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事業承継における役員借入金の扱いと節税対策の仕方について

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同族会社などでは役員借入金が残っていることが珍しくありません。この役員借入金は扱いが少しややこしく、手続きの方法次第では事業承継の際にデメリットを及ぼしてしまうことがあります。

そこで、事業承継における役員借入金の扱いと、節税対策について解説していきます。少し手続きを工夫するだけで費用を大きく下げられる可能性もあります。

役員借入金とは何か

役員借入金とは、簡単に言うと経営者が会社に貸し付けているお金のことです。このお金は経営者にとっては貸付金ですが、会社にとっては借入金という少しややこしい性質を持ちます。経営者の持つ債権であるため、事業承継の際には財産として相続する形になります。そこには様々な税金がかかるので事前に対処しておくことが大切です。

役員借入金をそのままにするとどうなる?

事業承継においては財産に対して相続税がかかりますが、それは役員借入金も同様です。役員借入金の場合は株式などとは異なり、額面通りの評価を受けることになります。例えば、経営状態が悪いときの株式に対しては評価額が下がることで相続税が少なめに算出されることもありますが、役員借入金は会社の状況に関わらず額面通りに計算されます。これにより、役員借入金にかかる相続税が大きな負担となることも少なくありません

また、役員借入金は法人税にも影響を及ぼします。資本金が1億円以下の同族会社では、前事業年度終了時の自己資本比率が50%を割っている場合、留保課税が停止されるという規定があります。これは中小企業において非常に助けになる規定です。

しかし、役員借入金は自己資本に含まれるため、役員借入金があると自己資本比率が50%を超えてしまう可能性が高くなります。その結果として、留保金課税が停止されない状態に陥るという状況が起こりえます。こういった問題を発生させないためにも事業承継の際には役員借入金への対処をしておくことが大切です。

役員借入金に関する節税対策の必要性

事業承継の際には様々な税金が発生しますが、税制上の猶予を利用することによって負担を軽減することが可能です。しかし、役員借入金に関しては税制の猶予の対象から漏れてしまったり、経営状態の左右されずに高額な課税がなされたりと、企業の費用面に大きな影響を及ぼす可能性があります。それゆえに、役員借入金に対して個別の節税対策を行うことが有効となります。

事業承継の際に発生する税金が支払えず、これといった対策を取らなかった場合は不動産などを売却して支払わなければならない状態になります。これは企業にとって致命傷にもなりえる自体です。したがって、見切り発車で事業承継するのではなく、しっかりと節税対策とお金の準備をした上で事業承継を行うことが重要となっています。

資本金に振り替える

役員借入金を資本金に振り替えるだけでも節税対策になります。役員借入金が資本金に振り替えられると、経営者の財産は債権から株式に組み替わります。株式には企業の経営状態を反映した評価圧縮がなされるので、そこにかかる相続税も少なくなる可能性が高いです。役員借入金を現物出資する手法が事業承継の前によく行われています。この手法はデット・エクイティ・スワップと呼ばれます。

資金移動をせずに資本金への振り替えが出来ることから、手続きが簡単に行えるというメリットがあります。ただ、これはあくまで評価圧縮を狙った方法なので、経営状態が良くそれほど評価圧縮がなされない企業であれば、あまり節税になりません。逆に経営が赤字の企業においては効果てきめんであり、株式同様に評価額が下がり、相続税が大幅に減額されることもあります

さらに、この方法は比較的素早く行えるというメリットもあるため、何らかの理由で事業承継までに時間があまりない時にも有効となります。とは言え、企業の状況によってどの程度評価が圧縮されるかは変わってきます。企業として調子が良いときよりも、少し調子が悪いときの方がより評価額が下がるのでタイミングを見計らうことも大切です。

繰越欠損金を活用する

企業の赤字が続いていると繰越欠損金が累積していることが珍しくありません。繰越欠損金とは赤字になっている所得の金額のことですが、将来発生した所得と相殺することで法人税を節約できる仕組みになっています。繰越欠損金の範囲内で役員借入金の債務免除益を計上すれば、課税を回避しつつ役員借入金を減らすことが可能です

役員借入金が減ればもちろん事業承継の際の相続税額も減るので、企業の負担を軽減することが出来ます。繰越欠損金が発生していることが前提となる方法ではありますが、条件さえ満たせば高い効果が期待できる方法と言えるでしょう。

役員報酬を役員借入金返済へと組み替える

経営者の役員報酬を減額して、その差額を役員借入金の返済に充てるという方法もあります。こうすることによって役員借入金を減らせるだけでなく、源泉所得税や社会保険料の負担を抑えることが出来ます。経営者は減額された役員報酬と、会社に貸し付けているお金の返済分を受け取ることが出来るので収入は減りません。それどころか、所得税と社会保険料の減少により、手取りの収入額は増える可能性すらあります

役員借入金を減らしつつ、他の部分へのしわ寄せがないという点で言えば合理的な手法と言えるでしょう。ただし、この手法を用いて高額な役員借入金を減らしていく場合は、事業承継をする数か月前から実行に移しておく必要があります。なぜなら、役員報酬を活用している以上、一気に数百万といったお金を動かすのは難しいからです。

役員借入金の額と通常の経営者の役員報酬から逆算し、早めに減額をスタートさせることが大切と言えるでしょう。役員借入金が少額である場合は1か月分の減額だけでも、そのほとんどを返済できることがあります

また、これらの手法を用いてもどうしても役員借入金をなくすことが出来ず、高額な税負担になってしまう場合には事業承継税制を利用することも選択肢に入ります。事業承継税制は一定の条件を満たす中小企業において、事業承継にかかる税金の支払いを猶予してもらえる制度です。

その他にも、地方自治体の支援制度を利用するという方法もあります。いずれにしても事業承継や税制に詳しい専門家に相談し、ベストな方法を選択できるようにするのが会社にとって重要なことと言えるでしょう。

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