どこで銀行口座を開設する?起業するなら知っておきたい金融機関の選択ポイント

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起業をしたら、個人事業でも法人でも、銀行口座を開設するのが通常かと思います。

しかし、いざ口座を開設するときに、必ず迷うのが「どこの金融機関でつくったらいいのだろう?」ということです。

実店舗のある金融機関には、いわゆるメガバンクと言われる都市銀行や、第一地銀、第二地銀と言われる銀行、信用金庫や信用組合などがあり、また実店舗のないいわゆる「ネットバンク」といわれる金融機関があります。

どこで口座開設をするのがよいのか、また、口座開設をするときの注意点について、解説します。

どうやって選ぶ?会社で使う銀行口座

数ある金融機関のうち、どこで事業用の口座を開設するとよいのでしょうか?口座開設はその金融機関とのお付き合いの第一歩だと思います。自社に合った金融機関を選びたいですね。

(1)口座を開設する金融機関別メリット

・都市銀行は見栄えのよさと全国展開

都市銀行とは、全国的に都市部を中心に展開する金融機関で、このうち三菱UFJ銀行や、みずほ銀行、三井住友銀行は、メガバンクと言われます。このほかにも、都市銀行には、りそな銀行などが都市銀行に入ります。「倍返しだ!」という流行語を生み出した「半沢直樹」や、今クールの人気ドラマ「集団左遷‼︎」の舞台も都市銀行です。

このような都市銀行で口座を開設するメリットは、ずばり「見栄えの良さ」です。振込先を記載した請求書を出すような事業の場合、請求書に都市銀行の口座名が書いてあると、見栄えがよいように思います。

全国に取引先があるような事業であれば、都市銀行の口座を持っておくと良いと思います。同行間の振込手数料がかからない、あるいは安めに設定している金融機関もあります。

ただ、口座開設するときの審査が一番厳しいのも都市銀行です。法人なら2週間ほどかかると言われています。定款や履歴事項全部証明書だけでなく、法人の実在がわかる郵便物なども用意することを求められます。事前に必要なものをよく聞いて、準備しておきましょう。

・地方銀行は店舗とATMの多さ

地方銀行(よく地銀と言われます)は、都道府県などを中心にローカル展開する銀行です。それぞれが地盤とする地域では、店舗数(支店数)も多く、金融サービス面が充実しています。

地域に根ざした営業をしているので、金融機関によっては、金融機関が持つネットワークを活かして、ビジネスマッチングをしているところもあります。

自社の地域に密着して、成長していきたい場合は、地方銀行で1つは口座を確保しておきたいですね。

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・信用金庫や信用組合は一番身近な存在

信用金庫(信金と言われます)や信用組合は、その限られた営業エリアにおいて、活動する金融機関です。

銀行と異なるのは、その設立目的です。信用金庫法にもとづく会員の出資による営利を目的としない協同組織の地域金融機関です。

営業地域が一定の地域に限定された、中小企業ならびに個人のための専門金融機関とも言えます。

実は、大企業や営業地域外の企業・個人には融資ができないという制限があります。それは「地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することにより、地域社会の発展に寄与する」という信用金庫の目的があるからです。

信用金庫や信用組合で口座を開設するメリットは、利便性はもちろん、その存在の身近さかもしれません。地域の中小企業と個人に貢献するためにある金融機関です。進んでいる金融機関であれば、あなたの会社にいい情報を持ってきてくれるかもしれません。

少し前に、まいど!南大阪信金です!という南大阪に実際にあった信用金庫をモデルにしたマンガがあります。信用金庫や信用組合は、このくらい地域の人に近い距離感で仕事をしている印象があります。

・ゆうちょ銀行は全国最多の店舗数かつ同行同士の送金手数料が4回まで無料

ゆうちょ銀行はなんといっても全国最多の店舗数を誇る金融機関。郵便局は全国津々浦々にあるため、どこから送金してもらうにも便利な金融機関です。

また、ゆうちょ銀行のインターネットバンキングシステムであるゆうちょダイレクトは月額利用料が無料です。

・ネット銀行は手数料の安さや手軽さがよい

ジャパンネット銀行や楽天銀行、住信SBI銀行のようなネット銀行で口座を開設する会社も増えてきています。

振込を多くするような会社は、振込手数料が比較的安いネット銀行を選ぶことが多いようです。インターネットバンキングの月額利用料は、他の金融機関と比べても安いか無料の傾向にあります。

また、店舗に出向くことなく口座開設ができることもメリットです。

ただし、税金の支払いや、日本政策金融公庫の返済などには対応できないなど、取引の限界があるのも事実。全てをネット銀行の口座で完結しようとせず、メリットをうまく生かす使い方をするとよいですね。

(2)パターン別 オススメ金融機関

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・振込が多い

何十件という振込が毎月のようにある場合は、振込手数料が比較的安いネット銀行の口座を開設しておきましょう。

・借入をしたい

口座開設は取引の第一歩。借入をしたい金融機関で口座開設をしておくとよいでしょう。その金融機関に出向いた際に、窓口で相談したい旨を伝え、融資担当を紹介してもらうことも一つです。

また、口座を作っておいて、その金融機関につながりのある経営者や税理士に紹介してもらうのもよいでしょう。

・現金商売なので、現金を入金したい

それならば、近くにATMや店舗がある金融機関がよいでしょう。

近くて、小銭も受け入れてもらえるATMがあるとベストです。

(3)口座はいくつ作るとよいのか?

職業上、いろんな会社の口座の持ち方を観察できます。シンプルに1つの口座しか使っていない会社もあれば、用途に応じて10を超える口座を持っている会社もあります。

・複数店舗があり、毎日のように預け入れる必要がある場合

多店舗展開をしており、それぞれのお店の売上金を預ける必要がある場合は、店舗ごとに口座を開設し、そこに入金するようにしておくとよいでしょう。

・入金用、振込用、納税資金用の最低3つは確保したい

店舗の売上金の入金や、得意先からの入金用の口座で1つ、振込用で振込手数料が安いネット銀行を軸に1つ、そして、納税資金を貯めておくための口座を1つ、最低でもこの3つは揃えておきたいものです。

特に、納税資金用の口座は必ず確保しておくことをオススメします。もしかしたら起業当初は消費税の免税制度で消費税を納税する必要がない方も多いですが、2〜3年目になって消費税がかかるようになれば、必ず消費税の納税資金は、別口座でプールしておきたいです。

消費税は、お客様からの売上金に含まれて入金されます。そして、会社が仕入れや経費で支払った消費税を、売上と一緒に預かった消費税から差し引いて、納めることになります。

現在消費税の税率は8%ですが、2019年10月からは10%になることが予想されており、それに伴い、売上金とともに預かる消費税が1.25倍になります。

これは何を意味するかというと、多くの場合で、消費税の納税額が25%増しになるということです。

消費税は赤字でも支払わなければならないことが多く、納税資金の工面に多くの事業者が苦労をしています。

それは、売上金の中に含まれている消費税を分けずに資金繰りに入れてしまい、納税が近づいたら、お金を集めないと支払えない、という状況に陥っているからです。

お金には色がありませんから、わざわざ自分で分けないと、自動的に資金繰りに入ってしまい、預かったはずの消費税がどこかに消えてしまうということになりかねません。

会社を経営する場合には、個人事業の場合も含めて、必ず消費税納税のための口座を開設し、毎月必要な額を貯めておくことをオススメします。

必要な額がわからないときは、税理士に相談すると良いでしょう。概算でいくらくらい積み立てておいたらよいのかを客観的に教えてくれます。

・人を雇ったら賞与資金は別口座に

もし人を雇い、賞与の支給を予定するなら、その賞与資金も毎月コツコツ別の口座で積み立てておくと良いと思います。

賞与のみならず、1年に1度の大きな出費などに備えるためのお金を分けておく口座を用意して、着実な資金繰りを実現しましょう。

まとめ

事業を始めるときに必ず必要になる口座開設。どんな目的で、どの金融機関で開設するかを中心に解説しました。たくさん選択肢があるなかで、自分の事業にあったものを選ぶための一助になれば幸いです。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ