそも経営理念の目的や効果とは何でしょうか?

経営理念は下記の内容でした。

「会社は何のために存在しているのか」
「会社は何を目指しているのか」
「会社が最も大切にしていることは何か」

もし、経営理念がないとしたら周りからはどのように見えるでしょうか?

現在、会社で働いている人、新しく働く人、入社を考えている人、新しく取引をしようと思っている人などの目線で見てみると、会社がどこを目指しているのか?何を大切にしているのか?がわからないと、なかなか入社をしようとか、取引しようとは思いませんよね。もっと正確に言えば、ないより、あったほうが確実によいと言えます。

また、経営理念の重要性を理解している会社では、見るだけで「ワクワクする」、「本当に達成したい」、「誇りが持てる」経営理念(=目指すところ)があります。

この経営理念を見るだけで「ワクワクする」、「本当に達成したい」、「誇りが持てる」状態で働く人と、特に目指しているところはなくお金を稼ぐために働いているだけの人がいた場合、どちらの人や会社の方が成果を生み出しそうでしょうか?また取引先などは取引したいと思うでしょうか?

経営理念というのは、ただの在るべき姿などを言葉にしたというだけのものでなく、会社を本当に動かす原動力になるものなのです。本当に奥深いもので会社の全てでありそのものだと言えます。

経営理念の重要性やその効果とは

経営理念は会社にとって最も大切なものです。会社は経営理念に基づいて、また、経営理念を実現するために存在をしています。経営理念のもたらす効果についてご説明します。

経営理念は会社・社員個人の進む方向性を示す「羅針盤」

経営理念は、会社がどう在るべきなのかを示しています。そのため会社の基本にして、本質的な在り方を示したものです。会社(=1人1人の個人)がとる意思決定、行動というのは、経営理念をベースにしなければいけません。つまり、経営理念というのは、会社(=1人1人の個人)の進むべき方向性を示してくれるものと言えます。

経営理念は社会への約束

経営理念は別の言い方をすれば社会やお客さんとの約束と言えます。

「自社は〇〇を目指します」
「▲▲を大切にします」
「■■のように在ります」
これらはまさに社会やお客さんとの約束になるわけです。

社会と言っているのは、顧客・従業員・取引先・地域社会など自社がビジネスをしていく上で欠かすことのできない人達です。自社としてどのような価値を創出するかを表明する“約束”だと思うとわかりやすいでしょう。

会社全体をまとめるもの

最悪、社長1人であれば、自分自身が目指しているところがわかればよいですが、社員がいた場合には、社員の力を最大限発揮してもらえる状態をつくり、一致団結で目標達成をしていくことが会社には求められます。中小企業ほど人数が少なく、他のリソースも少なく余裕は一切ありません。つまり徹底的に全社で団結する必要があります。団結というのは、同じゴールを目指している状態です。社長は北を目指しているのに、社員は南に行きたいなどとなっていてはいけないわけです。また北を目指すにしても、社員が、嫌々目指すのか、早くいきたくて仕方ない状態で目指すのかで到着できる可能性もスピードも変わります。

大企業でさぼっている社員がいても会社の成長という意味で問題はとても小さいと思いますが、中小企業においては1人の成果の大小というのは会社の成果に直結するわけです。また、社員数が少ない分、1人1人の存在感が大きくなりますので、1人が違う方向を見ているというマイナスの影響が大きくなってしまうのです。そのため、中小企業ほど経営理念によって、一致団結する必要があるのです。

価値観の一致する人材採用、取引先などと付き合える

経営理念が明確であればあるほど、求めている人や会社を結果として明確にしてくれるという効果があります。自社が大切にしていることが明確であれば、その大切にしているものへの共感が働く人や取引先にも必要になってくるからです。採用をはじめ、取引先との関係など会社のあらゆる活動の根本に経営理念があるわけです。経営理念より判断していくことで、一貫性を保つことができ、一致団結の力や可能性を高めることができます。

営業自体の成約率すら上げてしまう

良い経営理念というのは、本当に人や会社を動かすパワーを持っています。

経営理念の存在によって、営業シーンにおいても、会社の大切にしていること=他社との違いになるので、成約率にすら影響を及ぼします。何故今この商品やサービスをやっているのか、どうやって生み出されたのか、使っていただくとどのようになるのかなどはまさに、経営理念に繋がっていくのです。

経営理念の作成のポイント

ここでは経営理念の作成のポイントをご説明します。

何のために存在しているのか?を考える

自分達は誰のニーズを満たすために存在しているのか?自社独自の方法でそのニーズを満たすにはどうしたらいいのか?これらの質問に対して徹底的に考え抜きましょう。

どのようにビジネスを行い、どんな理念に基づいて意思決定をしているのか

会社にとって中核となる利害関係者を考慮しましょう。地域社会、取引先、お客さんをはじめ様々な利害関係者がいると思います。利害関係者を考慮にいれると、自社・従業員を導く価値観はどのようなものになるか。日々事業展開する中で、どんな職場環境、顧客体験、対人関係をつくりだそうとしているのか?さらに、それらが経営理念にどう結びつき、経営理念の実現にどう役立つのか。を考えましょう。

何年後かに目指したい場所はどこか?

今、一生懸命に仕事をしていて、ゆくゆくは何を生み出そうとしているのでしょうか?

経営理念は短ければ短いほうがいい

誰に対して、どんな価値を生み出すかを定義して、目にしやすく、すぐに理解して日々判断基準にできるような形で明確に発信することを想定して作成しましょう。

お客さんが明確になっているか

経営理念は、自社製品、サービスを購入してくれるお客さんにとって有意義な内容でしょうか?自社が大小向上させようとしているのは、誰の生活やビジネスかが明確になっていますか?

良い経営理念のポイント

ここでは良い経営理念のポイントをご紹介します。良い経営理念の反対が悪い経営理念となります。

経営理念を活用するという観点

経営理念は会社の最も大切なものなので、どうしても熱が入りすぎてしまいものすごく長文になってしまうとか、難しい言葉が並んでしまうということがあります。しかし、とても大切な観点として、経営理念はつくるだけでは意味がなく、日々の経営の中で、活用・運用していくことで、会社をどんどんよくしていくことがあります。そのため、活用・運用という目線も入れて考える必要があります。

わかりやすい内容になっているか

経営理念が難しすぎ、すぐに理解できないと活用しにくいですよね。そのためわかりやすい内容を意識してつくりましょう。

動詞になっている

経営理念は在るべき姿や目指すところを示すものです。そのため、動詞で終わるほうがよいと思います。たとえば、現時点で最もエキサイティングな会社の経営理念です。やはり動詞で終わっています。

テスラ
「持続可能なエネルギーへのシフトを世界中で加速させる」

メルカリ
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」

一貫性がある

自社がやっていることなどと一貫性がないとなかなか納得感や活用ができません。ただ、経営理念を、実際に合わせるということではありません。なぜなら、実際というのは今やこれまでに過ぎず、経営理念は今やこれまでの状態を表しているものではないからです。むしろ逆ですよね。実際を経営理念に合うように変えていく必要があります。

ワクワクする、かっこいい

シンプルに経営理念をみたときにワクワクする、カッコいいなと思われると、それだけで周りからの見え方などがとても良くなります。経営理念に誇りを持てる状態というのは本当に理想の状態だと思います。

時代に合っている

経営理念は不変のものではありません。唯一不変は変化することだと思ってください。経営理念自体、時代の変化、会社の成長などに応じて、見直して、変えていくということが必要になります。

自社独自の内容になっているか

悪い経営理念の典型に内容がとても抽象的でどの会社でも当てはまるというものがあります。究極的に考えればそのようになってしまうのはわかるのですが、当事者意識を持ちにくくなってしまいますので注意が必要です。自社らしいキーワードなどを入れるとよいです。

経営理念の課題と活用の仕方

経営理念の最大の課題は、つくって満足、つくって終わりとなることです。つくるまではとても気合が入っていたのに、つくった後はもうおしまいとなってしまうと意味がありません。経営理念は飾りではありません。日々活用することで大きな効果を生みますので活用のポイントをご紹介します。

経営者自らの実践

優れた経営者は従業員に優先事項を伝えたり、従業員や顧客に接する姿を周囲に見せたり、日々の発言、行動の中で率先して経営理念を実践します。経営者が率先して経営理念を実践しませんと、会社全社への浸透はできません。

経営者のコミットが欠かせません。社員が本当に理解をして、実践できるようになるまでには相当な時間がかかると思います。社員が実践しない=経営者の実践が足りないと考えましょう。

経営理念を浸透させるための勉強会など実施

経営理念を唱和したり、経営理念より生まれた行動から良い行動や悪い行動を共有したりする時間などをつくっている会社もあります。

たとえば、リッツカールトンは経営理念、クレドがとても有名で関連本もたくさん出ていますが、経営理念を浸透させるために共有する時間をたくさん取っていますし、最も経営理念・クレドの浸透を大切にしている会社です。

経営理念を浸透させること自体はとても大切なことです。どうやったら社内に浸透し、経営理念を活用して、経営理念を実現・実践できる会社、社員となれるか?を考えましょう。ただ、ここでも注意が必要です。

経営理念を一語一句覚えることが目的ではありませんので、唱和をすることが目的でもありません。経営理念を体現する行動をできるようにすることが大切ですので、ただ唱和するだけで本来目的が達成できるのかなどはよくよく考えたほうがいいと思います。

浸透のために日々何もしないとなってしまいますと、つくって終わりとなってしまう可能性が増しますので、どうやって浸透させていくか?は経営者にとって大変重要なテーマになりますので、自社の経営計画、その中の人材育成、結果としての会議や研修などの在り方から検討されて、自社が運用しやすいものをつくっていくということが大切になります。

経営理念に投資する

最重要と位置づけられた経営理念を体現することに対して、また、浸透させることなどに経営者は投資をするべきです。経営理念で約束をした価値を提供するために、競合他社よりも当たり前に投資をするべきですし、自社が経営理念で果たすために磨くべき強みに投資をしましょう。経営者の実際の姿勢がとても大切です。

これは活用の仕方の最初に書いた経営者の実践と少し異なり、会社としての意思決定においても経営理念の実現のために投資をしていくという意味です。 

参考になる経営理念の例

株式会社サイバーエージェント
21世紀を代表する会社を創る

アマゾンジャパン株式会社
地球上で最もお客様を大切にする企業であること

株式会社 鳥貴族
焼鳥で世の中を明るくする

株式会社ニトリ
住まいの豊かさを世界の人々に提供する。

株式会社ファーストリテイリング
服を変え、常識を変え、世界を変えていく

株式会社メルカリ
新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る

株式会社 虎屋
美味しい和菓子を喜んで召し上がっていただく

経営理念との違い。ビジョン、クレド、ミッション、パーパスとは

経営理念のことを調べたりする中で、ビジョン、クレド、ミッション、パーパスなど様々な言葉に遭遇をしますが、これらの違いというものを厳密に理解する必要はありません。

そもそも厳密な違いを明確に説明できる人もいないと思いますし、そこに会社にとっての実利はありません。それぞれ重なる部分がありつつ、少し軸足を変えた見方だと理解してください。経営理念ということをまずご理解いただければ十分です。

こちらも合わせてお読みください。

会社を成長させ続けるための中小企業のためのマネジメントの話

中小企業が成長できない要因と成長するために経営者が変わるべき話 

ワンマン経営・ワンマン社長の特徴と卒業や改善の話

会社にとって経営理念より大切なものはありません。しかし経営理念をうまくつくることができている、つくった経営理念をしっかりと使うことができている会社はとても少ないです。
弊社の01組織クラウドは経営理念を会社成長のドライバーとして、多くの中小企業の成長を実現してきています。

まずは、社長がいなくても回る強い組織、仕組みの作り方について無料の動画をご用意していますので、是非合わせてご覧ください。

動画を見る

関連記事

著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。