経理の役割を解説!会社における経理業務とは

ポイント
  1. 経理の役割、具体例
  2. 経理業務の紹介
  3. 経理と会計の違い

目次 [非表示]

2 経理業務の紹介

 経理業務には毎日行う「日次業務」、月末に行う「月次業務」、年度末などに行う「年次業務」があります。それぞれ見ていきましょう。

2-1 日次業務

 毎日行う経理業務は、おもに「現金管理業務」「預金管理業務」「売上・売掛金管理業務」「仕入買掛金管理業務」「在庫管理業務」に分かれます。

  • 現金管理業務
     会社では、切手の購入や社員の立替払い精算など現金払いが必要な場合に備えて、一定額の現金を社内に常備します。誰もが社内現金を取り出せる状況は好ましくないため、社内で出納担当者を決めて、その人のみが現金を取り出せるようにします。
     業務時間中は出納担当者が手提げ金庫に入れて管理し、業務時間終了直前に現金残高を数え、業務時間終了後は手提げ金庫を大型の金庫に入れて管理するのが一般的です。
     
  • 預金管理業務
     上記の現金管理業務とつながりますが、手元現金補充の目的で普通預金から出金手続を行います。会社内で、「払戻請求書」の申請、承認(払戻請求書に押印してもらう)の手続を経たうえで、預金管理担当者が通帳と払戻請求書を銀行に持って行って出金します。
     商品を仕入れたり、消耗品を買ったりすると、1か月分の購買実績が載った請求書が会社に届きます。この請求書に基づき、指定期日に相手先の預金口座に振り込む必要があり、これを行うことも預金管理担当者の仕事です。
     
     振込を行う際には、振込先と振込金額を記載した一覧表を作成して、上長の承認をもらいます。承認をもらったら銀行の書類である振込依頼書を作成し、銀行に振込をしてもらいます。
     会社の預金残高は、売掛金回収などによる入金、経費の支払いなどによる出金により日々変動します。インターネットバンキングなどにより日々預金残高を確認するとともに、預金残高と会計帳簿の一致を確認することも預金管理担当者の重要な仕事です。
     
  • 売上、売掛金管理業務
     得意先から自社の商品に対して、「見積りがほしい」と言われた場合は見積書を作成し、先方に渡します。
     その後、先方から実際に商品が欲しいということになれば、先方に注文書を書いてもらいます。その注文書に基づいて、商品を準備し、出荷します。出荷とともに、請求書を発行し、売上を計上します。

     そして、請求書を発行した事実を売掛金管理簿に記録します。請求書にはいつまでに入金してほしい旨を記載しているので、請求書記載通りに入金がなされるかどうかを後日確認し、売掛金の消込を行います。この一連の作業を売上・売掛金管理業務と言います。
     
  • 仕入、買掛金管理業務
     仕入先から商品が届きます。また、1か月分等の単位で仕入先から請求書が届くため、請求書をもとにして仕入計上するとともに、買掛金管理簿を作成します。
     そして、請求書記載通りに支払う必要があるため、請求書記載通りの期日で支払ったら、買掛金の「消込」を行います。この一連の作業を仕入・買掛金管理業務と言います。
     
  • 在庫管理業務
     売上、仕入取引に伴い、商品や材料の受入れと払い出しを管理する業務が発生します。
     在庫管理業務では、発注した商品や材料の入庫数と、売上に伴う出庫数の状況を正確に把握することが重要です。

     また日々の業務ではありませんが、月末や年度末にコンピュータ上の在庫数量と実際の在庫数量の一致を確認する必要があります。この作業を棚卸と言います。
     棚卸では、コンピュータ上の在庫数量と実際の在庫数量が不一致になることはしばしばあります。不一致の原因を追究し、必要ならば、会計帳簿に修正の仕訳を入力します。

2-2 月次業務

 月ごとに行う決算業務としては、「月次決算業務」「給与計算業務」があります。

  • 月次決算業務
     月次決算業務では、「月次試算表」「月次推移表」「部門別損益計算書」「予算実績管理表」などを作成します。これらの資料作成の目的は適時の業績把握とその結果を会社の経営判断に役立てることです。そのためには、以下の3つに留意が必要です。

 ①月次の売上の締めの請求書が経理に早く届くようにする。
 ②月次の仕入れの締めの請求書が経理に早く届くように購買先に協力してもらう。
 ③社内経費の立替経費精算の締めを早めにする。場合によっては25日くらいを立替経費精算の締めとする。

  • 給与計算業務
     会社は、毎月決められた支給日に従業員に給与を支払います。給与を支払うためには、まずは給与計算期間の勤怠を集計します。勤怠とは日々何時から何時まで働いたという情報以外に、有給休暇取得や遅刻・早退、欠勤といった情報も含むため、それらを集計します。

     勤怠が集計できたら、その月に変更となる個々人の情報を正しく反映させて(入社、昇格、結婚、出産等)給与計算を行います。給与計算により個々の従業員の支給額を決定し、この金額から社会保険料や源泉所得税などの控除額を差し引き、手取り額を算定します。
     手取り額算定後、給与の振込手続を行います。これら一連の作業が給与計算業務となります。

2-3 年次業務

 年ごとに行う経理業務主として、「年次決算業務」「法人税等申告納付業務」があります。

  • 年次決算業務
     1年間の全ての取引を適正に処理し、最終的に決算書を作成する必要があります。決算書は、株主や取引銀行などの外部の利害関係者に対して、年間の経営成績や期末の財政状況を報告するものになります。
     年次決算業務では、月次決算時には行わなかった以下の手続きを行います。

 ①得意先に対して期末残高を確認する書類を送付する。
 ②仕入先に対して期末残高を確認する書類を送付する。
 ③自社製品・自社商品の棚卸を行い、実際棚卸高を確定する。
 ④賞与引当金、退職給付引当金など、引当金の設定をする。

 上場企業の場合、期末日後45日以内に決算短信を提出する必要があります。また、延長申請をしなければ、期末日後2か月以内に法人税等を国等に申告する必要があります。限られた時間の中で年次決算業務を完了させる必要があるため、事前にしっかりとスケジュールを立てる必要があります。

  • 法人税等申告納付業務
     決算書は、定時株主総会で決算の承認を受けて確定します。その承認を受けて確定した決算書に基づいて税務申告書を作成し、提出・納税を行います。教科書通りのスケジュールはこのようになるのですが、決算書には期末日後2か月以内に納付の必要がある法人税、地方税、消費税の金額情報を反映させる必要があるため、定時株主総会前に税務申告書も完成させておくのが通常です。

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起業したての会社が税理士に依頼できる8つの業務とポイント

3 経理と会計の違い

 会計とは財産の保全管理のために、金銭の収支を記録することになります。
 一方、経理とは金銭出納・財産に関する事務処理や管理になります。

 例えば、1,000,000円の入金が預金口座にあったとします。そして、その1,000,000円の入金は先月計上したA社に対する売掛金1,000,000円に対応するものだったとします。この取引について、適正に記録するためには以下の手続を行うことが必要です。
 

経理

売掛金管理簿に記録されているA社売掛金から100,000,000円を消し込む

会計

普通預金100,000,000円 / 売掛金 100,000,000円 という仕訳を切る

 つまり、経理は会計により記録された内容を誰でも理解できるような説明資料を作る仕事ともいえます。

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法人税は決算資料が決める? 法人税の計算方法

4 まとめ

 経理業務の役割と内容をまとめると以下のようになります。
 

会社における経理の役割

社内外の人に協力してもらい、正確な帳簿を作成し、経営者に経営判断に役立つ情報を提供すること

経理業務の紹介

日次業務、月次業務、年次業務で様々に行うことがある

経理と会計の違い

経理は会計により記録された事柄を誰でも理解できるように説明資料を作る仕事のこと

 経理業務は会社を健全に経営していく上では欠かせない重要な仕事なうえ、決算書作成などで数字を扱うためミスが許されない仕事です。また、仕訳や試算表の作成など簿記に関する専門知識も必要になります。そのため、経理担当者には、経理業務経験と簿記や会計に対するある程度の理解力が求められるでしょう。

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