会社設立時に必要な申請手続き〜登記申請から税務・労務手続きまで〜

ポイント
  1. 会社設立までの流れ
  2. 会社設立の届け出(登記申請)
  3. 会社設立後の届け出(税務・労務手続き)

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4.会社の資金繰り手続き

会社設立の手続きを終えたら、事業の取引や給与の支払いに使うお金をやり取りするための銀行口座の開設は必須となります。

4-1 会社の口座開設

ただし、会社の口座の開設は、個人が口座を開くように簡単なものではありません。最近、法人名の銀行口座を使った振り込み詐欺などが横行している影響などもあって、口座開設の審査は厳しく、開設を断られるケースもあるのです。そのため、口座開設の手続きには、会社の代表が行くことが望ましいでしょう。身なりもきちんとして、信用のおける会社であることをアピールします。

口座開設の手続きに必要な書類は、以下のとおりです。

履歴事項全部証明書(役員や商号の変更などの履歴が全て記載されている登記簿謄本)
会社の銀行印
印鑑証明書
手続きに行く人の公的な本人確認資料
委任状等(手続きを代表者以外の人が行う場合)

これらの書類をもとに、銀行の担当者からは、以下のようなことが聞かれます。

主たる事業は何か、また謄本上、事業目的が多岐にわたる場合は、その内容について
実質的支配者について(実質的支配者とは、金融機関によって基準が異なることがありますが、だいたい議決権の25%超を直接または間接に保有するなど支配的な影響力を有すると認められる個人のこと。その人の氏名・住居・生年月日等が確認される)

また、これらの質疑の内容次第で、以下の書類を追加で求められることがあります。

会社案内、製品、パンフレット、取引先向けの提案資料、見積書、注文書、仕様書など
事業の実施自体に各行政機関等の許認可・届出・登録等が必要な業種の場合は、それらが完了済みであることを確認できる資料

これらの手続きの結果が審査にかけられ、1週間ほどで口座開設の可否について連絡があります。もし口座開設を急ぐ場合は、口座開設が認められなかった場合に備えて、別の銀行への交渉も視野に入れておくとよいでしょう。また、口座開設をより確実にするためには、紹介者を介して金融機関と交渉することで、開設がスムーズにできることもあります。

4-2 資金調達について

会社を設立したばかりのときは、何かとお金が必要になります。業種にもよりますが、オフィスや店舗の敷金、保証金、賃貸料に始まり、内外装や看板製作、机や椅子などの備品、パソコン、プリンタなどの機器などが必要となります。これらの購入に必要な資金は、「設備資金」といいます。

また、実際に事業を行ううえでの「運転資金」として、仕入れの資金、役員報酬や従業員の給与、社会保険料、外注費、通信費、光熱費、広告宣伝費、交際費などがかかります。これらの必要資金をまとめて一覧表などに整理し、具体的にいくら必要なのかを洗い出します。特に会社設立当初は、まだ売上金も入ってきませんから、どのくらいの資金を捻出しなければならないかということは、シビアに考えなければいけません。

その際、自己資金だけで設備資金と運転資金を賄える会社はいいですが、多くの会社はそれほど潤沢な自己資金を持っておらず、自己資金と借入の両建てで資金を賄っています。借入というと、借金をイメージして悪い印象を持ってしまう人もいるかもしれませんが、少額の資金ではできない事業もたくさんあります。一時的にお金を借りて、より大きな売上と利益を上げていくやり方が、ビジネスでは一般的に行われています。借りたお金をきちんと利息を付けて返してくれるなら、貸す側にもメリットがあります。

そこで、自己資金以外の資金を調達する方法ですが、手っ取り早いのは口座を開設したメインバンクから融資を受けることです。しかし、まだ事業も始まったばかりで、成功するか赤字になるかもわからない会社に対し、銀行もそんな簡単に融資はしてくれないでしょう。現実的には、決算を2回終えないと、融資に応じてくれないという銀行が多いようです。そこで検討したいのが、「公的融資」です。特に創業したばかりの会社に対して用意された新規開業融資なら、まだ実績のない会社でも融資を受けることが可能です。

新規開業融資で有名なのが、日本政策金融公庫の融資です。そのほか、都道府県や市区町村の制度融資などもあります。しかし審査のスピードの速さや融資限度額などを勘案し、日本政策金融公庫の融資を受ける会社は多いようです。

日本政策金融公庫で融資を受ける場合の手続きの流れを見てみましょう。

日本政策金融公庫の新規開業資金では、限度額7200万円(うち運転資金4800万円)までの融資が受けられます。これは会社を設立したばかりの経営者にとっては、心強い味方となるでしょう。以上で、会社設立に関する手続きはすべて終了です。いろいろな役所に多種多様な届けを提出しなければならず、また、その様式もさまざまなので、煩雑に思われる人も少なくないでしょう。

しかし、日本には約580万社の民間会社があり(総務省統計局資料より)、そのうち約4割が法人格と言われていますので、200万以上の会社は、こうした手続きを経てきているのです。逆にいえば、煩雑すぎる手続きであったら、それだけ多くの会社が創業することはできなかったということです。

手順を踏んで一つ一つ手続きを踏んでいけば、起業はそれほど難しいことではありません。もしわからなければ、税務署、ハローワーク、公証役場など各所管の役所に問い合わせれば教えてくれますし、役所のホームページ上にも豊富な資料や書式のテンプレートが用意されています。

ぜひこれらを参考にして、ぜひあなたも社長になる夢をかなえてみてください。

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