起業するなら既存企業の廃業率についても理解しておこう
- 毎年の廃業率の考える
- 起業するなら廃業のことも考えておく
- 廃業のことを考えることでリスク回避の手段も必要
起業される会社があれば、廃業する会社も当然ですが存在しています。
あなたが起業家を目指すのであれば、現在の経済状況を理解することは必要ですが、既存企業の廃業率も理解しておくことが、今後ビジネスの世界で生存しようと考える場合には大切となってくるのではないでしょうか。
起業をするということは、会社が恒久的に存在するだけではなく、なんらかの理由によって会社を廃業せざるを得ない状況といったリスクもあることを理解しておくことで、事業活動も攻めるだけでなく、守りの部分も存在させておくことで、より恒久的に事業の継続が期待できるのではないでしょうか。
日本の現在の状況を理解できるものとして、経済産業省が5年ごとに調査を行っている「経済センサス基礎調査」というものがあります。
政府の統計データを誰でも見ることのできる政府統計の総合窓口であるe-Statには平成21年と平成26年の経済センサス基礎調査が公開されています。
5年ごとに公開されるとなると最新の経済センサス基礎調査が公開されるのは平成31年ですので、今年のデータは来年には公開されているのではないでしょうか。
経済センサスには基礎調査と活動調査などがありますが、企業の廃業率などのデータは基礎調査のほうに掲載されていますので、この記事では経済センサス活動調査の内容はあまり紹介していませんので、ご了承ください。
データを確認するまでに経済センサス基礎調査とは何かを理解しておきましょう。
以下はe-Statに記載されているものの引用となります。
「経済センサス‐基礎調査は、事業所の事業活動及び企業の企業活動の状態を調査し、事業所母集団データベースなどの母集団情報を整備するとともに、我が国における事業所及び企業の産業、従業者規模等の基本的構造を全国的及び地域別に明らかにすることを目的とした統計法に基づく基幹統計調査(基幹統計の「経済構造統計」を作成するための調査)です。経済センサス‐基礎調査では、事業所及び企業の産業分類、経営組織、従業者規模などの結果を、全国、都道府県、市区町村などの地域で提供しています。」
上記の内容が経済センサス基礎調査というものとなります。
参考として政府統計の総合窓口(e-Stat)のリンクを貼っておきますので、詳細が知りたい方は一度確認してみてください。
参考リンク➡「政府統計の総合窓口(e-Stat)トップページ」
上記で紹介している平成26年公表の経済センサス基礎調査による企業の数となります。
企業の規模 | 企業の数 |
大企業 | 11,000社 |
中規模企業 | 557,000社 |
小規模事業者 | 3,252,000社 |
上記の表を見れば、大企業が11,000社に対して、中小企業が3,809,000社と日本の大多数の企業が中小企業であることがわかります。
割合で表現すれば、大企業が全体企業数の0.3%に対して、中小企業が全体企業数の99.7%と圧倒的に差ができています。
メディアなどでは、大企業のニュースばかりが取り上げられる傾向にありますが、日本の経済を支えているのは、あまり注目されることのない中小企業であることを、起業家を目指すのであれば知っておく必要はあると思われます。
ちなみに、小規模事業者の中には法人だけでなく、個人事業主(個人企業)が多く含まれています。
平成26年に公表された経済センサスでは中小企業の数は約381万社となっていました。
しかし、中小企業の数は平成21年には約420万社あり、平成24年には385万社となっているように、調査がすすむごとに中小企業の数は減少傾向となっています。
平成31年版として新たに公表されるデータで、中小企業の数がどのような推移を見せているかも現在の経済状況を知る大きな手掛かりとなるのではないでしょうか。
経済センサス・事業所企業統計に公開されているデータから開業率と廃業率について確認してみましょう。
使用しているデータは平成24年から平成26年のものとなります。
まずは企業(大企業・中小企業)の開業率と廃業率を見ていきましょう。平成26年の経済センサスの調査期間では、会社の数は約168万社となっています。
調査期間中に登記を行って開業した会社の数は約22万8000社となっていまして、1年平均にしてみると約9万4000の会社が設立されていることとなります。
このデータから開業率を計算すると、約5.6%と算出されます。
一方で調査期間中に廃業した会社の数は約23万2000社となっており、1年平均にしてみると約9万6000の会社が廃業したこととなります。
このデータから廃業率を計算すると、約5.7%と算出されます。
企業と比較して、開業をしやすい個人事業主(個人企業)についても開業率と廃業率を確認してみましょう。
調査期間のはじめに存在した個人事業主は約220万社となっています。調査期間中に開業した個人事業主は約20万7800となっており、1年平均にしてみると、約8万6000の個人事業主が開業届を税務署に提出していることとなります。
このデータから開業率を計算すると、約3.9%と算出されます。
一方で調査期間中に廃業した個人事業主は約33万8300となっており、1年平均にしてみると、約14万の個人事業主が廃業していることとなります。
子のデータから廃業率を計算すると、約6.4%と算出されます。
上記で紹介した会社と個人事業主の開業率と廃業率を比較してみると、会社の開業率と廃業率にはほとんど差がないことがわかりますので総数があまり変化していません。
しかし個人事業主の場合には、開業率と廃業率に大きく差がありますので、毎年個人事業主の総数は減少傾向であることが統計データを確認することでよくわかることとなります。
経済センサス・事業所企業統計のデータだけではない、他の調査でも公表されている開業率と廃業率を合わせて表にして紹介していますので、参考にしてみてください。
調査データ | 開業率 | 廃業率 |
事業所企業統計(法人) | 約5.6% | 約5.7% |
事業所企業統計(個人) | 約3.9% | 約6.4% |
登記データ | 約3.8% | 約3.5% |
雇用保険統計 | 約5.2% | 約3.8% |
事業所企業統計・登記データ・雇用保険統計の3つの調査で数値が異なる理由は、調査方法や母数が異なるので仕方がありませんが、どのテータを見てもそこまで大きな差がないことを考えますと、どのデータから考えても開業率も廃業率もおおよそ4%前後から6%前後の間で推移していると判断して問題ないのではないでしょうか。
今回は起業家の方に知っておいていただきたい、法人と個人の事業者の開業率と廃業率について紹介させていただきました。
毎年何万社もの会社が設立されて開業される影で、開業される会社を上回る数の会社が廃業していることは、起業を考えているのであれば、よく理解したうえで、起業をするかどうかを判断しましょう。
起業には失敗して廃業をしなければいけないリスクがあると理解しておくことも起業家にとっては大切なことであると考えます。
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