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事業承継による財産の引継ぎで注意すべき贈与税と負担を減らすための方法

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日本では高齢化が進み続けていますが、企業経営者についても例外はありません。経営者の平均年齢は上昇傾向にあり、事業承継を進めて行くことが不可欠となっています。しかし現状をみると、事業承継はあまり進んでいません。財産引継ぎの際の税負担も、承継の障害となっています。

ここでは、事業承継で注意すべき贈与税と、その負担を減らすための方法について解説します。

事業承継とは

事業承継とは、企業の現経営者が、他の人に事業を引き継がせることです。また、引き継がせる相手が誰であるかによって、親族内事業承継・従業員事業承継・M&Aに分かれます。なお、引き継がせるものは事業の経営権だけにとどまりません

会社の資本金・株式・人材、企業のノウハウや文化など、有形無形を問わずに全てのものを引き継ぎます。そして、後継者となった者は、単に経営者の地位を引き継ぐだけではなく、これまでの企業の歴史を尊重しながら、さらに事業を発展させていく責務を負うことになります

贈与税とは

贈与税は、まだ生存している個人から無償で財産を譲り受けた場合に、譲ってもらった人が負担する税金です。例え、財産のやり取りが家族の間で行われたものであったとしても、贈与税は負担しなければなりません。

贈与税の課税方法には、暦年課税贈与税と相続時精算課税贈与税の2つがあります暦年課税贈与税というのは、1月1日から12月31日までの1年間で、贈与によって取得した財産の金額が110万円を超える場合には、贈与税を負担しなければならないというものです。

この制度における税率には、贈与される金額が多くなるにつれて税率も上がる、累進課税制が採用されています。贈与金額が3,000万円以上になると、税率は55%です。贈与税の負担が軽くなっていると、相続によって得た財産に多額の相続税がかかるのを防ぐために、前もって贈与で財産を移転しようとする人が増えてしまうことが考えられます。

ですから、暦年課税贈与税の負担は、相続税よりも重いものとなっているのです。もう一つの相続時精算課税贈与税は、60歳以上の父または母からの贈与行為が対象です。財産を譲り渡す相手は20歳以上の子供か、孫でなければなりません。

そして、贈与金額が贈与者ごとに通算で2,500万円までであれば贈与税はかかりませんが、それを超える部分に関しては一律で20%の贈与税がかかります。例えばAさんが、父から1,100万円を贈与され、母からも1,500万円を譲り受けた場合、Aさんがその年に贈与された金額は2,500万円を超えていますが、贈与者である父・母それぞれについてみると2,500万円より少ないです。ですから、相続時精算課税贈与税の制度を利用していれば、その年の贈与税はかかりません。

相続時精算課税贈与税は、親世代の財産を若い人に譲ることで消費を促そうとする制度です。しかしこの制度を利用するためには、「相続時精算課税贈与税選択届出書」という書類を、税申告の期間中に税務署に提出しておく必要があります。そして、一旦相続時精算課税贈与税の制度を選択すると、暦年課税贈与税制度には戻ることができません。

さらに、この制度を利用していて、贈与者である父が亡くなったとすると、相続税算定の基礎となる相続財産には、贈与された財産も含むことになります。贈与財産を相続財産に含めるときには、贈与時の価格で計算します。また、すでに払っていた贈与税があるときには、その金額は税金額からは除外します。

事業承継で財産を引き継ぐための方法

事業承継の種類を後継者となる人で分類した場合には、最初に述べたように、親族内承継・従業員承継・M&Aの3つがあります。しかし、別の分類方法もあります。財産を引き継ぐ方法で分類するやり方です。この方法で事業承継を分類すると、相続によって財産を引き継ぐ事業承継と、生前贈与によって財産を引き継ぐ事業承継との、2つになります。相続によって財産を引き継ぐ方法では、経営者が亡くなったときに、遺産という形で財産を後継者に譲り渡します。つまり、相続によって事業承継が完了することになります。

この方法をとる企業は多いですが、相続によって事業承継すると、重い相続税負担が発生します。相続税も贈与税と同様、相続する財産の金額が多いほど税率が上がる、累進課税制度になっています。相続財産の金額が6億円以上であれば、課せられる税率は何と55%です。また、相続による事業承継では、遺留分にも注意が必要です。法定相続人には遺留分といって、最低限保証されている相続分があります。

企業経営者としては、より多くの財産を後継者に引き継がせたいと考えるのが一般的な心理でしょう。しかし、遺言で後継者に多くの財産を残そうと思っても、その内容が他の相続人の遺留分を侵害していれば、遺留分減殺請求を行使されて、結局遺言のとおりに財産を残せない可能性があるのです。

一方、生前贈与によって事業承継をする方法では、経営者が生きている間に財産を引き継いで事業承継します。財産を譲り受けた際には贈与税がかかりますが、その課税方法は、前述したように暦年課税贈与税か、相続時精算課税贈与税のどちらかを選ぶことができます。

財産の規模にもよりますが、事業承継で生前贈与を行う場合には、相続時精算課税贈与税が選ばれることが多いです。またケースバイケースではありますが、相続による事業承継には、先に述べたように税率や遺留分の問題があります。そこで近年では、生前贈与による事業承継が検討されることが増えてきました

贈与税の節約方法

生前贈与によって事業承継を行うのであっても、節税対策はやはり必要です。何も対策をとらないままでは、多額の税金が課税されてしまいます。ここからは、贈与税節約のための方法を紹介します。

まず、最初の対策は、すでに述べた相続時精算課税贈与税を利用することです。この制度では、相続時に結局は相続税を支払うことになります。しかし、一時的にせよ税金負担を軽減できますし、相続税率と贈与税率の違いから、税金を払うことになったとしても税額を抑えられることが多いです。

次に、事業承継税制を利用する方法があります。事業承継税制というのは、後継者が事業承継によって財産を譲り受ける場合に、一定の条件を満たすことで贈与税の納税を猶予してもらえる制度です。事業所のある都道府県の担当課で手続きができます。

事業承継時の税負担に苦しむ中小企業が多いですが、これらの制度でかなり負担を減らすことができますので、積極的に活用しましょう。

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