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会社員時代には社会保険料と呼ばれる厚生年金と健康保険料が給料から天引きされていたはずです。
この社会保険料は会社を退職し、個人事業主として独立しても支払わなければいけません。
しかし、個人事業主になると社会保険は加入する保険や料金などが会社員時代と大きく異なります。
ここでは、会社員と個人事業主の社会保険の違いについて紹介します。
国民の誰もが入る健康保険について
健康保険は国民の誰もが入らなければいけない、半ば強制の保険です。
ただ、健康保険の加入は会社員か独立しているかで加入する保険が異なります。
健康保険は大きく分類すると主に以下の3つの種類に分けることができ、基本的に国民は3つの健康保険のどれかに加入しなければいけません。
・会社や団体の健康保険
・任意継続健康保険
・国民健康保険
健康保険に加入している人が病気にかかった際、病院でかかる医療費は基本的に3割負担になります。
しかし、健康保険に加入してない人が病院で診察を受ければ、医療費は全額負担となるのです。
稀に独立している方でどの健康保険にも加入していない方がいます。
健康保険は資格喪失日から14日以内に新しい健康保険に加入する必要があり、加入していなければ期間を遡って保険料を徴収されるかもしれません。
会社を退職したら健康保険の手続きを忘れないようにしましょう。
任意継続健康保険の概要
通常、会社を退職した際は速やかに新しい会社の健康保険か国民健康保険に加入しなければいけません。
しかし、会社を退職しても一定の条件をクリアすれば、退職した会社の健康保険である任意継続健康保険に加入することができます。
任意継続健康保険に加入するためには2つの条件があり、退職した会社の健康保険に加入した期間が2カ月以上であること。
もう1つは資格喪失日から20日以内に申請書を提出することが必要です。
任意継続健康保険に加入するメリット
会社を退職した後に任意継続健康保険に加入するメリットは3つあります。
メリットの1つ目は健康保険料が安いということです。
個人事業主の場合は特定の業種でない限り、基本的に国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険は地域によって料金の差が激しいですが、基本的には任意継続健康保険に加入した方が安く済みます。
メリットの2つ目は扶養の有無です。
任意継続健康保険では条件を満たせば扶養家族の扱いになり1人分の保険料だけで済みます。
しかし、国民健康保険では扶養という考え方がなく、家族の加入人数が多くなれば追加で保険料がかかるのです。
最後に、3つ目は会社員時代と変わらない保険給付が受けられることです。
任意継続健康保険では健康診断やインフルエンザの予防接種などの料金を会社側が負担してくれます。
一方、国民健康保険では健康診断やインフルエンザの予防接種にかかる料金は全て自己負担です。
このように、任意継続健康保険では国民健康保険で受けられない恩恵を受けることができます。
任意継続健康保険に加入するデメリット
退職後に加入する任意継続健康保険にはデメリットが2つあります。
デメリットの1つ目は加入できる期間が決まっていることです。
任意継続健康保険に加入できる期間は2年間と決まっており、期間を越えれば任意継続健康保険に加入する資格を失います。
会社からすれば、退職した人の面倒をいつまでも見ることはできないでしょう。
任意継続健康保険への加入はあくまでも一時的でしかなく、2年が過ぎれば他の健康保険に加入しなければいけません。
デメリットの2つ目は保険料を滞納すると資格喪失となってしまうことです。
会社員だった頃は社会保険料が給料から天引きされるので払い忘れることがありません。
しかし、独立して任意継続健康保険に加入する場合は自ら納付したり口座振替などにしたりする必要があります。
自ら支払いすることになれば、払い忘れや残高不足などによって滞納してしまう方もいるでしょう。
独立して任意継続健康保険に加入する方は資格喪失しないように、払い忘れには注意しなければいけません。
会社員と個人事業主の年金の違い
会社員時代には厚生年金と呼ばれる年金を支払っていましたが、個人事業主の場合には国民年金と呼ばれる年金を支払うことになります。
ただ、同じ年金でも厚生年金と国民年金の中身は異なり、支払料金や将来もらえる年金額が大きく異なるのです。
厚生年金は国民年金に上乗せした金額を支払いますが、支払う料金は会社側と会社員で折半する形となっています。
将来もらえる年金は加入していた期間と給与の金額によって異なりますが、全体で14万円~15万円が平均です。
一方、個人事業主が加入する国民年金は厚生年金のように上乗せした金額を支払うのではなく、国民年金だけを支払います。
また、国民年金の支払いは会社に所属していない個人事業主が全額支払い、会社側が折半してくれるということはありません。
将来もらえる金額は納付期間によって異なりますが、全体で5万円~6万円が平均と厚生年金の半分ほどです。
これにより、年金をもらえる見込み金額が少ない個人事業主は、国民年金だけを納めることに将来を不安視する方がいるかもしれません。
そんな方は国民年金基金やiDeCo(確定拠出年金)などに任意で加入することができます。自ら年金を積み立てることで、将来の不安を取り除けるかもしれません。
起業した場合の健康保険や年金はどうなるのか
個人事業主として開業する場合の健康保険や年金について紹介しましたが、起業して会社の代表になる場合は年金や健康保険が個人事業主と異なります。
起業して会社を設立した場合の代表者は、原則として社会保険に加入しなければいけません。
ただし、例外として社会保険料を定める基準となるのが役員報酬(給与)ですが、報酬が全くない場合は社会保険に加入しなくてもよいことになっています。
しかし、社会保険に加入できない場合は国民健康保険や国民年金に加入しなければいけません。
また、起業した場合には社会保険に加入するための書類を定められた期日内に提出する義務があります。
健康保険や厚生年金は年金事務所へ、雇用保険はハローワークに提出し、労災保険は労働基準監督署に届けます。
さらに、起業し従業員を雇うようになれば自分の書類だけでなく、従業員の書類も提出しなければいけません。
会社員や個人事業主と違って代表は会社がやっていたことを自らがするようになります。
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