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フランチャイズに加盟して独立起業する際には、経営者として自らの商圏の状況をきちんとリサーチしておく必要があります。「フランチャイズなんだから本部がすでにマーケティングを実施しているのでは?」と思うかもしれませんが、実はこれはとても大事なことなのです。そこでそのマーケティングの必要性と方法について解説します。
なにもかも本部任せではいけない
フランチャイズ加盟の説明会等に参加すると、本部担当者から商圏の状況、見込み客の数、予想される売り上げなど詳細なマーケティング結果を見やすい図表にまとめ可視化して見せてもらえます。その上マーケティング調査の結果だけではなく、フランチャイズ加盟店としてのノウハウや成功例のモデルケースなど知りたいと思うことも丁寧に説明してもらえます。オーナーはその状況とロイヤリティを含んだ契約形態を検討して加盟するかどうかを決定します。
ただ「本当にそれだけ」で決めてしまっては後で後悔することにもなりかねません。たとえフランチャイズ加盟とはいえ、独立採算店舗のオーナーであることには変わりませんから、とくに出店予定地域のマーケティングは実際に自分で足を運んで実地に確認するべきです。本部の調査から漏れている情報があるかもしれませんし、何よりも人から聞いた情報より自分でつかんだ情報のほうが信頼に値するからです。
フランチャイズ加盟を検討している場合は、マーケティングも含めて実際に店舗を開業する前に自分でもきちんと調べるようにします。
どのようにして調査するのか
商圏として想定している地域の情報、見込み顧客数や顧客層などはインターネット上にも有益な情報はいくつも載っています。まずは手軽なところでネット上にあふれている情報を収集してみます。もちろんなかには眉唾モノの情報も混じっていますが、とにかく集められるだけ集めます。
口コミサイトや地域のタウン誌、SNSなどから地域の雰囲気を掴んでいきます。たとえばコンビニのフランチャイズに加盟するとして、顧客層として想定されるのは、学生や社会人、高齢者や子育て主婦などとします。そして商圏徒歩圏内に学校がいくつあるのか、またオフィスはどの程度あるのかなど昼間人口の把握に努めます。
できることなら平日の早朝から昼過ぎまでその地域を回って、すでに先発している競合他店(コンビニやスーパー、弁当屋や喫茶店など)への客足をその目で確認します。この時間帯は学生や社会人の通学通勤途中の買い物と昼食時の買い物の時間帯です。実際にその競合へ入店して店の雰囲気や客層、できれば大まかでも構わないので客単価までも把握できれば上出来です。
1週間くらい連続で調査すればかなり信ぴょう性のあるデータを蓄積することができます。このデータとフランチャイズ本部が提示してくれたデータを照合することにより、さらに精度の高いマーケティングとなり「出店して勝算があるのか」を判断する有効な材料となります。
次に時間帯を変えて同様の調査を行います。夕方の客層は子育て世代や高齢者も買い物に来店します。たとえば子供連れならお菓子類などを購入し、高齢者なら惣菜類などを購入するといった客層ごとの嗜好をその目で把握することが大切です。もちろん本部から提示される資料にも掲載されているかもしれませんが、紙上の数字を見るのと実際の買い物現場を見るのとでは意味が異なります。
オーナー自らが実際に足を運んでマーケティング調査を行う意義は、「フットワークの軽い、実際の現場をきちんと把握した経営者」になるために必要な仕事です。室内に閉じこもって報告されてくる数字だけを見ている経営者には分からない現場の雰囲気を直に感じ取り、オンタイムな経営感覚を養います。
「裸の王様」にならないためにも自ら動くことは重要です。
フランチャイズ本部のマーケティング結果も最大限に活かす
フランチャイズ本部もその規模が大きければ大きいほど、絶大なマーケティング能力を持っています。一例として、個人の力だけでは入手することの困難なビッグデータがあります。本部はこのビッグデータを分析することにより独自のサービスや商品の開発に日夜努力しています。
世情の動向を把握し、今後の予測を立て、次々と新戦略を打ち出してくれる本部なら大変心強い存在です。テレビCMを繰り返し放送してくれるだけで知名度は格段に上がりますし、ヒット商品が開発されれば、それを独占的に販売できるのもフランチャイズの強みです。
またチェーン全体のシステムにITを積極的に導入してくれ、キャッシュレス決済やポイント制度、アプリ開発など顧客にとって利便性が高まるような仕組みも個人で開発するレベルでは到底太刀打ちできないものを提供してもらえます。キャンペーンなども全国のチェーン加盟店で一斉に実施するなど販売促進の大きな推進力も期待できます。
ということはフランチャイズ加盟店のオーナーは「全国的に展開する大きなサービスや知名度、さらにヒット商品を地域で独占的に販売することができる」とともに「出店している地域の独自性に合わせた店舗オリジナルの企画」の二つを並行して実施することができるので、任せられるところは任せて、自身は店舗に専念するという理想的な経営を実現することが可能です。
継続する必要性
経営が上手くいくかどうかの大きな部分を占めているのは「正確なマーケティング」です。地域の顧客がなにを求めているのかというニーズを読み間違えなければ、安定した経営が望めます。逆にマーケティングを軽視して「自分がやりたいようにやる」という経営方針では独りよがりに陥ってしまい、苦しい経営を強いられることにもなりかねません。
また本部から降りてくる情報と指示を待っているだけでは、経営者としての感覚が育ちません。本部からの情報を有効活用しつつ、自分でも常に創意工夫を忘れないという経営姿勢が必要です。
もちろん開店当初に行ったマーケティング結果がいつまでも有効であるとは限りません。何事にも回転の速い世の中ですから、顧客のニーズや地域の状況も刻一刻と変化していきます。この変化に柔軟に対応してこそさらなる発展が期待できます。
世間全体の大きな変化の流れに対応するのは本部に任せて、地域の変化は自分で把握に努めるよう不断に地域に目を向けます。「駅前に新しいマンションが建設される」「近くの学校が統廃合される」「同じ商圏に大型店が開店する」などといった地域の変化に対して、先手を打って対策を講じることができるのも日々の正確なマーケティング調査があればこそです。
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