目次 [非表示]
起業したいと考える人はしばしば全国シェアのあるコンビニエンスストアのフランチャイズ加盟店を選びます。
大手のブランドとノウハウを使える魅力がありますが、必ずしも大成功を遂げている人ばかりではないのも事実でしょう。
コンビニ経営に関わる悩みを抱えている人が知っておきたいのがユニオンの存在です。ユニオンとは一体どのような組織なのでしょうか。
ユニオンとは一体何か
ユニオンとはコンビニエンスストアのフランチャイズ加盟店を経営しているオーナーが集まって作り上げられている労働組合です。
一般的には企業に雇用されている労働者が、経営陣と待遇などの交渉をしたり、情報開示を求めたりするために労働組合を組織しています。
それと類似した形でフランチャイザーとの対談の機会を設け、加盟店として受けられる待遇の改善を求めるなどの団体交渉権を手に入れるために組織されたのがユニオンです。
様々なコンビニエンスストア加盟店が一致団結する場を作り上げることで、個人のオーナーではとても切り出せないような話題をフランチャイザーに提示し、より経営しやすい状況を整えられるようにしています。
ユニオンに加入するメリット
ユニオンに加入するメリットとして代表的なものが三つあります。
一つ目は団体交渉が可能になることです。
フランチャイザーの対応に不満がある場合に、大きな企業を相手に個人が不服を申し立ててもなかなか満足な対応をしてくれないでしょう。
契約を締結したときには気づかなかった問題点が経営を始めてから浮上してきて改善を求めたいと思うこともあるかもしれません。
その際に加盟店のオーナーは我慢して経営を続けるか、廃業するかの選択を迫られることになりがちです。
しかし、その問題をユニオンの議題に上げ、全体で議論した上で組合としてフランチャイザーに意見書を提出すれば説得力も影響力もあるため、改善を期待できるようになります。
二つ目のメリットとして挙げられるのが法整備に関する提言も可能になることです。
日本ではフランチャイズ法の整備が世界各国に比べると遅れている傾向があり、加盟店のオーナーが不利な状況に立たされてしまうことも少なくありません。
コンビニという大きなフランチャイズ市場で経営をしているオーナーが集まった労働組合という組織として、フランチャイズに関わる法整備を国や都道府県などに対して訴えかけるのはアピール力があります。
実際に現場で様々なトラブルを抱えてきたベテランが集まっているので、説得力がある内容を作り上げられるでしょう。
その意見書の内容が法整備に反映されればオーナーとして経営をしていくのが楽になると期待できます。
これから充実していくと期待されるフランチャイズに関わる制度の確立に貢献していきたいと考えている人にはやりがいがあるでしょう。
役員として選出されれば実際に意見書の草案の作成や決議などに関わることができるため、コンビニ経営をするオーナーたちの意見を聞きながら大きな改革を起こせる可能性もあるのが魅力です。
三つ目は会員同士のコミュニケーションの場として活用できることです。
ユニオンにはまだ経営を初めて間もない人もいれば、何十年もコンビニ経営をしている人も、他のフランチャイズに加盟した経験のある人もいます。
フランチャイズを利用せずに独立したことのある人も少なくありません。また、専門家としての知識を持っている人も多く、ビジネスやマーケティング、金策などに詳しい人とのつながりを作る場としても活用できます。
もっと利益を増やしたいというときにベテランからアドバイスをもらったり、他の経営者の成功例や失敗例を聞いたり、ビジネスのノウハウを教えてもらったりして有効活用できるでしょう。
一方、法律が関わるトラブルを抱えているときにも弁護士や公認会計士、税理士などの資格がある人からアドバイスをもらえます。
多様なバックグラウンドを持っている人が、コンビニ経営という共通点を持って集まっているのがユニオンの特色です。
経営をする上で発生する様々な問題を解決しつつ、売り上げを伸ばしていくためのネットワーキングに役立つ組合なのです。
ユニオンに加入すれば一人で経営を続けてきた人も孤独感がなくなり、困ったときに頼れる仲間を作り上げられます。
ユニオンに加入するデメリット
ユニオンに加入するデメリットやリスクも知っておくことが大切です。
直接的なデメリットとして挙げられるのが組合費がかかることで、毎月6000円の支払いが必要になります。
経営不振の状況で助けを請うために組合に入りたいという状況では痛手になる可能性もあるでしょう。
長期的にはメリットがあると考えて入った方が良さそうだと感じても、起業した直後は借金がたくさんあって組合費がもったいないと感じるかもしれません。
ユニオンに加入すると懸念されるリスクもあります。
労働組合として全てのコンビニのフランチャイザーから認められて結成されているわけではないため、フランチャイザーから危険な組織として認識されている可能性は否定できません。
本部の立場で考えると、個人が経営する加盟店は店舗を増やしやすく、発言力も大きくないので最小限の負担で事業拡大を行えるという魅力があります。
ロイヤリティーにより利益が増えるというのも重要ですが、加盟店を統率するために多大なコストがかかってしまっては元も子もないでしょう。
その点で労働組合が大きなアクションを起こして対応を余儀なくされるのを懸念せざるを得ません。
それが理由で不当な対応をされるようになるリスクが全くないわけではないのです。
ユニオンは加盟店のオーナーが労働者性を持っていて保護されるべき対象だということを訴えかけ続けています。
もちろん、コンビニ加盟店のオーナーは経営者であって労働者ではありません。
しかしそれでも労働者性が議論されるのは加盟店オーナーの立場がフランチャイザーの下で働かされているという図式に感じる現実があるからです。
労働者としての権利が守られるという形で合意が行われればこのようはリスクはほとんどなくなるでしょう。
このリスクを負いながら、加盟店オーナーとしてフランチャイザーに対する権利を勝ち取るための活動をしていきたいという気概がある人はユニオンに加入するのに向いています。
おすすめの関連記事
フランチャイズオーナーが知っておきたい労務関係の基礎知識~社会保険編~