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施工図を描く施工図屋(図面屋)という職業は、実際の工事を進めるために建設現場には欠かせない仕事です。
しかし、事務所に所属して施工図を描いていると、給与などの待遇面において将来を不安に感じる人もいるようです。
中には、施工図屋として、独立を考えるケースもあります。そこで、実際に施工図屋として独立する前に、知っておくべきことについてまとめました。
施工図屋は現場に出向くことを億劫がってはいけない
施工図屋(図面屋)になろうとする多くの人のうち、「CADを操作して黙々と作図をするのが好きだから」というのが目指す理由の場合もあるようです。
しかし、従業員として事務所などに勤務し、ただ単に施工図に修正や訂正を入れる作業を担うだけならばともかく、施工図屋として独立をしたいのであれば、そのような意識は変えなければなりません。
独立して食べていくことのできる施工図屋になるためには、身に付けなければならない必要不可欠な力がいくつかあるのです。
最初に、施工図屋の仕事についておさらいしておきましょう。施工図屋として独立を志す人であれば勿論知っているでしょうが、施工図と設計図は違います。
施工図は施工図屋が作図しますが、設計図は建築士が描きます。また、内容も2つは全く異なるものです。
設計図は、その土地にどのような建物を建てるのかという、いわば夢の詰まった企画書のようなものです。
一般的には、設計図を見て建物が建設されていると思われがちですが、実際に工事を担う人達が設計図を見て建物を建てようとしても、建てることはできません。
細かな情報が欠けているからです。その部分の情報を補い、建てることができるような状態にまで落とし込んだものが、施工図です。
例えば、内部に廊下があり、その両側にはいくつもの扉が並んだホテルの設計図があるとします。
この扉同士の間隔をどのくらいとり、廊下の幅はどうするのか、工事を担う人たちがすぐに作業に取り掛かれるような明確な指示を出すのが施工図です。
こうした仕事内容から、施工図屋に求められることとして考えられるのはどのような力でしょうか。
まず、現場への指示を出すためには、CAD操作の技術があるだけでは全く足りないことが分かるでしょう。
実際の工事現場ではどのように作業が行われ、施工図がどのように使われるのかを知っていなければならないのです。
つまり施工図屋に求められるのは、単に図面を作る技術だけではなく、建築工事についての深い知識です。
これを持たないままに施工図を作図しても、実際に工事に取り掛かったところ廊下の幅が狭すぎて工事機材が入れないとか、極端な話、両側のドアを同時に開くとぶつかってしまうなどという事態になりかねません。
次に、施工図屋には、現場と建築士の橋渡しをすることも求められます。
現場の状況に応じて施工図に修正が入ることは多くありますが、そのような修正点は、建築士との打ち合わせを経なければなりません。
どんなにインターネットが普及した現代であっても、現場に施工図屋がいなければ、現場・施工図屋・建築士の間で迅速にやり取りができず、不便が生じます。
さらに、建設現場には一つとして同じものがありません。工法も異なりますし、使用する材料も異なります。
それによってどのように工事を進めて行くかという方法も変わってきますから、施工図屋も常に現場で勉強して、建築に関する知識を蓄えていくことが必須です。
従って、施工図屋として独立を目指すのであれば、「現場に出ることを億劫がってはいけない」ということを肝に銘じておくことが重要なのです。
人とのコネクションを積極的に作ろう
ただ闇雲に施工図を描いても、その施工図を買ってくれる顧客がいないことには当然のことながら食べていくことができません。
仕事をもらうために、積極的に人と繋がっていくようにしましょう。
この点、独立までにどこかの建築事務所に勤めていて、建築業界に多少なりとも知り合いができていると、それをきっかけとして仕事を得やすくなるかもしれません。
しかし、現在の建設業界は、仕事の進め方や業務の割り振りなど、構造的な部分において変化してきています。
以前であれば施工図屋に外注して頼んでいた図面も、建設会社内部に施工図部門などを設け、外注せずに内部で済ませてしまうことも増えました。
そのような環境変化の中で継続的に仕事を得るためには、かなりの貪欲さと覚悟が必要となるでしょう。
施工図屋として自分にしかないものは何か
「この分野に関しては絶対に他の人には負けない」というアピールポイントを作っておくことも重要です。
施工図を売りやすくなります。勿論、経験が非常に豊富で、分かりやすい施工図を作図できるという評判を業界内で得ることができていれば、それに越したことはありません。
現場から見た場合に一番必要となる施工図屋というのも、工事に精通した、分かりやすい作図のできる人です。
しかし、独立した直後からそのような評価を得ることは現実には難しいですので、少しでもこれまでの経験をアピールに変えましょう。
例えば、「〇〇工法の現場に長年携わっていたので、その工法には詳しい」というようなことでも良いのです。
そのようなアピールに加えて、後はとにかく現場に顔を出して役立つ施工図を作図する努力を続ければ、少しずつ仕事を得られるようになっていきます。
ちなみに、施工図屋として独立するために特に資格は必要ありません。
しかし、先に触れたように、良い施工図を描くためには建設現場に精通しているのに加えて、設計図を正しく読み取ることのできる力が必須ですから、建築士の資格の勉強をしておくと役に立つこともあります。
ただし、これはあくまでも知識の面においてです。現場にとって必要とされる施工図屋になるためには、その知識を分かりやすい施工図に昇華させなければならない、ということは忘れないようにしましょう。
人間力にも磨きをかけよう
どの職種にも言えることですが、同じ値段で仕事の質も大きく変わらない場合、仕事を依頼しようという気になるのは、やはり人柄の良い人の方です。
仕事の技術を磨くことも大切ですが、人間力も上げておいて損はありません。
注意すべきなのは、良い人柄というのを、何でも引き受けるイエスマンになることと勘違いすることです。これは、人柄が良いということではありません。
仕事が依頼されるどころか、そのようなイエスマンは、「調子が良い人」と思われて逆に距離を置かれてしまうこともあります。
自分なりに譲れるところ、譲れないところの境界線を明確にし、信念を持って仕事をしましょう。そして、譲れない場合にはその意思を、気持ちよく率直に相手に伝えることです。
これを上手くできるようになれば、例え断られたとしても相手も決して悪い気はしません。むしろ人間性を信頼されて、仕事が増える可能性もあります。
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