中小企業は独自化で生き残ろう!ワンダープロダクト株式会社 代表取締役 平山 晋さん

ポイント(この記事は7分で読み終わります)
  1. お客さんのところに行く。会って話すのは絶対
  2. クライアントと工場の間のクッション役
  3. 何聞かれても、それ「 得意っす 」

中小企業が生き残っていくための一つの正解が「独自化」していくことなのではないだろうか。

そんな仮説からスタートした、経営者のインタビュー連載「中小企業は独自化で生き残ろう!」。

第6弾は、ワンダープロダクト株式会社 代表取締役 平山 晋さんです。

アパレル商品のOEMを手がける

−今日はよろしくお願いします!独自化がテーマなのですが、平山さんが奥ノ谷さん( 短パン社長 )と一緒に今までやってきたことなどを中心にお話いただけますでしょうか。

平山)いえ、奥ノ谷さんはあくまでも昔の会社の先輩であって、一緒に働いてるわけではありません。

-ええええええ。てっきり短パン社長のところの社員さん、いや、むしろ秘書なのかと思ってましたよーーー!

きっとそう思ってる人も多いはずです!

はい笑 よく言われますが、全く別の会社でやらせていただいてます。

もちろん、一緒にお仕事はさせてもらってますけどね。

-そうでしたか。いきなりビックリです。では。改めて、今の仕事についてお話を聞かせてください!

あまり何も考えないで仕事してきて、気づいたら6年ぐらい経ってたっていうのとかは、ダメなんですよね?(笑)

−はい、それだと記事にならないのでもう少しやる気だしてください(笑)

まず簡単に起業するまでの経歴を教えていただけますか。

学校を卒業してアパレルのメーカーの営業を4年ぐらい、そのうちの1年間は中国に駐在していました。

ちなみにこの時の会社の先輩が奥ノ谷さんなんですよ。実はそれ以来のお付き合いをさせてもらってます。

当時の会社が中国企業と物流会社を作って、そこに日本のオペレーションを入れるっていうので連れて行かれた感じです。

江蘇省の常州っていう、ユニクロの大きな工場とかがあるところです。

−中国語はしゃべれるんですか?

その時1年間住んで、それから今までずっと毎月1回、12年ぐらい行っているので、ちょっとぐらいは喋れます。

でも間違えたら大変なので、大事な話は通訳の人を通じて日本語でしかしないですね。

普通にご飯を食べたり、どこか出かけたりするぐらいはできるんですけど。

−なるほど。その後は?

その次は小さなアパレルのOEM(他社ブランドの洋服の製造) をやっている会社に入りました。

お客さんの所に営業行って、お客さんの欲しいもの聞いて、工場に依頼して作ってもらうみたいな。

26から32歳までやって、そこから独立して今6年が経ちました。

32歳で独立

−なんで個人でやろうと思ったんですか?

前の会社に入った時は社長と2人だけだったんで、自分で営業から生産まで全部やってて、しんどかったけど楽しかったんです。

だけど俺が辞める時は既に社員が20人以上の組織になっていて、やっぱり俺はもっと小さな規模で、小回りが利くような仕事の方が向いてるなってことで、自分でやってみようかなって。


−開業資金はどうしたんですか?

恥ずかしい話、自分が貯めてたのは200万ぐらいしかなくて、前の会社の社長に150万円出してもらって、一緒に立ち上げたもう一人のメンバーが50万出して、あとは俺が親に100万借りて資本金500万でスタートしました。

−基本的なビジネスモデルとして、入金サイクルってどんな感じなんですか?

基本は、商品をおさめた月の末締め、翌月末払いのところとやるようにしています。

作っている工場は前職から15年ぐらい付き合っているところもあるので融通してもらっていて、ふつうならFOBといって、中国の港で船に商品を積み込んだ時点で、お金を入金しなきゃいけないんだけど、末締めの翌末払いでやらせてもらってます。

よくないけど自転車操業でも回るんですよ、入ってきたら払うでも(笑)

ワンダープロダクトの女性社員の皆さんと

−平山さんのような小さな規模の会社がけっこう多いんですか?

すごく多いですね。むしろそういうところばっかりです。逆に今はもう、ここまで一番小さい規模か、大規模にしてやってるか。中途半端なところが一番厳しいです、コストがかかって、費用、経費がかかって、売上があまり取れないみたいな。

顔を合わせるのが大事

−同業他社と比べて、ここはちょっと考え方が違うとか、アクションが違うなみたいなことがあったりしますか?

基本、お客さんのところに行く。会って話すのは絶対にするようにしている。今の時代だと無駄と言われることも多いけど、やはり顔を合わせるのは大事かと。

届いた荷物とかサンプルも会社へ送れば、簡単じゃないですか?送ったら500円。電車で行ったら、往復で1000円かかったりもするけど、基本的に自分で持っていくスタンスなんです。

送って届いてみて、間違っていたりお客さんの希望と違った時に、ただ商品だけだったら、あの会社はちょっと合わないな、で終わっちゃう。

そこにいて、俺が持って行けば間違ってないわけじゃないけど、すぐ謝れたり、こういう理由でこうなったとか、こういう風に勘違いしてました、だからこう直しますとか、得意っすって言える。それが安心に感じるかどうかは向こうの話だからわからないけど。

まめに客先に通った方が、今やってる仕事の話もできるし、お客さんが、今度こういう商品作ってみたいけどどうやったらできるかなって考えている時に、いつもいればお前のところでできるの?みたいに話が来るから。

絶えず仕事が貰えるっていうとあれだけど、続くかなぐらいは思ってやってた。やってたらそれがなんか当たり前になって、今でもそうなっちゃってます。

−そこにいれば、ピンチがチャンスになる可能性があるってことですね

何も言われなくなる方が本当のピンチだと思っている。言われているうちが花とはよく言ったもんですもんね。

クッションとしての役割

−今なら、洋服って、お客さんから平山さんの会社を経由せず、工場にネットで直接で依頼できちゃいそうなイメージがあるんですけど、なぜそうなってないんですか?

いつかはもしかしたら価格的なメリットでうちの必要性がなくなっちゃうかもしれないけど、あまり知らない( 面識がない )人同士で商売をしたがらないっていうのが絶対あります。

最近はだいぶ中国側も日本で展示会やったり、日本語も話せるから自分らで営業かけたりするのが増えてきてるんですけどね。

ただ、日本人も中国人も、あんまりビジネス的にお金が安いから、すぐこっちに変えるみたいな体質じゃなくて、やっぱり人間関係や義理だったりみたいな、お前のところにこの間キツい仕事を頼んだから、今回のやつは、他より50円高いけどお願いするよっていうようなノリがやっぱりある。

人間関係がない人たち同士だと、品質や納期、支払いサイトなどで余計なトラブルがたぶん多くなる。

でも俺が入ってクッションになって、こっちにもあっちにもあっちにも言いたいこと言われて、白と黒の意見を合わせてグレーにして、どっちにも納得してもらうみたいな役割をしている。

相手から要望だけ伝えてもらったのをうちが交渉して、これとこれはオッケーだけど、ここはこうできないですか、みたいなところで工場側と調整する。

たぶんそこに価値を感じてもらうっていると思う。なんか説明が難しいですね。

みんな、なんで俺に頼んでくれるんだろ?モギーさん何でだと思います?

-それをいま僕が質問してます(笑)

あのユニクロのような規模だって、自分で作らず、他社に頼んで生産してもらっていますからね。そのかわり、ものすごい厳しくマニュアルを作って品質管理してますけど。

まだまだ俺たちのような会社は必要とされてるんだと思います。

なんか話してたら勇気が湧いてきました。俺、洋服作るの得意っす。

NOって言わないこと

−お客さんに会いに行くこと以外で何か意識してることはありますか?

基本NOって言わないこと。ちょっとネタになってるけど、絶対できますって言います。何聞かれても、それ「 得意っす 」って。

それを初対面でやるとただのダメなやつになっちゃうけど、ある程度信頼関係があって一生懸命やれば、けっこう温かく見守ってくれるというか。

向こうが困っていることを頼まれて、なんとかそれに応えようとして頑張った経過とかもちゃんと見てもらえると、結果的に他に頼んだ方が安かったりしても、ありがとう。ってなり、じゃあ、またいつもの通常の仕事もお願いね。ってなる。

ふつうなら、相手に迷惑がかかるから無理なものは断った方がいいとなるかもしれない。

当たり前だけど、できないなら初めになんでNOって言わないんだって思いますよね。

だけど俺は言わない。絶対に。

-今まで作ってきたもので一番難しかったのはなんですか?

難しかったというか、初めてさすがに無理と思ったのがサンドバッグです(笑)

さすがにこればっかりは最初はお断りしました。

でも死ぬ気で作れるとこ探してたら、作れるとこあったーーーーー!ってなって、得意っす。ってなりました。


 

女性専用キックボクシングジム「 ミットネス 」の入口にあるサンドバッグ

−なんでそういうスタンス何ですか?

基本的に仕事でも仕事じゃなくても、頼られると嬉しいじゃないですか、人って。

それに応えたらまた向こうも嬉しいじゃないですか。ただそれが好きだからっていう理由ですかね。

あと、これは意識してやっているわけじゃないんですけど、こういうスタンスで仕事をしていると、みんなから煙たがられているようなクセの強い人と仲良くなる傾向がある。

あ、今のお客さんが全員そういう人たちということではないですよ(笑)

−なぜ仲良くなることができるんですか?

お客さんや企業もそうだけど、やっぱりこのご時世、もっと安く!もっと早く!などの依頼も正直多い。値段や早さだけの勝負だったらうちみたいな会社や勝てないし、そこと争ってたら潰れちゃいますからね。

それに比べて、クセのある人たちに( すみません! )NOって言わずに近づいていく人はあまりいないので、一度信頼してもらえるとずっと依頼してもらえる。ライバルがいないから、結果として長いお付き合いになっていくという感じ。

そこまで考えてるつもりはなかったけど、結果的にそうなってるからそうなのかと。いま取材に答えてそう思いました。

−面白いですね!そういう人に一歩ぐいっと入っていくときのポイントってあるんですか?

さっきのNOって言わないのもそうだけど、困ってる人がいるのに、俺は知らないですなんて言えない。

分からなくても、必ず日本中のどこかに、それ専門で仕事をしてる人がいるのを信じて、誰かに聞いてみますから待っててください!っていうのが、もしかしたらその人に一歩入るためのポイントになるのかもしれません。

あとは、意外って思うかもしれないけど、お客さんを接待するとか、一緒に飲みに行くとかそういうのは全然やってない。別に飲んだから仕事がもらえるとか、飲んで相手の懐にみたいなのは一切ないし、嫌いです。


 

中国の工場の写真①

行った国の言葉で喋る

−中国の人たちと仕事していく上で商習慣が違ったりとか、ここは感覚が違うなと思うことはありますか?

その人にもよるのでなんとも言えないんですけど、こっちが仕事を出す側だから立場が上みたいな態度でいく会社は大体失敗します。そういったことに敏感だしすごく嫌がられる。

あとはやっぱり行った国の言葉を喋るっていうのはすごく大事じゃないですかね。外国の人が日本に来て、片言でも日本語で喋ってくれると嬉しいってなるじゃないですか。

だから向こうも一緒かなって。中国にいるのに日本語だけで日本の料理を食べて、日本のことだけ話していても仲良くなれないですよね。

一度仲良くなると向こうの人たちの方がすごく親身に面倒見てくれる。日本よりも、もっと情に厚いですね。毎月行ってコミュニケーションを取っているからそうなれてるけど、そこはある程度時間がかかるんじゃないですかね。

−そうですよね。日本だけではなく、中国でもそうやって人の中に入っていき、時間をかけて信頼関係がつくれているからこそ、いまの仕事が成立していると思うので、一朝一夕にはいかないですよね。

中国の工場の写真②


−これはうまくいったなという事例とか方法などがあれば教えていただけますか。

うまくいかなかった方は色々あるけど(笑)自信をもって、これうまくいったぞ!というのはそんなにないんじゃないかなー。

お客さんのTシャツが数万枚売れたとかはあるけど、それをデザインして売ったお店がすごいだけで、あんまり俺の手柄ではない。

とりあえず気づいたのが、どんどん便利になっていくこの世の中で、どんどん面倒くさいことをやると好かれるっていうこと。

みんなは「 もっと楽に 」って考えるけど、わざわざ商品を自分の手で届けるとか、ひと手間をかける。

人がめんどくさいと思う事をやる。それは技術じゃなくて、誰にでもできる。けど、それをやるかやらないかだけのこと。何の設備投資もしてないし。

でもやっぱりよくよく考えたら、お客さんが笑って喜んでくれたらそれが一番うまくいったと思える瞬間ですかね。

−自分が社長になりたての頃の自分に今アドバイスするとしたら、どんなアドバイスをしますか。

なんだろうなあ。2012年ごろ会社を作って、2020年のオリンピックの頃はもうたぶんやってないだろうなって弱気な考えがあったから、なんとかなるよ!とかですかね笑

−だいぶ控えめですね(笑)

はい、生き残っていくだけでも大変なんで。当時から今もブレてないと思うんですが、自分がこれまでやってきた、手間をかけることを惜しまないスタンスをやめたら、今までそれを信じてくれた人たちをがっかりさせるから、どんどん面倒くさいことをやれですかね。

−今後実現させていきたいこととか、何かあったりしますか?

野望的なものはあんまりないですね。

うーん、でも移動販売の仕事がしたいかなー。トラックでカレーとかー。

あと奥ノ谷さんがやりたいって思ってる事を一緒にやりたいです。いや、むしろそれが一番やりたいです。その為なら辞表出します。

大好きなGHEE(BLAKES)のビーフカレー

−商売していく上で、大事にしていくことをあえて3つ、挙げるとしたら?

お客さんと

社員と

工場の人たち

このひとたちに、できる限り幸せになってもらいたいです。

お客さんを困らせない、 僕たちも困らないようにする、工場に押しつけて困らせるのではなく、工場のためにも考える。

それでみんなが納得してくれたら、商売が成り立つっていうことですよね。


−ありがとうございます!人の役に立つということを一番のモチベーションにして仕事をされていることがよくわかりました。

ちなみに僕も洋服が好きでオリジナルの洋服とかを作りたいと思ってるんですけど・・・


得意っす!!!!!!!!!

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