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独立を検討する際には便利な「フランチャイズ」という仕組みですが、加盟する前には掛かる費用のことをきちんと把握しておかなくてはなりません。
そのひとつに、本部に毎月上納する「ロイヤリティ」という費用があります。
フランチャイズビジネスでは必ず出てくる名前ですが、どのようなものなのでしょう。ここではそのロイヤリティの意味や仕組みを解説します。
そもそもロイヤリティとは?
ロイヤリティとは企業に加盟してその商標や名称、ノウハウなどを使用できるようになる代わりに、毎月一定の金額を売り上げや粗利益から本部に上納することを言います。
つまり企業が所有する権利を利用できるようになる代わりに支払う「使用料」のような意味合いを持ちます。
フランチャイズビジネスを展開する本部から見ると、このロイヤリティによる利益はとても大きな収益になります。
ただし直営店の場合には売上そのものが本部の利益になるのに対して、フランチャイズ店から徴収するロイヤリティでは、すべての売上が本部の利益になるわけではありません。
もうひとつフランチャイズ本部に加盟する際に支払う「加盟金」とはどのような違いがあるのでしょう。
ロイヤリティの場合には、フランチャイズ店が毎月支払い続けるのが原則です。
しかし加盟金はフランチャイズに加盟した時に1度だけ支払えばよい費用です。
加盟する側から見れば、ロイヤリティのように、毎月の支払いではないので負担は1度で済みます。
しかしフランチャイズ本部から見ると、ロイヤリティほどの旨味はありません。
ロイヤリティには3つの徴収方法がある
ロイヤリティの徴収方法には大きく分けて3つあります。
一つ目は「粗利分配方式」という方法です。
これは主にコンビニエンスストアで用いられている手法です。
その率はコンビニでは数十パーセントになるのが一般的です。
粗利とは売上総利益のことで、売上高から仕入れにかかる売上原価を引いて求めます。
この粗利分配方式は、コンビニ以外の他の業種ではあまり採用されていません。
二つ目は「売上げ歩合方式」です。
この方式はその名の通り売上の数パーセントを、ロイヤリティとして本部に上納する仕組みです。
多くのフランチャイズチェーン本部ではこの方式を採用しています。
粗利分配方式との違いは、売上高そのものからパーセンテージを計算するところです。
そして三つ目は「定額方式」です。
これは一番シンプルで計算もいらず、分かりやすいというメリットがある方式です。
売り上げなどに関係なく、毎月一定の金額を本部に上納するという形を取ります。
この定額方式は売上げ分配方式と同じく、採用している企業が多いのが特徴です。
どの方式が一番良いのか?
この3つの方式のうちでは、どれが一番良いかは一概には言えません。
一言で言えば定額方式は「固定制」であり、粗利分配方式と売上げ歩合方式は「変動制」であることだけは確かです。計算のし易さでいえば定額方式が一番です。
さらに金額が固定されているので、将来の見通しも立てやすくなります。
粗利分配と売上げ歩合方式は変動制であるために、売り上げが上がるほどロイヤリティの金額も比例して上がっていくために、加盟店オーナーの利益にも影響が出てきます。
日本のフランチャイズ店では、約40パーセントの企業が定額方式を採用しています。
次に多いのが売上げ歩合方式で、約35パーセント前後の企業が採用しており、粗利分配方式に至っては大変少なく、約4パーセントほどの企業が採用しています。
他にも定額方式と売上げ歩合方式を両方採用しているような企業もあれば、中にはロイヤリティを徴収しないというフランチャイズ企業も存在しています。
ロイヤリティはどのように決まる?
ロイヤリティの率は業種により様々です。
数パーセントの所もあれば、50パーセント以上を徴収する企業もあります。独立するのであればロイヤリティが低い業種ならば、加盟店オーナーの利益もその分アップするような気持にもなります。
しかしロイヤリティが低い業種には低いなりの理由があります。
その一つが人件費です。
24時間営業の人件費が掛かる業種などの場合には、ロイヤリティが低く設定されている場合があります。
二つ目は材料費が掛かるビジネスも同じです。
例えば飲食業全般ではいろいろな食材料費が掛かるのが一般的です。
さらにもう一つの理由がその材料などの「原価」です。飲食業では材料の原価が比較的高いために、その分粗利が低くなってしまいます。
それに伴ってロイヤリティが低く設定される結果となるのです。
ロイヤリティが低い業種とは
前述のようにロイヤリティが低い業種の一つに、飲食業全般があります。
フランチャイズ店を飲食業で開業する場合には、だいたいどこの企業であれ数パーセントから10パーセントのロイヤリティで開業することが出来ます。
これは前述のとおり原価率が高いことと、材料費や人件費などのコストが掛かるためにもうけが少なく、ロイヤリティを低く設定せざるを得ないのが理由です。
他にもサービス業ではロイヤリティが、数パーセントから15パーセントほどでやや低く設定されていることが多いです。
それ以外では小売業などは定額方式が多く採用され、その金額は数万円から数十万円が多いです。
逆にコンビニのロイヤリティは、とても高くそして細かく設定されています。
コンビニでは主に粗利分配方式を採用していますが、粗利の約30パーセントから70パーセント程のロイヤリティを徴収する所が多いです。
さらにコンビニの場合では、加盟店オーナーが自分で土地を用意できるか否かによっても、ロイヤリティの金額が変わってきます。
それに加えて粗利益の金額によっても、金額が変動するので計算が大変ややこしくなります。
独立する場合にはロイヤリティの低さだけで選ばないようにする
このようにロイヤリティの金額は、業種により違いがあります。
フランチャイズで独立することを考えるのであれば、単純にロイヤリティの低さに釣られて、未経験の業種を始めるような事はよくありません。
ロイヤリティが低ければ、加盟店オーナーの懐が潤うようになるという単純なものではないのです。
材料費やその原価率、人件費などロイヤリティが低いのは、低いなりの事情がある事を覚えておいた方が良いでしょう。
また独立をする際には、自分の性格に合った業種をチョイスすることが大切です。
未経験でも出来るのが魅力のフランチャイズですが、「選択する判断」を間違えないように注意し業種と企業を選びましょう。
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