【こんなときどうする?】税務調査で領収書などを紛失してしまった時の対処法
- 保存すべき書類は各法律(会社法や税法等)によって定められており、それぞれ保存期間が違う
- 税務調査時に領収書等の証憑を紛失していた場合 ①取引先に再発行を依頼する②購入証明書を依頼する③出金伝票を作成する
- 頼りになるのが税務のプロフェッショナルである税理士
そもそも帳簿をつけていなかった場合の対処法は次のとおりです。
帳簿をつけていなかった時は青色申告の要件を満たさず、青色申告の取り消しを受ける場合があります。
紛失した場合は直ちに取り消しということにはなりませんが、青色控除が10万円になるケースが多いようです。
その後領収書など現存している証憑などから税務署側が集計した数字で申告を促されたり、場合によっては税務署側が把握している「推計値」による申告を促されたりします。
帳簿以外で確認できる部分しか認められないため、通常は申告時より課税金額が増えるでしょう。それを認めたくなくても反論する資料がない以上、税務署の指示通りに従うことになります。
帳簿をつけていなくても、紛失してしまったとしても税務調査までにできることはあります。それは、証憑から可能な限り帳簿を作り、修正申告をすることです。
通帳や領収書、請求書など現在存在する証憑に基づき帳簿を作成し、税務調査日の前日までにその帳簿に基づき修正申告すれば、少なくとも何もせず税務署の言いなりになるよりは現実に近い追徴税額で済むでしょう。青色申告の取り消しを受ける確率も低くなります。しかし留意すべき点が二点あります。
一つ目は、帳簿を作成しなくても申告書に直接記載する数字はすべて何らかの形で根拠となる資料をもとに記載することです。
例えば売上帳を作成せずに収入金額を申告書に記載するケース等が考えられます。この場合、売り上げを計上するための算式が明確になっていれば(例:物品単価×はっきりした販売個数など)、税務署も根拠のない数字とは言えなくなります。
二つ目は、証憑がなく、はっきり主張できない取引は記載しないことです。ただでさえ修正申告を招いている状況で不確かな取引が出てくれば、その他すべて怪しく思えるのは自然な流れと言えます。開き直るわけではないですが、欲張らず確実な処理をすれば不利益は最小限にとどまる可能性は高まります。
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ただ紛失してしまった場合や帳簿をつけていなかっただけの時と違い、税務調査が入る状況では何らかの対策をとったほうがいいことは間違いありません。これまで解説してきた対策を実行したとしても、相手は税務に関してのプロフェッショナルである税務署の調査官です。結局は、調査官の言われるがままになる可能性もあります。
そんな場合でも頼りになるのが税務のプロフェッショナルである税理士です。
税理士の独占業務は①税務代理、②税務書類の作成、③税務相談と法律で定められています。税務署への申告を代行することは当然として、納税者の代理人として税務調査の際に主張したり意見の陳述をしたりその処分に対して不服申し立てをすることもすべて税務代理行為です。
①税務調査までに日数が少なくても修正申告が出来る可能性が高まる
毎年何十件、何百件と申告しているプロですから、税務調査日の前日までに申告出来る可能性が高まります。間に合えば加算税が安く済みます。
②調査官ともスムーズなやり取りが可能で、問題点が指摘されても的確に対応できる
税理士は税法のプロですので余計な説明に要する時間が短縮され、論点を絞った対応ができます。
③調査官との交渉を一任でき、精神的な負担を減らせる
応対するだけでも気を遣う調査官とのやり取りをせずに済むというだけで、大半の納税者の精神的な負担は減ります。ただし税務調査時は、納税者も立ち会う必要があります。
④調査後の手続きも対応してもらえる
修正申告に応じるかどうかの判断や修正申告そのものの手続き、処分に不服がある場合の不服申し立て手続きまで対応してもらえます。
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いかがでしたでしょうか。軽微な紛失、作成漏れなら自力でなんとかなるケースもあります。
しかし作成していなかったり、応対する自信がない場合は、経済的負担を考慮してもその道のプロである税理士に依頼したほうが重加算税などの回避につながり、結果的に安くつく場合があります。
ただ、紛失した場合でもくれぐれも「偽造」しないよう心がけましょう。
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