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独占禁止法は、企業間の公正取引を確保することなどを目的として定められた法律です。この法律はフランチャイズ事業とも重要な関係性があり、フランチャイズ契約を結ぶ際には確認しておく必要があります。
具体的に独占禁止法のどの部分がフランチャイズ契約に関係があるかについて解説していきます。フランチャイズを検討している方にはうってつけとなっています。
そもそもなぜ独占禁止法とフランチャイズに関係があるのか
独占禁止法といえば、その名前からもわかるように市場の独占を禁止したり、独占状態から価格を不当に引き上げることを禁止した法律です。これだけを見るとフランチャイズ契約とは直接関係がないように見えるかもしれません。しかし、独占禁止法では市場の独占以外にも様々なことを規定していて、その中には企業間の公正な取引に関するものも含まれます。
フランチャイズにおける本部と店舗が不当な取引をすることも禁止しているので、独占禁止法とフランチャイズには深い関係があります。フランチャイズでは基本的に本部の方が店舗側よりも強い立場になっており、加盟店側の権利を保護するような内容も独占禁止法には含まれています。
フランチャイズ本部は加盟店に様々な情報を開示する必要がある
フランチャイズ本部が加盟店を募集する際にはいくつもの情報を加盟希望者に向けて開示しなければならないルールになっています。具体的には加盟後の商品等の供給条件、事業活動後の指導の内容、ロイヤリティの金額などの事項を明白に提示する必要があります。これらが開示されない状態でフランチャイズ契約を結んでしまうと、加盟店が商品供給や活動をうまく行えない可能性があるからです。
また、契約の期間や中途解約の条件についても明示することが求められます。例えばフランチャイズ加盟店が中途解約をした場合、本部は違約金を請求することが出来ますが、その違約金の額については予め伝えられていなければなりません。契約の際に伝えていなかったにも関わらず、高額な違約金を請求することは独占禁止法の違反になります。
本部は加盟店の募集に際して予想売上や予想収益を提示する場合があります。独占禁止法では予想売上や予想収益を提示することを義務付けていません。それゆえに提示しなくても問題はありませんが、企業の多くは加盟店を円滑に集めるためにそれらの情報を提示します。
しかし、その提示された金額と実際の金額が必ずしも一致しないことも多いです。予想売上や予想収益は合理的な算定方法に基づいていなければなりません。実際に基づかない計算方式で高い予想を立てることは独占禁止法に抵触します。
ぎまん的顧客誘引について
独占禁止法ではぎまん的顧客誘引を禁止しています。
ぎまん的顧客誘引とは取引相手をだますような形で引き付けることを言います。例えば、本当は普段と比べて全く変化のない価格であるにも関わらず、期間限定割引などと表記することはぎまん的顧客誘引にあたります。
このぎまん的顧客誘引はお客さんを相手にするときだけでなく、企業がフランチャイズ加盟店を募集する際にも適用されます。フランチャイズ加盟店を募集する際に、嘘や勘違いされる情報を提示するとぎまん的顧客誘引にあたる可能性があり、独占禁止法に抵触する行為とみなされます。
必要な情報を提示しないことも独占禁止法違反となります。フランチャイズ加盟店はロイヤリティを支払うことになりますが、その金額を不当に隠すことは禁止されています。利益の何%かをロイヤリティとして支払う場合でもその計算方法について明示しなければなりません。
ロイヤリティの計算をあえて複雑にすることで、少なく見せる手法がとられることもありますが場合によっては独占禁止法に抵触することになります。
契約後も独占禁止法に抵触する行為には注意
フランチャイズ契約を結んだ後も独占禁止法に抵触する行為が行われることがあります。
その1つが優越的地位の濫用です。フランチャイズ契約においては基本的に本部の方が立場が強い状態となります。その立場を利用して加盟店に無理な営業を強要することは独占禁止法違反と判断させることがあります。
例えばフランチャイズ契約の時よりも長い時間営業することを要求したり、ロイヤリティを了承なしに増額したりすることは禁止されています。フランチャイズ加盟店は契約時のルールに従う必要がありますが、その契約に含まれていないことを強要されたときには拒否することが出来ます。
本部はフランチャイズ加盟店に対し、仕入れ数を強制することはできません。 フランチャイズ加盟店の経営状態が悪くなっていくと、本部からの要求が厳しくなることもあります。しかし、フランチャイズ加盟店が契約の範囲内で営業努力をしている状態であれば、本部が契約外のことを強制することはできません。
また、意図的に加盟店の近くに新しい店舗を増やし、営業を妨害するような行為も禁止されています。これらに抵触する行為があった場合は法律に詳しい人物に相談し、裁判などの方法をとることも有効となります。
小売店では賞味期限が迫っている商品を割り引いて販売することがあります。これはフランチャイズ加盟店にも認められています。それゆえに本部が見切り品に対する割引を禁止することはできません。ただし、フランチャイズ契約の際に見切り品への割引を禁止することが伝えられていた場合はその限りではないので注意しておきましょう。
商品の販売価格
フランチャイズ契約においてややこしくなりやすいのが商品の販売価格に関する規定です。
フランチャイズ本部は商品や店舗に対するイメージの観点から、フランチャイズ加盟店に対して販売価格を制限することが少なくありません。特定の商品が一部の店舗だけ極端に高額であったり、逆に低額であったりすると消費者の混乱を招く可能性があるからです。
販売価格の制限についてはフランチャイズ契約の際にその文言が含まれていれば、ある程度認められています。しかし、適正な販売価格は地域によって異なることもあります。それゆえにどうしても価格を下げざるを得ないこともあると判断されます。
やむなく価格を下げなければならないときに、本部が執拗にその妨害をした場合は独占禁止法に抵触する恐れがあります。その時は商品の実際の売れ行きや平均的な物価、契約内容などから総合的に判断される仕組みになっています。
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