会社の事業目的に関する登記や変更等について
- 定款における事業目的の基礎知識
- 事業目的の営利性・明確性・適法性について
- 事業目的の変更手続きについて
皆さんは、会社の事業目的と言う言葉を聞いた事があるでしょうか?勿論の事ながら、これまでに起業した経験がある方にとってはご理解頂けていると思いますが、起業等に携わった事がないと言う方には、聞いた事がない言葉かもしれません。この会社における事業目的と言うのは、一体どのようなものなのでしょうか?また、事業目的に関して変更があった場合には、どのような手続きが必要となるのか等、事業目的に関して基礎的な知識から、変更に関する内容について、総合的に解説させて頂きたいと思います!
まず、はじめに、会社の事業目的についての基礎的な知識から解説をさせて頂きたいと思います。会社を作る際には、「定款(ていかん)」と言うものを必ず作成する必要があります。定款には、様々な内容を記載する事になっており、従業員の就業規則等を含めた会社の指針となる内容を盛り込んだものとなっております。この定款を作成する際には、その会社の事業目的を記す為の項目があり、そこに事業内容を記載する事となるのです。
つまり、わかりやすく表現すると、事業目的とは名前の通り、私たちの会社は、どのような事業の内容を行い、何をして利益を得る会社であるか?と言う事を明確に記すものとなるのです。まずは、会社を起業する時には必ず定款と言うものが必要であり、その定款の中身に記載される項目の一つが、「事業目的」なのだと言う事を理解しましょう!
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では次に、具体的な事業目的の記載内容について触れていきたいと思います。まず、注意点として覚えて頂きたいのが、記載した事業内容以外の事業を行う事はできません。ですから、定款作成時には、事業目的の項目に関して、予めどのような事業内容を行うのかを具体的にイメージしておく必要があります。定款作成時に、事業目的の項目を適当に記載してしまうと、実際に起業して事業が始まった時、これも事業内容にしよう!とした所で、定款にその記載がなければ、その別の事業を行う事はできません。
その理由としては、例えば株式会社の設立をする際、株式会社は株式を発行する必要があります。その株を購入するのは会社には関係のない第三者です。この事業目的がしっかりとした内容にて定められていなければ、株主も安易に株の購入をする事はできないからだとされております。ですから、しっかりと事業内容を考えておき、将来的な面でも、会社としてどのような事業を考えているのかを明確にしておく必要があります。また、事業目的の項目に関しては、上限の定めがありません。つまり、事業目的を複数記載する事もできると言う事になるのです。
例えば、事業を開始する時には、○○業から開始して行きたいけれど、将来的には○○業に加え、△△業も事業内容に盛り込んでいきたいと考えるのでしたら、事業目的に○○業と合わせて△△業も入れれば良いと言う事になるのです。この事からもお分かり頂ける通り、定款の作成前には、事業目的について、その会社を長いスパンで想像し、その時だけではなく、将来的な事業内容についても明確にしておく必要があると言う事になるのです。
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では次に、実際に事業目的に記載する中身の数について、見ていきたいと思います。前途でも申し上げたように、事業目的には上限がない為、どのくらいの数の内容を記載しても良いとされております。ただし、記載される事業目的については、謄本や、定款にも記載されるわけですから、取引をする会社や、融資を受ける為の銀行も、簡単に事業目的を見る事が可能です。取引先が見られるとなると、どのような事が考えられるでしょうか?
例えば、上限がないからと言って、沢山の様々な事業目的を記載したとしても、取引先から見る印象としては「この会社は一体何がしたいんだろう?」と思われかねません。これは、起業をされた経験がない方でも、想像してみれば、少しご理解頂けると思います。例えば、知り合いの方で「将来の夢は、パティシエと、不動産業と、IT関連の会社を立ち上げて、旅行業もやりたいし、法律関係の事務所も立ち上げたい!・・・」と言われると、この人は一体何がしたいんだろうか?と、瞑想しているように思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これと同じように、会社としても、事業目的を、むやみやたらに記載すれば良いと言うわけではないと言う事なのです。ですから、事業目的の内容に制限はないものの、何をしたい会社であるのかを明確に第三者に理解できるような内容を考える方が良いでしょう。ただし、事業目的が少なすぎるのも、事業の幅が狭くなってしまいますから、難しい所ではあるのですが、一般的には5件~10件程度の事業目的を考えておけば良いと思われます。
次は、事業目的における3つの○○性として見ていきましょう。
まず、営利性についてですが、株式会社や合同会社等の法人は、営利目的となります。営利目的と言うのは、その会社を起業して、事業を行う事により、利益を得る事を目的としていると言う意味合いです。ですから、利益(儲け)を出す事を目的とした事業目的を記す必要があり、利益が出ないような事業内容のみを掲載する事は出来ないのです。ただし、事業内容の中に、しっかりと営利目的の内容の記載があり、それ以外に非営利目的の事業内容を記すのであれば問題ありません。もしあなたが非営利目的のみの組織を立ち上げたいと考えるのでしたら、株式会社や合同会社の法人は設立できませんから、NOP法人等の非営利目的の法人を設立する必要があると言う事になるのです。
次に、明確性について見てみましょう。明確性と言うのは、文字の通りで、明確な内容として事業目的に記す事が求められます。ですから、事業目的に記載された内容が、いまいち何を言っているのかわからないと言うような内容では、事業目的に記す事ができません。
最後に、適法性についてです。適法性と言うのは、「法律における、公序良俗等のルールに違反しない」と言う事が求められます。これは当たり前の事ではありますが、例えば会社の事業目的に「私たちの事業内容は麻薬を作り、それを密売する組織です」なんて記載すれば、認められるわけがありません。法律に違反する事なく、適法性が認められるような内容を、事業目的に記載しなければなりません。
では、起業されてから、事業目的を変更する必要が発生した場合について、見ていきたいと思います。まず、変更をする為には、株式会社と合同会社の場合で少し違いがあります。株式会社の場合ですと、株主総会を開催し、その特別決議によって定款の変更をする為の決議が必要となります。一方、合同会社の場合は株式を発行しているわけではありませんから、株主総会はありませんが、設立した総社員によって、定款の変更の同意を受ける必要があります。この場合には例外があり、定款に記載されている別の規定が存在する場合には、その内容に従う形となります。
会社を設立した際には、必ず定款が必要であると述べましたが、この定款は会社設立時に法務局にて登記が行われています。内容を変更すると言う事であれば、勿論の事ながら、変更の登記申請を行わなければなりません。変更する時は、本店所在地を管轄している法務局にて申請をします。ちなみに、登記の申請をした日が変更の日ではなく、株式会社であれば、株主総会の決議。合同会社の場合は、総社員が同意する事によって、その時に効力が発生する事となっております。
登記の期間については、この効力が発生した時から本店所在地の場合は2週間以内となっており、支店所在地の場合は3週間以内に申請する事が必要とされております。この期限を守らないと、怠ったとして過料を受ける罰則が設けられておりますから、遅滞ないように申請するようにしましょう。
登記をするとなると、最初に起業された時と同様に、登録免許税と言う税金がかかります。登録免許税にかかる金額は申請する件数1件に対して、3万円となっております。ちなみに、これは件数で数えられる為、1件の申請内容として事業目的を1個増やしても5個増やしても、逆に減らしても必要な費用は3万円ということです。
基本的に必要となるのは、以下の通りです。
また、これらに合わせて、事業目的の内容に、許認可と言う、国や管轄の都道府県、市区町村等に許可を受けたり、申請をしなければならない場合については、合わせてそちらも申請し、届け出や許可を受ける必要がありますので、ご注意下さい。更に、これらの事業目的の変更登記については、代行をしてくれる専門家が居ますので、ご自身で申請するのが不安であったり、そのような時間が取れない場合には、お願いしてしまう方がスムーズだと言えるでしょう。
いかがでしたか?会社を設立する際には、必ず定款の作成が必要となっており、事業目的は、その定款の中に記載する項目の1つとなっています。起業時には、必ず登記を行いますから、この定款の内容の1つとなる事業目的に変更がある場合には、変更する旨の登記申請を再度行わなければなりません。費用としては、基本的に登録免許税の3万円となりますが、専門家に依頼する場合でも、そこまで多額な依頼料を請求する事務所は少ないようですから、面倒がないようにする事を目的としたり、不備がないようにする為と言う事でしたら、ご自身で申請するより、あっさりとプロに依頼してしまいましょう。専門家であれば、ある程度の書類を用意すれば、基本的に細かい内容についても代行して貰えますので安心です。今回は、事業目的の基礎的な知識と、事業目的の変更について解説を行わせて頂きました。是非、参考にしてみて下さい。
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