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自分で会社を興し運営し続けるというのは簡単なものではありません。起業するためのハードルが下がったため自分の会社を持つ人は以前と比べて多くなってはいるものの、実際に運営を続けられている人はごく少数です。
本部からノウハウがもらえるフランチャイズ経営は比較的失敗が少ないと言われてはいますが、それでもリスクが全くないわけではありません。そのリスクについて解説します。
ブランド名を背負うことによりリスクが生じることも
フランチャイズ展開をしている本部というのはたいていとても知名度が高い会社であることが多く、フランチャイズを利用してお店を持つことによってそのブランドイメージを最大限に生かしてお店を経営していくことができます。
お店を利用する側からすれば全く聞いたこともないようなお店に入るよりも一般的に知れ渡っているような知名度が高いお店の方が安心できますし、そこで売られている商品も信頼して使えるため、フランチャイズを利用してお店をオープンさせると一定数の固定客を獲得することができます。
しかしメリットはデメリットと表裏一体であることが多いです。
例えばフランチャイズのオーナーは母体である本部のイメージからかけ離れた経営をすることはできません。お店の内装などは本部から指示された条件を満たすものでなければいけませんし、お店の売り上げを一気にアップさせるようなアイデアや新商品を思いついたとしても、それがブランドイメージと大きくかけ離れたものであればなかなか採用してもらえないでしょう。
自分のお店を持つにあたって、色々とチャレンジしてみたいことがある場合はフランチャイズのブランドイメージというのが大きな枷になります。フランチャイズを利用するのに比べると軌道に乗せるのがとても大変ではありますが、一から自分の手でお店をオープンさせれば誰からも縛られることなく、自分の好きなようにお店を経営していくことができます。
そして信頼というのは得ることはとても難しいですが失うことはとても簡単です。フランチャイズを展開している本部のイメージが大きく損なわれ、信頼を失ってしまえばその被害は当然加盟しているすべての店舗に及びます。
たとえ自分のお店がルールを守って健全な運営をしていたとしても、別の加盟店が一店舗でも賞味期限を改ざんした商品を置いていたことが発覚したり、置いていた商品で食中毒が発生した場合はブランドイメージを大きく損ね、一気に信頼を失うこととなります。特に昨今はSNSが普及していることもあって、あらゆる情報がすさまじい勢いで拡散されていくため、あっという間に全国に不祥事が知れ渡るでしょう。
本部のイメージが悪くなればお客さんの足が遠のき、売上の大幅ダウンにつながります。
資金不足に陥るリスク
フランチャイズを利用してお店を持つのに限ったことではありませんが、自分で会社やお店を持って経営していると常について回るのが資金不足のリスクです。特にお店の経営を始めてから比較的早い段階で資金不足に悩まされることが多く、自分のお店をせっかく持ったのに早々に閉店や廃業に追い込まれてしまう経営者は資金不足が原因でお店の運営を継続できなくなっている場合がほとんどです。
会社を経営する際に初期費用がどれくらい必要かはほとんどの人が計算するものですが、その見通しが甘いと思った以上にお金が必要となり、ぎりぎりの状況でスタートしてしまいます。 お店をスタートさせ、すぐに経費を上回るような利益を出せればいいですが、よほどうまくお店を経営していかない限りいきなりそれだけの利益を上げるのは難しいでしょう。
フランチャイズのブランドネームを利用したとしてもオープンして数日間は物珍しさからたくさんのお客さんが訪れるものの、それ以降は固定客が付くまではなかなか売り上げが上がらない状況が続きます。資金が不足していれば赤字分を賄うことが出来ないですし、何より新しく商品を仕入れることができません。
そしてフランチャイズを利用してお店を経営するうえで忘れてはいけないのがロイヤリティの存在です。ほとんどのフランチャイズが毎月売り上げの一部を本部に納める仕組みとなっています。売り上げが思うように出なければこのロイヤリティが大きな負担となるでしょう。
資金不足に悩まされないためには事前の入念な資金計画が大切となります。お店を開業させるための資金はどれくらい必要なのかについて、漠然とした金額ではなくはっきりと何にいくら必要かを確認しておくようにしてください。そして初めのうちは十分な利益が得られないという心づもりをし、赤字になったとしてもお店の運営を継続できるように準備資金以外にも運転資金を用意しておくようにしましょう。
私生活の変化によるリスク
一般的なサラリーマンからお店のオーナーになると生活リズムが大きく変化します。フランチャイズを利用してお店を始めるにあたってはこの私生活の変化によって生じるリスクについてもしっかり考えておかなければいけません。
オーナーになればお店自体は従業員に任せられるので自分は悠々自適に過ごせるだろうという甘い考えでフランチャイズ経営を考える人も中には居るかもしれませんが、実際にはそこまで甘い世界ではありません。
確かにお店の運営が上手くいき、十分な利益を得られているのであれば長期休暇を取るようなことも可能ではあります。しかし、そうでない場合は自分自身の出勤時間を増やしたり、宣伝活動を積極的にしたりして少しでも売り上げがアップするように動いていかなければいけません。
売上がダウンしていけば困るのは自分だけではありません。そこで働いている従業員に賃金が支払えなくなればお店の経営以前の問題となるため、店舗の運営が芳しくない場合は何よりも率先して経営改善に時間を費やす必要があります。
労働時間が長くなれば当然自由な時間が少なくなり、自分の好きなことが出来なくなりますし、友人や知人とも疎遠になっていくでしょう。また家族を抱えている人は家族サービスに費やす時間も確保できなくなることもあって、家族間の関係が悪化していきかねません。更に家族全員でフランチャイズ経営をする場合は家族全員が同時に休みを確保できるということはほぼ不可能になると考えておいた方が良いでしょう。
いずれにしても、フランチャイズを利用して自分のお店を持つとプライベートな時間は大幅に削減されるという覚悟を持ったうえで参入を検討するようにしてください。
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