会社を成長させ続けるための中小企業のためのマネジメントの話

ポイント
  1. 中小企業ではマネジメントが機能していない
  2. マネジメントは難しいものではない、全体像と一歩目をわかりやすく解説
  3. 中小企業経営者が会社成長のためにするべきことの全体像でもある

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これまで10年間で、1,000社を超える中小企業の成長を見てきました。創業期は経営者のひたすらな頑張りによって少しずつ売上が増え、人を採用して、会社の人数が増えていきます。しかし少しすると、同じように成長していた会社でも、成長速度がレバレッジの如く加速する会社と、明らかに成長が止まってしまう会社に分かれるようになりました。

当時の僕はその違いに興味がなく、何故この違いが生まれるのか?ということを考えたことはありませんでした。ただ、自社の成長が一時に比べて明らかに成長が止まってしまったような経験をしたときに、これは真剣に向き合わないといけない問題だと気が付いたわけです。

ここでは中小企業の成長が何故止まってしまうのか?原因の
1つに経営者自身がマネジメントをしていない、知らないことがあります。中小企業の経営者を誰よりも応援している会社として、マネジメントの重要性、そこから会社をさらに成長させていただきたいと思い本記事を書いています。

リーダーとマネジャーの違いを理解しよう

リーダーとマネージャーの違いをしっかりと理解しましょう。会社を成長させるためには、この両方の役割が必要になります。

リーダーというのは、「どこに梯子をかけるかを決める人」だと言われます。マネージャーというのは、「梯子をどのように登るか、ちゃんと登れているかを見る人」だと思っていただくととてもわかりやすいと思います。

どちらの役割が偉いとか偉くないという話ではなく、またどちらか一方ができればいいという話でもありません。この
2つの役割というのはどちらも会社の成長にとって欠かすことのできないものなのです。リーダーとマネジャーの役割を1人の人ができるということがもちろん理想です。

中小企業経営者においては、リソースが全然ありませんので、まずは経営者自身が、リーダーとして、マネジャーとしての役割をやっていかなければいけません。

経営者はリーダーシップは得意だけどマネジメントが弱い

創業経営者、経営者においては、比較的リーダーシップはもっている、リーダーとしての役割は得意という人が多いように思います。

ちなみに、リーダーというのは、生まれ持った才能などではなく、あくまでも役割であり、特に会社経営においては、やっていただきたいことなどが最低限決まっていたりしますので、リーダーの役割なんてできないと思っているような経営者であっても安心してください。

中小企業の経営者はどちらかといえば、マネージャーとしての役割が苦手です。これは大きく
2つ理由があります。
・マネージャーとしての役割はそもそも人とのコミュニケーションなのでとても難しい
・マネージャーとしてのゴール、役割について体系的に学んだことがない

マネージャーとしての役割はそもそも人とのコミュニケーションなのでとても難しい

マネージャーというのは、人とのコミュニケーションが仕事になります。

人が相手の役割ですので、そもそも簡単にできるなんていうことはありません。マネージャーの役割というのは後でもご説明しますが、社員の成長支援だと思われるとよいと思います。人の成長支援が役割なわけです。人を成長させるということは、一生かかっても答えが見つからないかもしれないそもそも難題なのです。

マネージャーとしてのゴール、役割について体系的に学んだことがない

経営者といえど、もちろん何でもできる超人ではありません。創業前にマネージャーとして豊富な経験があれば多少は役に立ちますが、そうでない場合には、マネージャーとはどういう存在なのかを体系立てて学んだことがないわけです。そのため、何も知らない中で、自分の感覚でマネジメントをしてしまうようになります。ここに大きな落とし穴があります。

中小企業でマネジメントがされない理由

中小企業経営者はリーダーシップとマネジメントを比べると、比較的リーダーシップは発揮しているものの、マネジメントができていないと思っています。これはどういう状況かと言えば、進むべき大きな方向ばかり伝えて、実際の進み方、どうやって進んでいけばいいか、各社員のするべきこと、動機づき、その進捗、改善などについてはわかっていない、示していないという状況だと思ってください。

大きなゴールはあるものの、そのプロセスについては全くわからない、航海で言えば、何となくの方向性だけわかっているものの、どうやってたどり着いたらよいかはわかっていないという状況だと思ってください。

何故このような状況が起きるのかというと、下記の
2つがあると思っています。
・経営者自身が経営者としての役割を全うできていない
・経営者が社員は自分と同じ感覚を持っているという勘違い

経営者自身が経営者としての役割を全うできていない

会社として必要な役割の中で、その都度の状況に応じて、経営者の役割も変わっていきます。マネジメントを行う人がいない場合には、当たり前ですが経営者がマネジメントをしなければいけません。しかし、経営者がマネジメントをしない、できない、理解していない中で何となく進んでしまっているケースが多々あるのです。

経営者が社員は自分と同じ感覚を持っているという勘違い

経営者は特に勘違いしがちですが、経営者の仕事への情熱や捉え方というのと、一般的なビジネスマンのそれとでは全く違う捉え方があります。創業者というのは仕事が本当に大好きですし、そうでなかったとしても仕事のことを36524時間考えていることが多いです。また成長に対してとても貪欲だったりします。この感覚というのは一般のビジネスマンとは決定的に異なるもののわけです。この感覚の勘違いによって、経営者は、社員に言わなくてもわかる、教えなくてもうまくやってくれるだろうと間違えた期待や想定をしてしまうことがあります。

中小企業の経営者が陥るジレンマやワンマン経営について書きましたので合わせてお読みください。

中小企業が成長できない要因と成長するために経営者が変わるべき話
ワンマン経営・ワンマン社長の特徴と卒業や改善の話

経営者がマネジメントを学ぶことの重要性

0からつくった会社というのは、何も仕組みなんてありません。そのため、会社が勝手に大きくなることはありません。全て経営者が大きくなるように仕組みなどをつくっていかなくてはいけません。

経営者が何を知っていて、どこを目指しているのか。そのために自分の役割において何をしないといけないのかを理解しているかどうかというのはとても重要です。

経営の原理原則を知ってとにかく真似することから

経営に明確な答えというものがあるかはわかりません。しかし、経営の原理原則というものは多くの経営者の本などで共通していることがあります。創業して経営者になったとしても、経営者としては何も知らないわけです。何も知らない中で自分だけの経験から何をどうしていくべきかと手探りに進めていくこともできます。しかし、限られた時間の中で無駄なことや、寄り道ばかりしてゴールにたどり着けなくては本末転倒です。

経営者にとって学ぶことをとにかく重要なことです。経営者が学びを止めてしまうことはとても怖いことです。経営の原理原則を学ぶこと、そして、まずはとにかく言われたことをやってみるということに尽きると思います。最初はとにかく言われた通りに真似をすればいいのです。

うまくいっている経営者というのは、うまくいくように経営をしていて、うまくいっていない経営者というのは、うまくいかないように経営をしているのです。うまくいっている経営者の経営の仕方や考え方について、学び、真似をするのです。

創業から10年してようやく会社が成長しない理由がわかった

僕自身創業して10年が経ちました。創業した時から4人でやっている会社なので、本来そのときからマネジメントが必要だったわけです。リーダーシップというのは比較的あったと思います。ただマネジメントは皆無で、実質的に丸投げという状況でした。

そこから何とか少しずつ会社として成長をして、売上も増えていき、それに伴って、人を採用してということを繰り返しました。ただ、この中で、自らがマネジメントをするとか、リーダーとマネージャーの違いなどを理解して、動いていたということは一切ありません。マネジメントについて学ぶことも全くなく、その都度、自分の思うことや感じたことを伝えているだけに過ぎませんでした。今考えると間違えていたことばかりです。

僕が何故マネジメントをしていなかったのか?というと、まさにここまでに書いてきていることです。マネジメントは自分がするべきものと思っていなかった、マネジメントについての必要性を感じていなかった、働いている人は自分と同じ感覚を持っていると思っていたので勝手に良くなると思っていた、このあたりが原因です。

経営者としての役割ということを俯瞰して捉えることができていなかったこと、小さな会社でしたので、マネジメントというのが自社においても必要だということがピンときておらず自分事として捉えることができていなかったと思っています。本末転倒なわけですが、実際の会社経営をしていると、とにかくするべきことが無限にあり、どうしても気になったことばかりを選んでやってしまっていたということもあります。

これらはすべて自分自身の力不足ということなのですが、マネジメントというのは
1人でも社員がいればやるべきことです間違いなく。

経営者(マネージャーがいる会社はマネージャー)がうまくマネジメントをすることができれば、自分以外の人が確実に仕事をしてくれて、成長をして、どんどん会社は成長していきます。マネジメントをしない、できないと、人が成長をしないで会社全体、経営者としてストレスや閉塞感を抱えてしまい、間違えた言動などによって社員がすぐにやめてしまって、経営者自身がプレーヤーとして動き続けることになって成長をすることができなくなってしまうということがあるあるです。

僕の場合には、
10年経って、ようやく自分の会社が成長しない原因が、自分自身がマネジメントをしていないことなのではないか?とようやく気が付くことができたわけです。なぜ、気が付くことができたかと言えば、会社の成長が明らかに鈍化したと思ったからです。数字で突きつけられると、これは事実ですから言い訳などもできませんでした。

なぜ、数字の成長が良くないのかということを考えてみると、ビジネスモデルの限界がそこにあって、このようなビジネスモデルになった原因や変えていくこと、変えていく中で、気をつけないといけないことなどを整理してみると、いきついた先は、経営者自身である自分がずっとプレーヤーであったこと、プレーヤーになり続けていたのは、人の成長にコミットしていなかったことだと気が付きました。

タラレバですが、
10年前にこの感覚でもし会社経営をすることができていれば、今、自分の会社は10倍、100倍大きな会社をつくることができていたように思います。それくらいマネジメントというのは大切なことだと痛感をしています。この文書を書きながらも、改めてマネジメントはとても重要だなと思いつつ、まだまだできていないなとも感じています。

同時に、僕の仕事は、「中小企業を早く、強く、大きく成長させる」ことですので、僕の失敗の経験は必ず多くの中小企業経営者に役に立つと確信をしています。

是非マネジメントをしっかりと学びましょう。

マネジメントとはそもそも何か?何故必要なのか?

マネジメントがなぜ必要なのかということを理解するためには、会社経営の目的からしっかりと理解をする必要があります。会社というのは基本的に存在している目的を持っている存在です。その目的というのは経営理念だったり、実現したい世界観、やりたいことだったりします。

山登りで言えば、あの山に登りたいという目標があるとしましょう。その山に登るためには、色々と作戦を立てる必要があります。

高尾山くらいの低くて誰でも比較的登りやすい山なら、さほど準備はいらないかもしれませんが、
7,000メートル級の山に登ろうと思った場合にはどうでしょうか?この場合には、相当な準備や計画が必要になるわけです。

まず、いつまでに登れるようにするのかという時間の設定、登るためにどんなメンバーが必要なのか、何を持っていくべきなのか、登れるだけの力を身につけるためにはどういうトレーニングをしないといけないのか、トレーニングをしながら、登ることができる可能性をチェックしていくために順を追って低い山などから登れるかテストをしたりしていくわけです。そして、登ることができる確率を高めていくわけです。

まさにこの過程がマネジメントということになります。

マネジメントというのはゴール達成のための支援

マネジメントというのは、ゴールがあって、そのゴールを達成するための支援そのものということになるのです。ゴールというのは、大きな方向性であって、このゴールを決めることや変更することなどはリーダーの役割だったりします。つまりゴールがなければ、マネジメントというのは発生しないということです。

リーダー=経営者が「
7,000メートル級の山に登ろう」とだけ決めて、マネジメントをしなかったらどうなるでしょうか?極端なことをいえば、「7,000メートル級の山に登ります」ので、各自しっかりと準備をしておいてくださいというだけの指示がくるようなものです。とても恐ろしい指示ですよね。

でも大小違いはあれば、中小企業の現場ではこのような指示=実質的には丸投げ、放置のような状況があります。

リーダー=経営者はとてもストイックなので、自分はしっかりと登ることができるように準備をします。しかし、会社=チーム全体として登ることができるようにする支援をしないとなるとこのゴールは達成されなくなるわけです。この過程がなく簡単にできることであれば、マネジメントは不要でしょう。ただそれは本当に簡単にできることなので、すぐに終わってしまうことなわけです。

マネジメントというのは人の管理ではない

マネジメントというと人の管理だと思われている人が多くいますが、人の管理ではありません。マネジメントというのは、ゴールがあって、そのゴールを達成するための支援そのものなのです。少し目線を変えると、会社というのは11人の人の集合で出来ています。会社というのは会社という人がいるわけではなく、人の集まりに過ぎません。つまり、会社のゴールというのは誰か人=経営者が考えたものであって、このゴール自体の達成も人=経営者+社員などの人が実現をするわけです。

人がゴールを達成するためにアクションをするわけです。マネジメントというのは、ものすごく狭義にみれば、行動の管理ということに思えてしまうかもしれませんが、行動管理が目的ではなく、ゴールにたどり着くことが目的になります。ゴールにたどり着くための行動をできるようにすることがマネジメントだと思ってください。つまり、人の成長を支援するということに繋がっていきます。

ゴールが高ければ高いほど、今の力ではたどり着けないわけで、過程の中で、確実に人が成長をしていく必要が出てきます。人の成長を支援することが結果として会社のゴール達成にも寄与しますし、人が成長しなければゴールは達成されないわけです。
人の成長をどれだけ会社ごととして捉えることができて、支援できるかが重要になるのです。

マネジメントの全体像を理解しよう

ここではまずマネジメントの全体像を理解しましょう。体系的な理解によって、何をどのように進めていけばよいのか?ということが見えてきます。

「マネジメントの全体像」
・マネジメントをしっかりと学習をする
・人間相手なので人間を理解する
・社員成長の方程式を理解する
・任せる、褒める、教えるを理解する
※これで全てということでは全くありません。上げきれば無限にやるべきことなどは出てきてしまいますが、ここでは実際にマネジメントをする人が最低限押さえておくべきポイントという意味で、最も効果的だと思うことをご説明したいと思っています。

マネジメントをしっかりと学習をする

大前提ですが、マネジメントには間違いなく正しいやり方があると思っています。そのため、しっかりと学習をしてポイントを理解していくことで上手になっていくという性質のものです。これまで大失敗をしている人で、今うまくできていない、うまくできるイメージが全くない人でも安心をしてください。

ただ、マネジメントが本当にうまくなるためには、学問的に捉えるのではなく、日々の実践がまずあって、うまくできるようにするためにはどうしないといけないのか?と実践ありきの姿勢が欠かせません。実践で実際の力がついていきますので、頭でっかちにならないように気を付けてください。

マネジメントの目的は、人の成長支援です。会社全体として、経営者、マネージャーの共通認識として、人の成長支援にコミットするんだということがまず必要になります。

マネジメントというのは社員が働いている限り終わりなくずっと続いていくものになりますし、基本的にやるべきこともかなり精度高く言語化されています。これまでマネジメントに悩まれた方が様々な形で考え方、ノウハウ、ポイントを教えてくれていますので、まずはしっかりとマネジメントにとって必要なことを学びましょう。

人間相手なので人間を理解する

マネジメントというと少し機械的な印象を僕は最初持っていました。しかし実は機械的とはむしろ真逆で人間臭いものでしかありません。これは当たり前でマネジメントの対象は人間です。人間を機械のように取り扱ってもうまくいくことはなかなかありません。(仕組みをつくって、ルールをつくっていくこととは別の話です。)

マネジメントというのは人間相手のものですので、まず最初にマネジメントそのもののやり方などでなく、人間の理解ということをするべきだと思います。

ノーベル賞を取った、ダニエルカーネマンという人が、「人間というのは、完全合理的な経済人でなく、限定合理的な感情人だ」ということを言いました。

人間というのは、どう考えても合理的なことだとしても合理的に動き続けるわけではないということです。なぜなら、そこには感情というものがあって、頭ではそれが合理的、あっているし、選択するべきとわかっていて、感情があって、この人の言うことは聞きたくない、やる気が起きないなどといったことで、合理的な選択をしないということもあるということを言っているわけです。

人間には感情があるということは誰でもわかっていると思いますが、ただ実際のマネジメントの現場においてはわかっていない経営者、マネージャーがたくさんいます。

お金を払っているのだから、当たり前に全力を出して働いてくれる、動いてくれる、上司が言ったことなのだから、理由など関係なく動いてくれる
このように思っていたりしませんか?

このように考えてしまっていては人間相手ということの本質を外してしまい、うまく動いてもらうことができません。何よりも相手は人間なんだということを理解しましょう。

人間の感情を理解するとマネジメントできるようになる

マネジメントの流れを考えてみると、会社のゴールである経営理念やビジョンなどの目標があります。目標を短い時間軸にしたものが今年度の目標や戦略という形で社員にも共有をされていくわけです。

感情を理解していない経営者やマネージャーは、会社のゴールを実現するために、戦略の共有・具体的な指示をするわけですが、この戦略の共有・指示によってすぐに、当たり前に社員が動いてくれて、自ずと結果を出してくれると思っているわけです。もちろんこうなればよいのですが、現実はこうはほとんどなりません。

社員からしたら何故自分が動かないといけないのか?と基本的に抵抗したり、理解ができず動けなかったり、モチベーションが湧かずにやりたくなかったりと様々な感情を抱くわけです。つまり戦略を指示しても、スムーズに、素直に「わかりました」と言って動いてくれるということは基本的にないと思ってください。

これは社員がダメだから動かないということではなく、ここが人間だということです。誰から言われるのかということや(関係性)、言い方一つでも、素直にすぐにやろうと思うこともあれば、絶対にやらないとすら思うこともあるわけです。ここがまさに人間の感情が入る部分なのです。

社員の立場からしても、当たり前に給与をもらっているので働かないといけないという気持ちはあるでしょうし、社員によってはものすごいモチベーションが既にあり、指示したらすぐに動いてくれる人もいるでしょう。ただ、全ての人がそう簡単に動いてくれるわけではないです。

戦略などやることを指示する前に人間関係をつくるべし

人間の感情を意識したときに、何をするべきかと言うと、いくら素晴らしい戦略であっても話を聞いてもらえないと意味が全くないわけです。つまり話をちゃんと聞いてもらえる関係をつくっておかないといけないわけです。

「おいおい、給与を払っているのに、何故わざわざそんなことしないといけないんだ」と思わないでください。気持ちはわかります。僕もずっとそのように思っていました。ただ、いくらお金をもらっているといっても、嫌な人の話は聞かないのです。経営者やマネージャーというのは常に自責の気持ちをもって、どう自分を変えることをすれば、相手はうまく動いてくれるのか?ということを考えるようにしましょう。

マネジメントの最初は、理解と共感、感謝と謝罪がとても大切になる

では、話をちゃんときいてもらえる関係をつくるためにはどうしたらいいでしょうか?

部下に話を聴いてもいいかもと思われるためには、「理解」と「共感」が大切になります。理解と共感というのは、まず相手の話を聴くということにいきつきます。

もう
1つが、「感謝」と「謝罪」をしっかりとするということです。ありがとうとごめんなさいを言うだけで人間関係というのは劇的に変わるものです。

これらを意識していくと、部下に対して定期的に声をかけることを通じて、興味を示し、理解をしようとし、共感をしていくのです。これだけ十分関係性は変わっていきます。

大切なことは、理解と共感です。文字通りですが、理解と共感することが目的ですので、間違っても部下の話を聞いているときに、否定をしたり、共感しないで、すぐに経営者やマネージャーが自分の考えを押し付けるようなことをしないようにしましょう。

傾聴と言いますが、経営者やマネージャーが部下に対して傾聴することができるかが、円滑な人間関係をつくるのです。これは絶対のルールです。どうしても部下の話を聞いていて、共感できないことがあったりして、すぐにそれは違う、こうした方がいいとか、そういう考え方だからダメなんだということを言いがちですが、それでは、部下はより一層あなたに対して心を閉ざしてしまいます。

目的をしっかりと理解してください。うまくマネジメントをするためには、まずは確固とした人間関係が必要で、その人間関係をつくるという段階においては、部下を否定したり、指示をするなどは必要ないのです。

社員成長の方程式を理解する

ここでは社員成長の方程式を理解しましょう。

社員の成長はどのようにすれば実現するのか?最低限守っていただきたい、押さえていただきたいポイントについてご紹介します。

ビジネスマンの上司への不満や成果を出せない理由とは?

理想の上司(リクナビ調べ)
1位「自分を成長させてくれる」43
2位「プロ意識が高くて仕事ができる」28
3位「強いリーダーシップがある」22

上司への不満(NHK番組より)
1位「指示の仕方があいまい」46
2位「責任転嫁する」15
3位「仕事をちゃんと教えてくれない」8

ビジネスマンが求められる行動をとらない、または、成果を上げられない原因(ロバートメイジー、ピーターパイポ)
「仕事の進め方がわからない」3040
「目標や役割について認識不足」
3040
「能力不足」
1020
「報酬や評価不足」
1020
このようなアンケートなどの結果がありました。

マネジメントは社員の成長支援だと書いています。
理想の上司1位は、「自分を成長させてくれる」ということを覚えておいてください。

また、上司への不満の
1位、3位は「指示の仕方があいまい」と、「仕事をちゃんと教えてくれない」ということも覚えておいてください。そして成果を出せない原因としては、「仕事の進め方がわからない」3040%「目標や役割について認識不足」3040%ということもしっかりと覚えておいてください。

社員成長の絶対の方程式

社員成長の方程式として4つのポイントがありますので、それぞれご説明します。

1、会社の方向性を伝える「方向性=理念+目標+戦略」

社員にしっかりと会社の方向性を伝えましょう。方向性とは、経営理念と目標と戦略の3つの要素でできています。

・経営理念
経営理念は会社の存在目的そのものになります。会社がなぜ存在をしていて、何を目指しているのかということを示したものです。

・目標
目標は、経営理念を数字に落とし込んだものです。経営理念は在り方や目指している大きな目標になります。経営理念だけですと、具体的にどのスピードで、どこまで、いつまでに進んでいればよいかということがわかりませんので、数字に落とし込む必要があります。

・戦略
戦略は、目標を達成するためにどのような作戦でやっていけばよいのかということです。ビジネスモデルをはじめ、具体的にしていくべきことになります。

社員に方向性を伝えることによって、当たり前ですが会社の一員としての当事者意識が芽生えます。この方向性がしっかりしていればいるほど(経営者は頑張って良い方向性を考えましょう。)社員は会社の今後にワクワクしたり、やる気を持つことが出来るわけです。

経営理念の徹底活用や経営計画書について詳しく書きましたので合わせてお読みください。

経営理念を徹底活用で会社が強くなり業績アップする話

経営計画書の作成から効果的な運用で会社を変える方法

2、社員個人に期待していることや未来の姿を見せてあげる

当たり前ですが人は期待されると嬉しいものです。そこで、社員11人に対して、具体的に期待していることを伝えましょう。この期待していることというのは、会社の方向性と、社員個人のやりたいことなどと一致している必要があります。

また、社員が頑張っていくとどういう力がつくのか、どういうビジネスマン、人になることができるのか?など社員の未来の姿を具体的にイメージをさせてあげましょう。そのことによって、自分がもしそのような姿、ビジネスマン、人になることが本人の希望だった場合には、社員個人からとんでもないエネルギーを引き出すことができるようになるわけです。

3、しっかりと成長を実感させてあげる

社員に期待していることに対して、社員の仕事の実際がどうなのか?ということを評価なり成長支援をしていくことが必要になります。ここで言っている評価というのは、いわゆる人事評価的な評価ではなく、成長をサポートするための評価=支援だと考えてください。

人事評価の場合には、できた、できないの結果を評価するという感じになってしまいがちです。成長を実感させるための支援というのは、できた、できないの結果評価ではありません。中小企業の場合には、社員の育成というのは、素晴らしい制度や研修体制などはあるわけではなく、OJTで、つまり、実際の仕事を通じて成長してくださいという感じになっています。

通常の仕事の中で成長をするというOJTはとても効果的だと思いつつ、現実はただ仕事をやってもらっているだけで、その中で具体的にもっとうまくできるようになるためのPDCAサイクルなど考えてもらったりするものの、なかなか何の力がどのようについて、その力は今後こういう風に活かせそうとか、こういうできなかったことが明らかにうまくなって、その原因はこういうものがあった、このことは、他のこういう仕事などにも活かせるのではないか?など振り返って、整理しなおしたり、言語化したり、フレームワーク化したり、応用を考えたりという機会がなかなかないわけです。

社員の成長支援が本当に大切になります。なぜなら、社員が成長することで会社のゴールは達成されますし、社員自身、成長を実感できていることで高いモチベーションを維持できます。成長を全く感じることができない会社環境だったとして、そのような環境下で社員は働き続けようと思うでしょうか?成長をしていないわけなので、会社としても給与なども増やすことができず、成長できない社員というのは、結果として退職してしまうリスクも増えるわけです。

社員が成長できない理由というのは、会社の問題、社員個人の問題にもちろん分けることができますが、経営者はまず、自責で徹底的に考えて、自らが改善できることを早々に改善するようにしましょう。

4、成長したことに対してしっかりと給与でも評価をする

実際に社員が努力をして成長したのであれば、その成長したことに対して認めて、褒めてあげることはもちろん、言葉だけでなく、給与など実際としてもしっかりと評価をすることがとても大切になります。お金が全てではもちろんありませんが、お金は決定的に重要な要素です。一般的に自分自身を成長させようと思って、しっかりと成長できる人は少ないです。成長できる人はとても貴重な人材です。中小企業は本当に少ないリソースの中でやりくりして、戦わなければいけません。優秀な社員であればあるほど、感情的な繋がりだけではいつか会社からいなくなってしまうということは往々にしてあります。

経営者は常に優秀な社員を引きとめられるように、会社を面白い状態にしておかないといけないですし、社員に成長実感を与えること、結果としての評価=給与を上げることができるようにすることまでコミットをしなくてはいけないのです。

会社が儲かっていないので、給与を上げることができないというのは、完全に経営者の責任です。経営者は常に社員がいなくなってしまうかもしれないというプレッシャーとも背を合わせて、誰よりも成果に貪欲でなければいけないのです。

任せる、褒める、教えるを理解する

ここでは、経営者やマネージャー、マネジメントを実践する人が、部下との具体的なコミュニケーションや付き合い方において理解をしておかなければならない3つのポイントをご説明します。

任せることを決める

「人を育てるための最も効果的な方法は任せること」
ドラッガー

人を成長するための最も効果的な方法は任せることだとドラッガーは言いました。マネジメントの目的は成長支援でした。つまり、経営者、マネージャーは部下に対して、どんどん任せていくことをしないといけません。任せることをしないと人は育たないということを肝に銘じましょう。

よくある話ですが、「任せているんですけどね」という経営者、マネージャーがいますが、その任せているという感覚よりも更に一段踏み込んで任せるべきです。マネジメントサイドが、部下の可能性を勝手に決めてしまって、この人はこれくらいしかできないという形で任せることをしないで、成長機会を奪ってしまっていることが多々あります。

任せることが大切だとなると反動で起こることとして、任せっぱなしということが起きます。任せっぱなしというのは、丸投げや放置のような形になってしまいますのでいけません。ただ任せているにもかかわらず、マイクロマネジメント的に、あの件はどうなっている?あの件はどうなっている?と繰り返し聞いてしまったり、聞いた結果、こうしたほうがいいと部下に任せたはずが結局上司の言うことをただ聞いているだけのような構図になることも失敗のあるある原因ですのでマネジメントサイドの人は我慢をしましょう。急がば回れです。

実際問題として、任せたこの進捗などとても気になるのは誰しも同じです。そのため、経過報告などを明確にルール化することが大切です。たとえば、毎週水曜日に
20分進捗確認などのミーティングをすることをルール化するといった具合です。任せっぱなしにしないだけでなく、マイクロマネジメントになってしまわないようにすることも防ぐことができます。

答えを教えないでヒントのみを出す

部下に仕事を任せた場合には、上司が考えているよりも一段任せたほうがいいという話をしました。結果として、部下には少し荷の重い仕事が任されている可能性もありますので、上司としてはしっかりとサポートをすることを意識しましょう。その際に、答えを教えたり、上司の考えを押しつけ過ぎてはいけません。部下自身が問題と直面をして答えを出すことが大切になりますので、ヒントを出すという目線に立つようにしてください。

成功や手柄は部下のもの、責任は上司のもの

上司の仕事(マネジメントの目的)は部下の成長支援です。部下に任せてうまくできた仕事、生まれた成果は全て部下のものだと思ってください。上司というのは黒子です。部下を気持ちよくしてあげることで、部下がもっと頑張ろう、仕事ってできるようになると楽しいなと思うことがとても大切になります。

成功や手柄は部下のもので、責任は上司のものだと思いましょう。上司からすると自分にとって美味しいところは一切ないじゃないかと思ってしまうかもしれませんが、それが上司の仕事なのです。上司が部下より高い報酬を得ているかというのは、責任を取ることが仕事だからです。上司というのは黒子、経営者というのは本当に黒子の仕事なのです。

「人に興味を持って、人の成長に何よりもコミットできる人」になっていかないとなかなか務まる役割ではないのかもしれません。経営者はマネジメントを誰かに任せることがもちろんできます。(自分自身もできるようになるべきですが。)マネージャーになる人の見極めという意味においては、自分でなく、人に興味を持って、人の成長に何よりもコミットできる人なのかとう視点で適任などを考えるとよいかもしれません。

教えるということを理解しましょう

教えるという概念を正確に理解しましょう。教えるというのは、できていないことをできるようにすることだったり、できていることを一層うまくできるようにすることです。結果を生み出している11つの行動を、このようにやればできるという行動に変えてもらうことが教えるということになります。

つまり、教えるというのは、ただ伝えるということとは異なるのです。「前にも言ったけど」「何度も言っているけど」と上司は口癖のように言いますが、前にも言ったけど、何度も言っているけど、行動が変わって、できていないのであれば、それは上司が伝えることはできているものの、教えることができていない典型的な話です。

上司が言いたいことを言いたいように伝えても、部下の行動が変わらない限り、結果は変わりません。
上司は常に伝えるではなく、教えるという視点を大切にしましょう。

教えるための大切な4つのポイント

・解釈や齟齬が起きない
・計測できる
・〇
×にできる
・誰でもできる

褒める

日本人はそもそもとても苦手な行動だと思いますが、褒めるということはとてもマネジメントにおいて重要なスキルになりますのでしっかりと理解、実践できるようにしましょう。褒めることが何か恥ずかしい、照れくさいと思われるかもしれませんが、上司は部下に気持ちよく働いてもらうことが仕事なので、ある意味役者だと思ってください。部下の成長のためにひと肌脱いでくださいね。

褒めるにあたって、むやみやたらに褒めたらいいかと言えば違います。

まず、褒める対象ですが行動を褒めるようにしてください。人柄などではありません。何故なら、部下の成長を支援するというのは、部下が仕事において結果を生み出せるように支援することでした。仕事における結果というのは、
11つの小さな行動が積み重なって生まれておりますので、良かった行動を、褒めることで、部下はこの行動はよかったんだ、もっとやろうと思って、行動がより加速していくわけです。行動が変わったり、良くなることで、良い結果が生み出されるわけです。

・部下の気持ちがわからないというのはどうでもよいということ

たまに部下の考えていることがわからない、部下の気持ちがわからないという経営者、マネージャー層がいますが、極端なことを言えば、わからないで全く問題ありません。何故なら、行動によって結果が生み出されるので行動という客観的なものを見ていれば良いからです。部下の気持ちという見えにくいものを褒めるなどという必要がないからです。(もちろん部下のことを理解したいという気持ちを否定しているわけではありません。)

参考に叱るとは

人柄を褒めるのではないという話をしたので、叱るということも同じだと気が付いたかなと思います。叱る場合にも人柄ではなく(人柄を叱るというのは最悪の行為です)行動を叱るのです。叱るは行動に対して何が悪かったのかを指摘することです。それは行動を良くして結果を出すためのものなのです。

ちなみに、怒ると叱るの違いですが、怒るは感情的に、その人の人柄などを否定することです。経営者やマネージャーはどんな時でも絶対に怒ってはいけません。積み上げてきた全ての信頼、関係性が一瞬にしてなくなります。感情的にちょっと抑えられないというような場合には、その場から去るとか、
10秒深呼吸をしてみてどう思うかなど物理的に冷静になる時間を絶対に取るようにしてください。

信頼を勝ち得ることはすごい長い時間と努力が必要ですが、崩れるのは本当に一瞬です。

マネジメントについて体系的に学習したことのある中小企業の経営者はほとんどいません。
そのため、今うまくできていなかったとしても何の問題もありません。ここから体系的に学習をしていただければ、うまくできるようになっていきます。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

1986年生まれ、横浜出身、慶應義塾大学法学部卒業。

23歳の時、病気をきっかけに、小学校親友4名、資本金5万円で株式会社ウェイビーを創業。

10年間で10,000人を超える経営者、起業家の「組織づくり」「売上アップ」に携わる。

社長がいなくても回る強い組織、仕組みをつくる「01組織クラウド

小さな会社、個人事業主のビジネス成長を実現する「01クラウド

の01シリーズを展開中。

2016年10月より、世界経済フォーラム(ダボス会議)の日本代表選抜
2018年9月より、徳島大学客員教授就任
2020年4月より、iU 情報経営イノベーション専門職大学客員教授就任

「行動の品質」「自分の力で稼ぐ力を身につける本」など著書7冊。
日経新聞、エコノミスト、NHKなどメディア掲載も多数。