【第26回】シニア起業で勝ち組になる秘訣〜人脈ネットワークの構築

ポイント
  1. 顧問契約が決まるのは人脈から
  2. 人脈ネットワークの構築方法
  3. 起業にはまず120名の人脈が必須

目次 [非表示]

人脈ネットワークの構築

友人・知人への接触

顧問契約は人脈でほとんど決まります。つまり、人脈ネットワーク構築はDM送付、顧問登録サイト(有料人材紹介会社)を利用するよりはるかに効果的なのです。これはコンタクト者が公式な求人ではない潜在的な求人ニーズを把握している可能性が大きいからです。

そこで、他のアプローチと並行して、人的接触を図ることを勧めます。しかし「知人に職を紹介してもらう」というと、大半の人はおよび腰になってしまいます。今までの関係が崩れてしまうのではないか、借りをつくってしまうのではないか・・・などさまざまな不安が渦巻くからです。

まず、視点を変えて考えてみることが大切です。

・顧問先探しを「依頼する」のではなく、顧問先探しについて「助言を求める」との考え方
・自分が卑屈になる必要はない、相手に過度のプレッシャーを与える必要はない。(相手がこちらのペースにのり、知らず知らずにプレッシャーを感じるように仕向けるのがコツです)

人脈棚卸しで作成した「人脈リスト(WS⑤」の中から、この人なら話しを聞いてくれて助言をもらえるであろうと思われる知人を5人選び、この5人に顧問先探しの活動をしていることを話し、顧問先探しについての助言を求めるのです。

人は優越感を持ちたいもの、自尊心をくすぐる状況(人を指導する。人に助言を与える。人に自分の経験を話す)をつくることが効果的なのです。ストレートに職探しの依頼をするのではなく自尊心をくすぐる話し方にて、面会のアポイントを取ることに心がけることが有効です。

面会できたら、自分の気持ちを具体的に話します。自分の気持ち、考えをきちんと話すこと。相手に真剣に考えてもらうように心がける。「何しに来たのかわからない」「定年になった(失業した)寂しさから世間ばなしをしに来たのか」等と思われたのでは、貴重な情報を得られないだけでなく、二度と会ってもらえません。

「こんな仕事ができる」「こんな仕事をしたい」「こんな業界で仕事をしたい」と具体的な目標を話し「そんな仕事はどうですか」「そんな業界はどうですか」と話しを続け「そういう仕事に詳しい人を紹介してもらえないでしょうか」「そういう業界に詳しい人を紹介してもらえないでしょうか」と話を進めることが肝要です。

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人脈ネットワークの構築方法

①人脈の活用

・自分なりの人脈リストを作成(WS⑤)。

・できるだけ真剣に求職(顧問先探し)活動への助言を求める。

・人脈での採用は成功例が多い(求人側へ人を保証する)

②人脈のつくり方・広げ方

・自分の商品価値を高める。

・好かれる人間になる(人間を好きになる)。

・情報を与える(情報をもらう)。

・売込みのチャンスを掴む。

・名前と顔をすぐに覚える。

・メンテナンスを怠らない。

③ねずみ算式ネットワーク

・助言を求めて、紹介を受ける(人の人脈を活用)。

・評判ができれば人脈は増える(他人が良いうわさをたててくれる)。

・人脈をたくさん持っている人間へのアプローチ(例:シニア起業支援家 白根陸夫の弟子になる)。

・情報の発信基地になる(求心力をつくる)。

・勉強会・セミナー・研修に参加する。

・地区のボランティア活動に参加する。

このように知人に知人を紹介してもらう方法で人脈を拡げていくと、だんだん自分との利害関係が薄くなってきます。知人の知人のそのまた知人といった第4段階、第5段階あたりになると、まったく利害関係のない人になります。

そして、実際に仕事を紹介してくれるのは、この第4段階、第5段階のコンタクト者なのです。

顧問先の引き合いは、つねに「赤の他人の第三者」からくる

初対面の人には面会後すぐに礼状を発送します。これによって自分をより強く印象づけることができます。面会の時点では紹介すべき顧問先がなかったコンタクト者も、何年かのちに顧問先をしてくるかもしれません。さらなるステップアップのチャンスは自らの地道な努力で増やしておくものです。

無論、同時に紹介者にはお礼の電話をしなければならなりません。面接した日時と、相手の対応について感謝を込めて報告しておくこと。さらなる紹介のチャンスをつかむことも出来るでしょう。

紹介者及び初対面(礼状送付先)の人へは顧問先内定を獲得するまで第1土曜日と第3土曜日に「就職活動中間報告書(FAX)」を定期的に送信し、継続支援をお願いしなければならなりません(会ってお願いした甲斐が無い)。

〔初対面礼状はがきの書き方見本〕

■本来は封書を以って行うべきですが、顧問先探索活動という切迫した時期なので「はがき」で勘弁していただくのです。

■情報ネットワーク構築を成功させるか否かは、人脈の定義を大げさに考えないことです。何でも話せて親しい間柄と定義すると誰でもせいぜい2~3人程度でしょう。「私:先輩、私にアドバイスしてください。先輩:「ああいいよ」と気軽に言ってくれる人」が人材と定義を拡大してみるとかなりの人数を挙げる事が出来るでしょう。第1段階(ファーストコンタクト者)でいかに大勢を挙げることができるか、そこに懸っています。

120名の人脈をつくることが起業を成功させる必須条件

第21回の「人脈リスト」記入見本をもう一度見てください。自分の年齢(51歳)を中心に上下に20歳の幅で、9列の職業の区分に応じて、バランスよく人脈が形成されていることが分かります。実際にはこのような人脈リストをつくることができる人は稀です。安心してください。大手企業管理職の再就職支援に長年携わってきましたが、50歳以上の人脈づくりはセルフ・マーケティングのほかはないのです。

もっとも良質にして確実の情報は人脈によって得られます。公開される前の情報なので競合が少なく採用される確率が高い情報です。いつも「人脈リスト」を作成してもらいます。長考の末、管理部門の人は平均して「以前の会社の同僚・先輩・後輩」欄に12名ぐらいを記入されています。営業部門の人の場合は「企業経営者・オーナー・自営業 5名」「以前の会社の関係者・取引先他 5名」を合わせて22名が平均です。

再就職は人脈ネットワークを通じてが一番多く、これで完結できれば幸いですが、思うように進展しないときはDMによる直接売り込みを並行して進めます。経験・能力の棚卸しをしっかりと行った上、強みを見出しこれを「見える化」した見映えのよい「レジメ(履歴書とキャリア式職務経歴書)」を作成、狙いを定めてオーナー社長にDMします。

定年退職後の独立起業の場合は顧問(コンサルタント)としての売込みになりますが、戦略・戦術は再就職のための売り込みとまったく同一です。ただし、レジメのほか「事業案内」を添付します。再就職のためのDM作戦は年齢の数ほどDMすれば平均して1社から引き合いがあります。経営者と面談すれば85%は内定/顧問契約を獲得することができます(シニア起業支援家白根陸夫の23年間の指導経験より)。

ただし、DM戦略を主にすることはリスクが大きいと考えます。相手が「待ってました」と思いのほか早く面談や内定に進むのはその理由を熟慮する必要があります。賃金や労働条件が厳しいので退職者が多くつねに補充に追われている、所定労働時間内ではとても終わりそうのない仕事量を押し付けてくる、経営者が管理者などに「誰かいい人いないかね」と紹介を依頼しても「心当たりありません」などと言って誰も協力しないなどです。

とくに注意が必要なのは、中高齢者の再就職が難しいことに付け込んで役員待遇で招聘することを条件に多額の出資を求めてくる、画期的な新製品を開発途上でほどなく完成する。営業本部長になって拡販に存分に腕を発揮してもらう。開発資金が不足している。ついては資金提供をしてくれれば採用してあげようなどがよくある話です。

中小企業の労働環境において中高齢者の置かれている立場。こちらの「弱み(早く再就職したい/顧問契約したいという気持ち)」に付け込んで相手が何を言ってくるか十分心してかからねばならないことを痛感します。顧問契約(業務委託⇔受託契約)締結の際にも契約前提条件には注意が必要です。この点人脈ネットワークを通じての再就職や顧問契約締結はDMに比べればリスクが少ないといえます。確実にやってくる定年後に備えて着々と人脈開拓に励まなければなりません。

再就職するにせよ、独立起業をするにせよ行動を起こす時点で何人の人脈が欲しいかということですが、記入例と同じく年齢幅・職業区分ともバランスよく120名の人脈が欲しいと考えます。50歳時点で人脈ゼロ人の人でも、60歳時点で120名の人脈保持者になるのは容易なことです。毎年12人の人脈をつくりこれを維持していけばよいことです。なんと月一人づつ人脈をつくっていけばよいのです。

これを意識して続けるか途中で怠けてしまうかは、定年後「生きがい、遣り甲斐、望み通りの収入を生涯にわたって得る」という強い意志の有り無しにかかっています。事業を成功させるには600名の人脈が必要といわれています。「シニア起業支援家白根陸夫」は52歳で独立起業当時、開業社労士の登録をしていました。その当時、大手生損保会社から代理店になって欲しいという勧誘を沢山受けました。

どこでも保険勧誘員をつねに大量に募集していますが、成功するにはスタート時600名の人脈が必要といわれました。起業後その通りと実感しています。「ネズミ算式人脈のつくり方」を見てください。第一段階の人脈を「ファーストストコンタクト者」といいます。600名にするにはあと480名必要です。480÷120=4となります。ファーストコンタクト者120名にそれぞれ4名のお知り合いを紹介してもらうだけで容易に600名の人脈ネットワークをつくることができます。

起業当初のファーストコンタクト数がその後の激しい競合との生き残り競争の勝敗を決するといっても過言ではありません。人脈の大切さを理解し、セルフ・マーケティングを実行しましょう。

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著者プロフィール

白根陸夫

白根陸夫

自分らしく働き生涯現役で活躍するための「顧問塾」主宰 株式会社キャリア・ブレーン 代表取締役 プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー® エイジング・アドバイザー®/認定エグゼクティブ・コーチ 人材能力開発・雇用創造支援(業)日本におけるキャリア形成のパイオニア。 「生涯現役」を全うするための、独創的で最強のノウハウを提供しています。 日系・外資系企業数社を経験し、人事・総務並びに関連業務に関する豊かな経験と知識を蓄積。その間、社会保険労務士、産業カウンセラー、行政書士等多数の資格を取得。株式会社キャリア・ブレーン設立後、再就職支援サービスとキャリア・カウンセリングを数多く実施。アウトプレースメントビジネス立ち上げのコンサルティングの実績も豊富。 就職・転職ノウハウを確立した本邦における第一人者である。(外資系アウトプレースメント会社の日本での立ち上げ6社にノウハウを提供) 1996(平成8)年8月、株式会社キャリア・ブレーン設立、代表取締役に就任。2000(平成12)年8月、NPO/特定非営利活動法人 日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会を設立。理事長に就任。 2008(平成20)年11月、NPO/特定非営利活動法人日本エイジング・アドバイザー協会を設立。理事長に就任。