税務調査の流れや聞かれる内容は? 対策法を紹介
- 税務調査とは、税務署等が納税者の税務申告の内容について税法に基づいて正確に申告されているかを確認するための調査のこと
- 税務調査の流れがわかる
- 税務調査=必ず追徴されるわけではない。適切な対応で、正しく申告しよう。
では税務調査に経営者はどう対処していけば良いのでしょうか。税務調査の対策法をご紹介します。
税務調査では納税申告の内容が確認できる帳簿のほか、領収書などの取引の事実を示す資料が求められるため、事前に準備しておく必要があります。なお、必要な資料として以下のものを準備しておきましょう。
売上に関する資料 |
現金取引する小売業や飲食業などの企業では、売上伝票、レジペーパー、売上領収書控え、カード売上の明細書などを迅速に提供できるようにする必要があります。他の業種の企業では見積書、請求書、注文書、契約書や金融機関の通帳などが必要になります。 |
仕入および経費に関する資料 |
契約書、発注書、領収書、納品書、請求書や金融機関の通帳などが必要です。なお、未払費用などの経過勘定科目についてはその内容を示す資料、法人税、源泉所得税などの納付書控え、社会保険料の通知書なども準備しておきましょう。 |
資産の取得および貸借に関する資料 |
資産の取得、賃貸借、借入などがある場合は、それに関する契約書や覚書などの取引の実態を示す資料が求められます。また、商品販売のある企業では棚卸表など在庫の実態を確認できる資料の準備が必要です。 |
企業自体の基本的な資料 |
定款、株主総会や取締役会の議事録、報酬、旅費や退職金などの各種社内規定、役員報酬に関する議事録、登記変更の際の履歴事項全部証明書、雇用に関する書類、組織内部やグループ全体の関係を示す資料などです。 |
調査官から聞かれることの多い内容を事前に把握しておき、スムーズに返答できるようにしておきましょう。税務調査で聞かれる質問・内容には次のようなものがあります。
・計上時期が適切でない売上
申告対象年度の計上にすべき売上を誤って次期に計上したり、計上し忘れたりしていないかの確認が行われます。
そのため実地調査前にそういった不適切な売上計上がないかどうか、計上した場合は何故そうなったかの原因などを把握して、適切に返答できるように準備しておくべきです。
・在庫の計上の誤りや漏れ
在庫の計上に誤りや漏れがないかもよく確認される項目であるため、事前にそのような点がないかを在庫表などで入念にチェックしておきましょう。
「期末在庫高が少なくなる⇒売上原価が多くなる⇒利益が減る」こととなり結果として納税額が少なくなります。そのため在庫量に計上漏れがないか、誤りがないか、が問われることになりやすいのです。
・人件費の内容
人件費の割合が大きい飲食、サービス、物流や介護などの労働集約型の業種では人件費の内容について確認されます。特に架空の人件費計上がないか調べられるケースが多いです。現金による支払いが多い、臨時のアルバイトを頻繁に採用している、履歴書の保存がない、などの状態では詳しく調べられる可能性が高いため、関係資料を準備しておきましょう。
・不適切な交際費の計上
交際費が適切に処理されているかの確認も多くなります。具体的には、計上された交際費が事業とは関係のない個人的な用途で計上されていないかどうかなどがチェックされます。交際費の計上ではいつ、どこで、誰のために、いくら使ったかをわかるようにしておくべきでしょう。
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最後に税務調査に臨む際の注意点を紹介しておきます。
税務調査は税金を無理やり搾り取るための調査ではなく、税法に基づいて適正に申告しておけば余分に税額が課されることはありません。
納税者の方の中には「税務調査=必ず追徴」と考える方もいますが、実際に税務調査によって納税額が増額されないケースも多くなります。もちろん申告に誤りがあれば修正申告となりますが、納税申告を税理士に依頼して適切に実施していけばそうした心配も軽減されるでしょう。
また、税務調査により納税者の事業がストップさせられたり、忙しい時に無理に調査日が設定されたりするのではと不安に思う納税者もいるようですが、実際にはそういったことはありません。繁忙期を避けて余裕のある時期に変更してもらえるため、都合が悪い場合には相談して変更してもらうべきです。
税務調査にあたり経営者は平常心で臨み、調査官に対しては敵対するような態度を取らないようにするのがポイントです。
①リラックスして臨む
税務調査は特に恐れるようなイベントではないため、通常の業務に取り組むように平常心でリラックスして臨むべきです。
緊張してオドオドした態度を示すと、何か不正が隠されているのではないかと勘繰られ余計な調査を誘発させかねないため、落ち着いた応対を心がける必要があります。仮に間違いが指摘されたとしても税理士に相談して今後の対応を決めていけばよいので、慌てる必要もありません。
②敵対した応対は避ける
調査官によっては根掘り葉掘りと質問を投げかけ、誤りを認めさせるよう言動もありますが、それに反感を覚え敵対した態度をとると、調査官の納税者への印象が悪くなりやすいです。
印象が悪くなれば、調査は厳しくなり申告内容の評価に悪影響が及びかねないため、無益な敵対した態度は避けなければなりません。無理に良好な関係を築く必要はないですが、少なくとも悪い印象を与えないよう注意しましょう。
税務調査の結果を受けて修正申告をしてしまうとその後は異議申し立てができないため、税務署からの修正申告を求める内容や指摘事項には慎重は対応が求められます。
税務処理の判断は難しく税務署の主張がすべて正しいとは言えないため、その主張を必ずしも100%飲む必要はありません。また、納税者側が誤っていいそうなケースでも税務署が納税者側の主張を認めてくれることもあるのです。
そのため税理士の主導によりできるだけ追徴税額が抑えられるような妥協点を探ることが重要になります。
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