独立開業する人は絶対知っておくべき会計経理

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会社を辞めて独立する場合、個人事業主になる場合と法人として起業する場合があります。

手続きが楽で創業しやすい個人事業主と、設立手続きは煩雑なものの所得が増えたら節税になる可能性のある法人、どちらで独立するのがいいのでしょうか。

個人事業主と法人それぞれの場合の独立に伴う手続き、社会保険、決算期の違いと、どちらの場合も活用できる会計ソフトについて解説します。

個人事業主の場合の手続き・社会保険・決算

個人事業主になるためには「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

開業届は、届出の区分を「開業」にして、事業所の住所、事業内容などの必要事項を記入します。

開業届を提出すると屋号での口座開設ができます。青色申告とは確定申告の方法のことです。

申告方法は白色申告でも問題ありませんし、白色申告は単式簿記なので簡単に申告できます。

「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければ白色申告として扱われます。

しかし、青色申告は青色申告特別控除という、記帳方法が複式簿記なら65万円の控除が受けられるので大幅な節税になるというメリットがあります。

単式簿記を選択した場合でも青色申告なら10万円の控除が受けられます。

記帳を複式簿記で自力で行なうのは、簿記の知識がなければ大変ですが、会計ソフトを利用することで簡単に記帳は行なえます。

どちらも提出分とコピーを持っていき、コピーには受領印を押印してもらいましょう。どちらも管轄の税務署に提出するものなので一緒に提出するのが楽です。

個人事業主も保険に加入する義務があります。勤務していた頃は社会保険と厚生年金に加入していますが、退職したら保険は国民健康保険に、年金は国民年金に加入する必要があります。

離職票や資格喪失証明書などの退職日のわかる書類を持って役所で手続きしましょう。事業によっては国民健康保険組合の保険に加入することもできます。

前年の所得から保険料が算出される国民健康保険と異なり、保険料が定額のところも多いので、所得が多い人には節税になります。

国民健康保険料や国民年金を経費として計上することはできませんが、確定申告で所得控除の対象にできます。

個人事業主の事業年度は1月1日から12月31日までと税法で定められているため、決算日は12月31日で固定です。

決算は収入や支出などの計算を行なうことを指し、この数字をもとに所得税を計算したり申告したりします。

目安として年間の事業所得が安定して500万円を超えるようであれば、法人に切り替えた方が税金が安く済むことがあります。

個人事業主の場合は事業利益の全てが課税対象になりますが、法人化して役員報酬を支払うと給与所得控除額の分、法人所得を減らすことができるので節税につながります。

法人の場合の手続き・社会保険・決算

法人の場合は個人事業主と違って書類提出だけで設立できるものではありません。

会社設立にあたっては、会社名、事業目的などを決めてから、法人印鑑を作成します。会社名を有名企業と同じにすることはできません。

法人印鑑は会社を経営する上で必ず要るものですが、日常的な業務で使用するために銀行印や社印など、他の印鑑も作っておくと便利です。

印鑑を登録したら、印鑑証明書を取得できるようになります。次に、定款、登記書類を作成します。

定款には事業目的や会社名、本店所在地などを記載し、本店所在地管轄の法務局にある公証役場で認証手続きを行ないます。

定款は紙でなく、電子定款にもできます。合同会社の場合は定款の認証手続きは必要ありません。

定款の認証後に資本金を自分の口座に振込み、通帳の必要な部分を印刷して、払込証明書に添付します。

法務局へ登記申請をすると、その日が会社の設立日になります。

登記申請後に履歴事項全部証明書ができ、これがあると金融機関で法人名義の口座開設ができます。

法人名義の口座開設後に、資本金を自分名義の口座から法人名義へ移します。

会社設立後にも、提出しなければいけない書類があります。都道府県税事務所と市町村役場に以下の書類を提出します。

  • 法人設立届出書、管轄の税務署に法人設立届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書
  • 減価償却資産の償却方法の届出書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書
  • 給与支払事務所等の開設届出書(従業員が自分だけでも必要)
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の支払人員がすでに10名以上の場合不要)

法人の場合は従業員が自分だけでも社会保険に加入しなければならないことが法律で定められています。手続きは年金事務所で行ないます。

ただし、所得がゼロの場合や保険料を下回っている場合には給料からの天引きができませんので社会保険に加入できません。

こうした場合は国民健康保険のままです。従業員がいる場合は労働基準監督署で労災保険、ハローワークで雇用保険の加入手続きを行ないます。

設立時に必要なくても、従業員を雇ったらどちらもすぐに手続きしましょう。

法人は決算期を自由に設定できます。法人税等の申告期限は決算期末から2ヶ月なので、その間に繁忙期がないようにしましょう。

また、設立から初回の決算までの期間が短いと、業績も費用も整わないまま決算日を迎えてしまいかねないので、設立から1年を超えない範囲で、できるだけ期間をあけて設定しましょう。

会計経理は会計ソフトを使うと負担が少ない

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独立したら、個人事業主でも法人でも会計経理をする必要があります。

経理は税理士を雇ったり会計事務所に依頼したりできるので、自分でやらなくてもいいものです。

しかし、人を雇うとなると自分で行なうより経費がかかってしまいます。

自分で行なう場合、会計の知識がなくても会計ソフトを利用することで、決算や確定申告を楽に行なうことができます。

青色申告で最大控除を受けるために必要な複式簿記は複雑な記帳方式ですが、会計ソフトを使用することで簡単にできて、しかも会計ソフトを運用するのにかかった費用は経費にできます。

会計ソフトにはインストール型とクラウド型があります。クラウド型は月額で支払うのが一般的です。

買い切りのインストール型と比較するとランニングコストがずっとかかり続けるのがデメリットですが、常に最新のソフトを利用でき、サーバー上にバックアップデータが保管されるというメリットがあります。

会計ソフトの中には、法人化する時も会社設立に必要な項目を入力するだけで書類を用意できるソフトもあります。決算書類も会計ソフトで簡単に作成できます。

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