フランチャイズの業種別の取り分はどれくらいなのか?

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経営者にとって、フランチャイズに加盟してノウハウや資材の調達網を利用できることは、一から起業するのと比べて迅速にビジネスを立ち上げられるというメリットがあります。ただし、対価としてロイヤルティを支払わなければならないため、その分オーナーの取り分は少なくなります。

そこで、以下では業種別のオーナーの取り分とロイヤルティの仕組みについて見ていくことにしましょう。

フランチャイズの取り分の相場とは?

まず最初に、フランチャイズのオーナーは一般的にどれくらいの取り分を得ることができるのかについて触れておくこととします。

取り分の相場は業種によって異なってきますが、代表的なフランチャイズである飲食業においては、売り上げの90パーセントから97パーセントというのが平均的な値となっています。

これだけ見ると、オーナーは売り上げのかなり大きな割合を得ることができるかのように見えますが、実際には飲食業の場合には食材などの仕入れ代金やアルバイトなどの人件費といった原価率が他の業種と比べてかなり高くなっていることから、その分を差し引くと現実にオーナーの手元に残る金額はかなり少なくなることが一般的です。

次に、学習塾もフランチャイズ経営が盛んな業種の一つです。こちらの取り分の相場は、売り上げの70パーセントから90パーセントとされており、飲食業と比べてもロイヤルティがかなり高いことが分かるでしょう。

考えられる理由としては、飲食業が薄利多売のビジネスであるのに対して、学習塾は顧客一人あたりの単価が高く、コストが比較的低いことから、その分ロイヤルティが高めに設定されやすい傾向にあるということです。また、生徒集めや生徒指導についてのより専門的なノウハウの提供がフランチャイズ本部には求められるという点も、ロイヤルティが高くなりやすい要因といえるでしょう。

このように、飲食店と学習塾を見ただけでも、フランチャイズの取り分は業種によって大きく異なることが分かるのではないでしょうか。

もっとも、業種の違いだけでなく本部の方針によっても取り分の割合は違ってくることが通常です。そのため、どのフランチャイズ本部と契約するかを検討する場合には、どの程度の取り分が得られるかまで含めてしっかりと吟味することが重要となります。

平均以上にロイヤルティの高い本部と契約してしまった場合には、そのコスト負担だけで黒字化がおぼつかなくなるという事態も考えられますので、くれぐれも慎重な調査・確認が必要です。

取り分の多い業種とは?

では次に、数ある業種の中でフランチャイズオーナーの取り分が多いものを取り上げてみていくことにしましょう。

まず、もっとも取り分の多い業種といえるのは、代表的なフランチャイズの一つであるコンビニエンスストアです。コンビニは飲食店と同様に薄利多売のビジネスモデルであることに加え、立地さえ間違えなければかなりの確度で一定以上の売り上げを見込むことができることから、その分ロイヤルティが低く抑えられているということが背景にはあります。

次に、意外なところでは金券ショップもオーナーの取り分の大きい業種の一つです。こちらは、それほど高度なノウハウを必要としないビジネスであることから、ロイヤルティも低めに設定されています。もっとも、市場そのものは1兆円を超える規模を有していることから、今後の成長余地が大きくフランチャイズとして参入するには狙い目の業種であると言えるでしょう。

第三に取り分が大きい業種は、はんこショップです。インターネットが普及した現代においても、契約締結や荷物の受け取りなど印鑑を使用する機会は多く、その市場規模は3,000億円にも上ります。生活必需品の一つであり、将来においても廃れるリスクが低いことから、こちらもオーナーが稼ぎやすい業種の一つとなっています。

取り分の大きな業種の四番目と五番目は、パンの製造・販売と古本ショップです。前者については、食材に加えて調理するための機材を用意しなければならず、それなりにコストがかかることから、ロイヤルティはそこまで高くは設定されていないことが通常です。後者は意外に市場規模が大きいことに加えて、本部がオーナーを指導しなければならないような場合が少ないことが高い取り分の一因となっています。

フランチャイズの取り分と手取りの違い

既に述べたように、フランチャイズ経営によって得られた売り上げのうちの取り分のすべてがオーナーの懐に入るわけではありません。経営においては、従業員や購買先をはじめとする様々なステークホルダーに対して給与・賞与や材料の購入代金などを支払わなければならないため、取り分からそういった各種のコストを控除しなければなりません。

そのため、オーナーが得ることができる手取り収入は、売り上げの取り分からそのようなコストをすべて除いた金額になるわけですが、実際にはその収益に対してさらに所得税などの各種税金がかかってくることになるため、その金額も併せて除外しなければなりません。

一見するとフランチャイズの各店舗に多くの顧客が来店しており、それぞれのオーナーが高い年収を得ていると思われがちですが、実は高コスト体質の業界などでは、少々店舗が繁盛したくらいではオーナーが得ることができる年収はそれほど高いわけではありません。経営者として負うことになるリスクと比べて、リターンが割に合わないという事態が十分に発生し得るのです。

そのため、新たにフランチャイズを始めようとする場合には、お店の繁盛度合いを見るだけではなく、経営者の手元に売り上げのどれくらいが残るのかという観点からリサーチを行うことが大切です。

ロイヤルティの仕組みとは?

最後に取り分を左右することになるロイヤルティの仕組みについて簡単に見ておくことにしましょう。

ロイヤルティについては、業種を問わず、定額方式か粗利分配方式のいずれかの仕組みが用いられていることが一般的です。

このうち、定額方式というのは、文字通り、あらかじめ定められた一定金額をロイヤルティとして定期的に支払うものです。金額が決まっていることから、売り上げが増えれば増えるほどに取り分の割合が増えていくことになるというのが特徴です。

もう一方の粗利分配方式というのは、定率方式の一種で、売り上げではなく粗利益にあらかじめ定められた比率を乗じてロイヤルティを算定するという方法です。利益が出ていないうちはロイヤルティが発生しないという点がメリットですが、利益が大きくなるほどロイヤルティの金額も高くなるという点に留意が必要です。

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