中小企業が成長できない要因と成長するために経営者が変わるべき話
- 中小企業の経営者がどのようなジレンマに陥っているのか理解しましょう
- 中小企業が成長できるかできないかのポイントを解像度高く解説
- 会社経営はどこまでいっても人が全ての理解
10年間、中小企業の経営をずっとお手伝いしてきました。その中で、成長し続ける中小企業と成長が止まってしまってジリ貧状態になってしまう中小企業がいました。
ここでは、中小企業の成長の要因やそのためのポイントをご紹介します。
中小企業の経営者で自ら創業した人の場合は、自ら、何もないところから創業し、1人目のお客さんを血眼になって探したり、商品やサービスをつくったり、お客さん対応をしたり、毎月の経理をしたり、人の採用をしたりと、会社の成長とともに必要になったことを、何とかその場その場で間に合わせてきているというのが実態です。
・日々の売上を安定させるために営業に奔走
・資金繰りが危なくなれば資金繰りに奔走
・お客さんからクレームがあればクレーム対応に奔走
・すぐに人が辞めてしまって奔走
奔走続きの毎日で、創業してからほとんどの経営者は気がついたら今があるというくらい、あっとう言う間の出来事だったのではないでしょうか。安定することはなかなかなく、一難去ってまた一難と、これが終わらずに繰り返されるのが中小企業の経営者の日常です。何とか生き残っていくことに必死なわけです。
中小企業を自ら創業している経営者は新しく0から会社をつくっているわけなので、既に出来上がった仕組みを持っている大企業とは根本的に違います。中小企業というのは、お金、時間、人など余裕は一切ありませんので、何かをしようと思っても、本当に緊急性が生まれて必要になったことしかできないという実際があります。
あれができたらいいな、これはできないとまずいなとわかっていても、手が回らなかったり、予算がなかったりしてできません。または、そもそも知らないということもたくさんあります。そのため、外から見たら、何でこんなことすらできていないのか?と呆れるようなことがたくさんあるわけです。
できていないことを肯定したいわけではありませんが、中小企業というのはそういうものなのです。中小企業経営者だって当たり前に仕組み化、仕組みづくりをしたいわけです。
全ての中小企業経営者はこのジレンマの中で何とか綱渡り的に会社経営をしているのです。
会社を大きくするため、成長させるために必要なことをやっていないのは、中小企業の経営者が無能だからできていないのか?と言えばそれは違います。
会社経営というのは、日々状況が変わる中で、本当にたくさんの役割をやらなければならない種目なのです。無限にやることはあり、それも1つだけ種目があるわけでなく、様々な種目があります。そのため、どんな人であっても、1人で持続的に会社を成長・発展させるということはできないと思います。つまり全ての会社は、最初は全く足りていないどころか、マイナスからのスタートなのです。
1人では会社経営はできません。どんなに優秀な人であってもできません。つまり人の力をどれだけ借りることができるのかということが極めて大切になるわけです。ここでいう人というのは、社内外問いません。
むしろ優秀な人に限って自分でやってしまおうと思い、人に任せる、お願いするということができないことがあります。もちろんこのような状況下であってもうまくやっていく中小企業経営者もいるわけです。うまくいく経営者というのは、「早くから将来のことをとても解像度高く考えている」「ファクト」で考えることができる経営者だと思います。
経営者、特に創業経営者というのは、本当に個人のパワーが強いため、何か問題が起きたとしても何とかなると思っていますし、何とかできてしまうことが多い場合が多く、個人の力を過信しすぎてしまうことがあります。この個人としての力の過信ということが、様々な悪い結果をもたらすのですが、本人はまるでわかっていなかったりします。
1人では絶対に限界があるわけで、どこかで人の力を借りないといけないのですが、貧乏性の経営者や、器用な経営者は全部自分でやろうとする特徴があります。
経営者としてやらなければいけないことがあるにもかかわらず、経営者でなくてもよい仕事をやってしまうわけです。その時々でいえば、お金がなかったり、教えることのほうが手間なので一見合理的に見えるのですが、それをずっと繰り返してしまって、人の力をうまく借りることができない経営者になってしまうのです。
マネジメントの機能や全体像について書きましたので合わせてお読みください。
会社を成長させ続けるための中小企業のためのマネジメントの話
また、うまくいく経営者というのは、(もちろん失敗をしないということではなく確実に失敗をしているのですが、反省をして、良い形にリカバリーをすぐにできるということをしつつ)早くから将来のことをとても解像度高く、またファクトで経営を考えることができているのだと思います。
ファクトとして、構造としてどうなのか?ということを考えることができるここがポイントだと思います。
たとえば、自社のビジネスモデルを考えた場合に、自分1人では月に●円しか絶対に売れないということを構造的に捉え、今のままだとあと〇カ月で限界を迎える。確かに自分がパワーを出せば何とかまだまだできるかもしれないけれど、そこにパワーを出して、本当に一切のキャパシティー(余裕)がない状態になってから、人手不足となり、人を採用して、教えようとなったら、余裕がなさすぎてできるわけがないのでは?と考えるわけです。
また、そもそも会社の目標として自分1人では到底たどり着けないような目標を立てていたとすれば、これは絶対に1人では達成できないわけなので=ファクトとして、早々に人を採用していかないといけないなということがわかるわけです。
経営者としての自分の役割というものを、目指している目標から俯瞰逆算したときに、今のままで良いのか?ということを考えて、修正していくことができるか?ここが極めて大切なことなのだと思います。
そうであれば、今少し余裕のあるうちに、売上を伸ばすのではなく、この時間を使って、もう1段売上が上がっても十分耐えられるように準備をしようとするわけです。
この準備とは、採用~育成、業務のマニュアルをつくること、業務自体の見直しなどをするわけです。このことによって少しの間、売上は踊り場のようになるかもしれませんが、逆に踊り場をつくって、経営者以外の力を発揮できるような状況をつくっておきませんと、遅かれ早かれどこかで必ず詰むという事態が訪れます。
会社を大きくするために必要なことを深掘りしてみます。当たり前の話なのですが、中小企業の経営者は客観的にできていないこと多くあります。
これから会社を大きくしていきたいと思っている人は必ず理解をしましょう。
会社が大きくなる要因の1つ目です。
創業してから会社がまず大きくなる最初にして最大の原因は経営者の頑張りです。経営者がとにかく頑張ることで売上が出てきます。ただ、経営者の頑張りというのはもちろん経営者1人の個人戦であって、経営者1人で売上をつくることができる金額というのは物理的に限界があります。
また、売上が上がると納品をしなければいけないので、納品などの業務の時間も増えていくわけです。売上が増えることで、比例して様々な業務も増えていくので、徐々に営業などにも手を回しにくくなっていくので、経営者1人の個人戦となってしまうと、会社が大きくなるということはどこかのタイミングでできなくなるわけです。
会社の成長が止まってしまう原因もまさにここにあるわけです。
経営者の個人戦をずっとやってしまっている会社が成長し続けることはできないということです。実質的に個人戦を繰り広げている個人事業主のような経営者は多いです。もちろん経営者本人がそれでよいと思っていればよいですが。
経営者が頑張れば売上が必ず上がるというわけでもありませんので、売上が一向に上がらない会社、廃業する会社もあります。
もう1つの会社が大きくなる要因が、経営者の個人の力でなく、経営者以外の力で会社が大きくなるということです。これは簡単に言えば、社員の力によって会社が大きくなるということです。まさに経営者1人の個人戦から、経営者+社員によるチーム戦に戦い方を変えることができたという会社の成長のさせ方です。
社員の力によって会社が大きくなるというのは、創業経営者であれば本当に理想であって、嬉しくて仕方ないことではないでしょうか?
もちろん、全ての創業経営者、経営者ともにこの状態を目指しているわけです。しかし、社員の力によって会社が大きくなる状況というのは、これは途方もなく実は難しいことなのです。
そもそも、創業したての何もないところから、経営者1人の個人戦を何とか終えて、社員を雇うことができるようになって、その社員を育成、戦力化し、経営者自身が営業などに関与しなくても、社員の力で会社が大きくなるというのは、実際に創業、経営をしている人なら誰でもわかると思いますが途方もなく難しいことなわけです。
ただ、経営者の多くは、素晴らしい経営理念やビジョンを持っているでしょうし、大きな目標も持っていると思います。それらを実現するためには、自分以外の力によって、どれだけ会社を成長させることができるのかということが決定的に重要になるわけです。
経営の神様と言われる、ドラッガーは、経営とは、人を通じて物事を達成する業だと言っています。そもそも経営というのは、人を通じて、人が全てと言って過言でないわけです。基本的に、人がいなくては物理的限界が訪れますし、アイデアなどの限界もあります。1人の人でできることは本当にちっぽけなわけです。
そのため、経営者自身の人に対しての捉え方ということが、会社成長にとって決定的に重要になっていくわけなのです。経営者によってゴールというのはもちろん異なりますので、会社を大きくし続けることが必ずしもゴールでない人もいるでしょう。そのような人を否定しているわけでは一切ありません。ここでは会社を成長させたい経営者を想定しています。
会社が大きくなるとは、売上が増えているということを指しています。売上が増えた結果として、ほとんどの会社の場合には、人を採用して、社員数が増えていくようになるわけです。もちろん業種やビジネスモデルに応じて、売上と人の関係は差があります。また、業種やビジネスモデルとして、逆も然りで、人を増やすことで、売上が上がるということもあります。
もう1つあるとすると、会社の社会への提供価値を良い意味で変えていくということも会社が大きくなるということになります。この場合であっても、今の社員だけでは提供できる価値をなかなか変えることができなかったりするので、新しい社員を雇うなど、人によって会社を変えようとするわけです。
会社を大きくするためには、人が欠かせないわけです。
多くの創業経営者というのは、一般的にはリスクのある選択をしている(本人は全くそう思っていないので創業している人が多いですが)いわば、普通でない人=とてもやる気に満ち溢れている、とてもパワーを持っている人のケースが多いわけです。自分がとにかく頑張らない限り、会社は潰れてしまう、売上が上がらない限り、給与をもらえないので生活ができないなど、会社の規模の大小問わず、絶えず大きなプレッシャーと1人で戦っています。
うまくできるはずと確信しつつも、本当に売れるかどうかわからない中で、初めて売れた時の感動は一生忘れられないほど嬉しいものだったりします。自分の人生をかけて事業をやっており、本当に使命を持って、ビジョンに生きている人が多くいるわけです。
お客様を本当に大切に思い、仕事をつまらないなんて思うことなんて微塵もありません。常にもっとよくしたい、もっとよくしたいと365日、24時間仕事のことばかり考えているような人なわけです。このような日々を送っていると、気が付いたら自然とワンマン社長になっていってしまうのです。
ワンマン経営について書きましたので合わせてお読みください。
ワンマン経営・ワンマン社長の特徴と卒業や改善の話
創業経営者が全ての業務に関与している状態が創業期の基本なわけです。この状況の中で、オペレーションは創業経営者の属人的な方法になってしまっているケースや、創業経営者だからできるという大変高い基準になってしまっていることがよくあります。
とにかく目の前のことでいっぱい、いっぱいで余裕がなかなかなく、仕方ないことではあるのですが、業務をいつか誰かにやってもらうべく、わかりやすいマニュアルを作成することや、業務などを見直し、標準化、簡素化するなどということが後手に回っていることがあります。そもそも技術やノウハウを習得することに一定の期間かかる場合もあるわけで、即戦力などはなかなか期待できません。
このような状況の中で、会社が少し大きくなってくるとさすがに1人では手が回らないと、採用をしようという形になっていきます。採用の部分ももちろんノウハウなどない会社がほとんどですので、想定以上に苦戦をするわけです。全然人が来ない、来ても良い人がいないなど苦戦をするのです。
その中から、何とかこの人であればという人を採用するのですが、1番の問題が採用後に起こります。それは、創業者というのは、様々な基準がとても高くなってしまっているケースが多くあります。自分と同じことができる、自分と同じ熱意を持って人は仕事してくれるととんでもない錯覚を持っているわけです。
仕事を任せても、全然できない。教えても、教えてもできない。教えることに時間を使うくらいなら自分がやってしまったほうが早いと結局仕事を取り上げて自分でやってしまうという最悪の自体があるあるで起こるわけです。僕自身も同じ失敗を何度も何度も繰り返してきました。
今考えると、また、このように文書を書いていると、人に任せないとダメだし、人が育つには時間がかかる、そもそもわかりやすく教えてあげることができるマニュアルがない、業務自体をもっとスリムにすればよいなど、これまでの経験から、人に対しての捉え方、そのものが変わっているので、本当、とんでもない失敗をしてきたなと反省しかありません。
・経営者個人のスキルなどが高くても会社は大きくならず、経営者というのは個人戦ではなくチーム戦だということ
・今はできていてもいつか体力的にできなくなるわけなので、自分以外で誰かができるようにしないといけないということ
・自分にできることは他の人にはできないということ
・社員は自分と同じような熱量は持っていないということ
・社員は勝手に成長してくれることはないということ
・名プレーヤーが名監督ではないということ
・人を育てる前に自分を育てるべしということ
・他責にしても問題は一切解決しない自責であるべしということ
・大した給与を出せていないのだから欲張るなということ
・何も教えていないのに期待だけするなということ
人を育てるというのは本当に一生ものの正解のない話なので自分の中でしっかりと哲学やルールをつくっておく必要があります。そうでないと人に関してということで都度ぶれたり、振り回されることになります。人に関する問題はなくなることはないと思いますが、それでもあなたなりの哲学というものを確立することが大切です。
人を育てるのには時間がかかります。また、育てるあなたが育つということも欠かせません。ドラッガーの「経営とは、人を通じて物事を達成する業」の人というのはもちろん経営者自身も含まれています。経営者は自分自身の成長、経営者としての役割を常に意識して、自分を変えていきましょう。
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