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コンビニや飲食店などの多店舗展開をする企業が、必ずと言ってよいほど採用している「フランチャイズ」というシステムがあります。メディアやビジネス書でもよく登場する言葉ですが、どのような意味があるのでしょう。
ここでは直営店とフランチャイズチェーン店の違いや、フランチャイズ制を採ることによるメリットやデメリットも併せて紹介します。
フランチャイズチェーンの意味
フランチャイズとは「franchise」という英単語で、人や会社などに販売権等を与えるという意味を持ちます。もともとは1850年代にアメリカで生まれたシステムですが、それが日本に導入されたのは1950年代のことです。
そしてフランチャイズビジネスにおいては、その販売権を与える者を「フランチャイザー」と呼び、販売権を与えられる者を「フランチャイジー」と呼びます。
フランチャイザーは主に、そのビジネスを展開している企業の本部や本社のことを差します。フランチャイジーはそれに加盟する店や人の事を差します。日本では主にコンビニエンスストアを中心としたフランチャイズビジネスが有名です。他にもスーパーマーケットやディスカウントストア、飲食店や専門店などでも幅広くこのシステムが導入されています。
フランチャイズチェーンに加盟すると、フランチャイザーからいろいろな特権が得られます。例えばその企業の名称や商標などの使用許可の他にも、フランチャイザー本部が開発したサービスなどの使用なども認められます。それ以外にもその企業の販売ノウハウや、さまざまな援助などを受けることが出来ます。
そのかわり加盟するフランチャイジーの側では、加盟する際にフランチャイザーに対して、加盟金を支払うことが一般的です。その金額は企業により異なりますが、数百万円単位である事が多いです。
それ以外にも売り上げの一部を本部に上納する「ロイヤリティ」を毎月支払うことになります。例としてコンビニエンスストアではその率は、売り上げの30から40パーセント代が多いです。しかし中には50パーセントを超える契約もあります。
チェーン店と直営店はどう違う?
フランチャイズチェーンを展開している企業には「直営店」と「フランチャイズ店」の2種類の形態が存在しています。日本でフランチャイズ制を採用している企業では、約2割が直営店で残りの約8割がフランチャイズ店であると言われています。
そしてこの2形態にはいくつかの違いがあります。
まず直営店とはフランチャイズ本部が土地や建物、設備などに直接出資をして開店した店舗です。この店の運営に携わる店長や副店長などは本部直属の社員が担当します。ですからパートやアルバイト店員も本部に直に雇用されることになります。
直営店の特徴としては、本部直属の店であるがゆえに規則が厳しい場合が多く、働く従業員の頭髪や身なり等も細かくチェックされます。
一方でフランチャイズ店では本部に加盟する人や法人が土地や建物、店の設備等に出資して開店させます。そこで働く人は直営店のような直属の社員ではなく、出資した人が「オーナー」という形態で勤務することになります。従ってそこで働くパートやアルバイト従業員も本社に直接雇われるわけではありません。
フランチャイズ店では直営店と違い、規則がやや緩い部分があります。頭髪や身なりなども直営店ほど厳しくチェックされることもありません。ただし気が緩まないように、本部からスーパーバイザーと呼ばれる指導員が、定期的にフランチャイズ店を巡回して改善点などを指導しています。
フランチャイズチェーンを展開することのメリットとは?
企業が全国展開を目指すのは、日本全国に店を出すことによって、ネームバリューやブランドイメージが生まれるからです。しかし開店するすべての店を直営店として展開する場合、どうしても資金面で限界が出てきます。さらに同業他社に負けないように、スピード感をもって展開したい場合では、時間的にも限界があります。
このように直営店だけで全国展開を図ることは難しい作業にならざるを得ません。ですがフランチャイズ制を採ることによって話は大きく変わってきます。
フランチャイズチェーンを展開するメリットは、店舗の土地や建物、設備に掛かる資金はすべて加盟するオーナー側に負担してもらうことが出来るという事です。
他にもパートやアルバイトの育成も直接することもないので、その教育に掛かる人件費や時間の削減にも繋がります。その他にもフランチャイジーからの加盟金に加えて、ロイヤリティなどの定期的なインカムも得ることが出来るというメリットもあります。
このように他社に引けを取らないように全国展開をしたい場合には、フランチャイズチェーンの展開は大きな力になるのです。
そして加盟する側のメリットとしては、すでにフランチャイズチェーンにおける、ビジネスモデルやマニュアル等が確立されているということです。それを学んで覚えればよいので、自分でそれを確立させる必要性はないという事があります。
フランチャイズチェーンを展開することによるデメリットもある
一方でフランチャイズ展開にはデメリットもあります。
一つ目は、直営店に比べて店を管理することが難しい点が挙げられます。フランチャイズチェーンでは、経営者がそれぞれ店によって異なります。ですから本部と意見が合わない場合などもあり、ロイヤリティなどの金銭面で対立するような事態になることもあります。加盟する側から見たデメリットとして、高いロイヤリティに不満を持つオーナーも多くいるのです。
このようにフランチャイズ制は、スピード感のある多店舗展開が期待できる一方で、ややこしい面もあります。ですから本部とフランチャイズ店は、持ちつ持たれつの関係を維持することが重要になるのです。
他にも本部から見たデメリットとして、店の収益がすべて本部の売上にならないということがあります。本部はロイヤリティという形で、毎月売り上げの数十パーセントを徴収しますが、100パーセント徴収したらフランチャイズの関係が崩壊してしまいます。
その他にも店で事故などが発生した場合には、その企業全体のブランドイメージが損なわれる事も考えられます。
自分にマッチしたフランチャイズチェーンを選ぶ
フランチャイズチェーン店は加盟する際に契約期間という縛りがあります。その期間は企業により異なりますが、5年や10年、中には15年という長期にわたる契約もあります。
一度その契約に判を押してしまうと、原則その期間はフランチャイジーとして働くことになります。途中で解約する場合には、解約金を支払うことになる場合もあります。ですからフランチャイズに加盟する場合には、本当に自分に合った仕事を選ばなくてはなりません。
ロイヤリティや加盟金などの金額を含めた契約内容を、きちんと調べてから加盟するほうが良いでしょう。
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