フランチャイズ経営の失敗や原因、全部言っちゃいます!
- フランチャイズ経営と現場、しっかり線引きはできているか
- おそれずに、従業員へ言うべきことを言っているか
- 失敗したときの後始末は
初めまして!松崎航といいます。
僕は2013年にIT業の個人事業主として独立しました。Webのデザインやシステム開発を主とする業務です。
1年ほどで何とか食っていける状態にはなりましたが、「このまま受託制作を続けていても、いつか食えなくなる日がくる」と感じていました。
なぜなら、ITの技術は日進月歩。「ホームページが無料で作れる!」といった、我々制作者の技術に取って代わるWebサービスがどんどん出てきているからです。
そこで「将来食えなくなるのを防ぐために、IT以外にも手を出しておこう!」と考えました。
それがきっかけで、介護事業(デイサービス)を展開することになったのです。
しかし、結果は惨敗。2015年に開業後、わずか1年で事業所閉鎖(会社倒産)という形になりました。
振り返ると、「もっとこうしておけば良かったな〜」と思うことがたくさんあります。
これから書くことは、介護事業以外で独立を考えている人にも役立つ内容だと思います。
失敗者の生の声を参考にしていただき、少しでもあなたが成功に近づくことができればうれしく思います。
起業の失敗やリスクについて下記もお読みいただき、先人の失敗を繰り返さないようにしましょう。
・開業の失敗に関するあるあるまとめ
・独立をうまくできる人と失敗する人の違い
非常に安易な理由です。
日本は高齢化社会だ!
↓
成功しやすいのは介護なんじゃないかな!
↓
物件購入するほどお金ないから、スモールスタートできるやり方がいいな!
↓
デイサービスだな!
と、この程度の理由です。
フランチャイズを利用したので介護以外にも選択肢はたくさんあったんですが、なるべく自分の労力を使わない形が良いなと思ってました。
フランチャイズでよくある「リペア店」とか「コンビニ」のオーナーって、人手や利益が足りずに、オーナー自身が現場に出ざるを得なくなることがあると聞きますからね。
デイサービスだったら、社員に現場仕事を任せて、僕自身はITの仕事に専念できるだろうと思っていました。
今思えばすごく安易でしたが、頭が悪いので悩むことなくすぐ行動を起こせました。
バカで良かったー!
フランチャイズってイメージ悪いですよね。おそらく、「フランチャイズ≒コンビニ」という印象があるからでしょう。
潰れまくったり、訴訟トラブルがあったり、本部に取られる手数料が高かったり…といったイメージがありますからね。
フランチャイズをやりたい人のために、フランチャイズに関するノウハウをまとめました!
確かに手数料がバカ高いものもありますが、有効活用すれば良いものもたくさんあります。
僕は介護経験が全くないので、フランチャイズを利用して開業しました。
というか、介護事業は国が管理していることもあり、知識・経験なしに開業するのは相当難しいです。
開業するにあたり、物件探索・整備、人員配置、消防設備の整備、法人設立、許認可申請など、クリアしなければならないことが大量にあるためです。
僕がお世話になったフランチャイザー(フランチャイズ本部のこと)は非常に良いところでした。
社員教育などもしっかりサポートしてくれましたし、時には厳しく指導してもらえました。独立すると誰かに叱られることがほとんどなくなってしまうので、本当にありがたい存在でしたね。
開業前の準備で、色んなセミナーや講演会に行きましたが、結構な率でフランチャイズは反対されました。フランチャイズの利用って、独立というよりかは「本部に従う支店」みたいなもんですからね。
でも、何をやるにせよ新しく行動する時は誰かしらに反対されるものです。
僕は自ら決断して、「フランチャイズを利用する」という選択をしました。結果的に経営は失敗したものの、フランチャイズ選びにおいては失敗したと思っていません。
参考:信頼できるフランチャイザーの選び方
経営に失敗したのは、単に僕の能力不足に尽きるためです。
僕が介護経営に失敗した原因はいくつもありますが…致命的だった失敗は2つと考えています。
この2つの過ちさえ犯さなければ、成功率はかなり上がっていたことだろうと思います。
参考:フランチャイズ起業① 業種選びの失敗
介護事業はご利用者様の人数に応じて、配置しなければならない職員数が決まっています。
例えば「ご利用者様が10人いる日は、介護職員を最低4人配置する」みたいな感じですね。
介護事業は慢性的に人手不足です。国が定めた人員配置ルールを守るには、ある程度の職員数が必要です。その職員を確保するには、採用周りにかなりのお金をかけないといけません。
僕はとにかく節約が大事!と考えていたので、起業したてで人が足りない時は自ら現場に出て介護をしていました。
でも、これは失敗でした。社長の僕と職員との距離が近すぎて、職員からの余計な相談に時間を取られてしまうのです。
介護は女世界。「あの人は悪い、間違ってる」悪口・不平不満のパレードです。人のせいにしてばかり。
誰が本当のことを言ってるかなんてわからないです。皆「私が正しい」という主張。
管理者※がまとめるべきところを、社長の僕が現場へ頻繁に出てしまったことで、管理者が「職員をまとめる」という仕事ができなくなってしまいました。※事業所の責任者で、社長の次に偉いポストです。
その結果、僕自身も社長のやるべき仕事ができない。悪循環でしかありませんでした。
これは介護以外にも当てはまると思います。お金をかけてでも、現場の仕事は現場の職員に任せるべきでした。
もちろん、社長自身が現場で雑用や社員のサポートなどをすることも大切だと思います。社員に「この社長についていきたい」と思わせる必要もあるので。それでも「頻繁に現場へ出る必要はない」ということを痛感しました。
こちらも合わせてお読みください。
事業所の責任者である管理者が全く機能しませんでした。
困ったことや困難な仕事が出てくると「それ松崎さん対応お願いします」という状態。
そんな甘えてばかりの管理者を一喝しなければならないのが社長の仕事ですが…人手不足がゆえ、辞められるのが怖かった僕は何も言えませんでした。
しぶしぶこちらで引き取ってしまった仕事もあります。(これ絶対やっちゃダメです。辞められることを覚悟してでも仕事をやらせないと上下関係が逆転します)
こんなことを繰り返していた結果、以下のような管理者ができあがってしまいました。
・人が足りないのに休む
・私用を優先する
・ご利用者様ともめる
・人のせいにする
・責任感、一切無し
僕に「管理者というポジションに適する人材を見抜く力や指導する力」が無かったですね。
僕は人を信じすぎました。
「仕事や人生を良くするための方法や想いを社員に伝えていけば、勝手に良い方向に動いてくれるだろう」そう考えていました。
でも、そんなに簡単ではなかった。
時には、理不尽なぐらいに厳しくすることも必要だなと感じました。甘い環境下では、有能な人材は作れないのです。
だめな管理者に「付いていきたい!」と思う職員はいないですよね?
職員同士の連携は、修復不可能なくらいボロボロでした。管理者は男にすべきだったなと反省しました。(と言っても、人手が足らず女性を登用するしか選択肢はなかったですが)
介護事業を始めようと考えている方は、以下の点を念頭に置いておくことをおすすめします!
他の業界でも共通することですが、とにかく人手不足!人を選んでいる余裕なんてありません!
能力の低い人を育てていく前提で人を雇う必要があります。有能者が来たら「たまたまラッキーだった」と思ってください。
また、他の業界に比べて、介護職に就く人はITに疎い印象が強いです!
ゆえにインターネットの求人広告を出しても、ほとんど見られません。新聞折込チラシなどと一緒に配布される求人広告に掲載するのが1番効果的でした。
が、それでも何度も出さないと満足いく応募がきません!求人広告予算は多めに確保しておくのがおすすめです。
介護職は良くも悪くも「誰でもできる仕事」です。
常に人手不足のため、高齢だろうが仕事ができなかろうが転職しまくっていようが、職員は大体雇ってもらえる雇用者天国状態。ゆえに「仕事に対する意識の低い人」が集まりやすいです。
・自分に合わない職場なら辞めればいい
・介護だけしてればいいんでしょ
・介護してあげてる
・生意気な利用者がいたら少しぐらい暴力振るってもいい
・不都合が起こると人のせい
・スキあらばサボっちゃおう
・給料をもらうのは当たり前
・安い給料で働いてあげてる
こういうことを平気で考えています。(※もちろん、全員がこうではないですよ!)
なので、社会人として当たり前のことをゼロから教える必要があります。
場合によっては、仕事的なことだけでなく、「人としてどうあるべきか」という、別次元の教育をする必要も出てきます。
例えば、
・小さなことでも徹底的に感謝する。
・人のせいにしない。全ての原因は自分にある。
・嫌なことを進んでやる。
等ですね。
経験者や年配者であればあるほど、「自分の考えが絶対正しい」と思い込んでいるので、そういう人を教育するのは、ひと苦労です。何回も同じことを説明しないといけません。
1番悩まされたのは、くだらないことで職員同士がぶつかりあうこと※。「ご利用者様やご家族様がそれを見たらどう思うよ?ほんと仕事して…」って感じでした。
※男の多いIT業では、まずないようなトラブルです。
下記も参考に。
フランチャイズオーナーが知っておきたい労務関係の基礎知識~勤務条件編~
フランチャイザーからは「早ければ半年で黒字化できます」と言われていました。
しかし、実際は簡単じゃありません。2〜3年運営していても赤字の事業所もあるぐらいです。
知り合いの介護系経営者からは「3年は赤字を我慢しないといけないケースもある」と言われました。
ゆえに、デイサービス開始時は、少々資金に余裕を持たせた状態でスタートするのがおすすめです。
デイサービスの場合、「資金が足りなくなったので、すぐに辞めます」ってことはできません。
すぐなくしてしまうと、デイサービスをご利用中の方やご家族の方に迷惑がかかってしまうので、最低でも1カ月前※に届け出を出さなければならないのです。
※施設形態により異なります。1カ月前というのはデイサービスの場合です。国の方針で変わります。なので、潰す時は早めに決断するのがおすすめです。
倒産者の中には、即潰して去ってしまう経営者もいます。自己犠牲で1カ月分の借金を増やすようなものですからね。気持ちはわからなくはないです。
法人破産の場合、弁護士に入ってもらいます。
契約が済むと、弁護士の先生から「各会社からの請求に応じないでください(お金を払わないでください)」と言われます。
支払い期限を過ぎると、各会社から督促がきますが「支払いは待ってください」と言い続ける必要があります。
何回も電話が来るので、途中から出ないようにします。
すると、督促者が直接会いに来ます。
それでも「今は払えない」と言い続けるしかありません。
お世話になった人にこういう態度を取り続けるのは本当に辛かったですね。
諸々手続きが済むと、弁護士から督促者へ「受任通知」というものが送付されます。受任通知が送付されると、債務者への督促がNGとなります。
ここまでくれば、請求が直接来なくなります。直接来たとしても「弁護士に付いてもらったので、以降は弁護士へご連絡ください」と言えば終了です。
大丈夫、倒産しても借金作っても殺されはしません。(誰かに強く恨まれるようなことをしなければ)
億単位の借金をしている人にも何人か会いましたが、すごくポジティブに生きていらっしゃいます。迷惑をかけてしまうのは辛いですが、起きてしまったことはどうしようもありません。切り替えて次のステップへ進みましょう。
倒産を決めたら、ご利用者様やご家族様へ謝罪の挨拶へ伺います。あとはひたすら「お金がなるべくかからないように」、借りていた事業所(民家)を元の状態に戻していきます。
手すりやスロープ、消防設備等の設置工事をおこなっているので、全て元に戻さなければなりません。
幸い僕の場合は、次の借主が「原状回復しないままで借りたい」と言ってくれたので、本来かかるはずの原状回復費用がかなり削減できました。
大量のゴミや不用品の処理は、なるべく業者を使わずに自分で売却したり処分したりしました。売れるものはなるべく高い値段で売却しなければなりません。複数の業者へ相見積もりを取って、1番高く買い取ってくれるところへ売ります。
その間、多くの資料を引っ張り出してきて、弁護士へ提出します。と、文章に記すと数行なのですが、この後処理が相当大変です。
やっとの想いで後処理が終わったら、あとは裁判所に出廷するのみ。初めての裁判所で緊張しましたが、債権者や弁護士が集結し、裁判官から破産の説明を受けて完了です。
介護は儲からないです。受け入れられる人数上限が決まっているので、売上の天井も決まっているのです。
もちろん、やり手の経営者は上手いこと儲かるようにやってますが、それはほんの一部。黒字でも「割に合わない」と考えている社長が多いのではないかと、僕は推測しています。赤字でなくても、会社売却されているケースをよく聞きますからね。
もし僕が致命的な失敗をしているにも関わらず、運よく成功してしまっていたら…と想像すると恐ろしいですね。収入は少ないのに、時間ばかりが取られて精神的にも疲弊していくわけですから。
介護報酬は医療と同じように点数性です。国が点数を下げれば、あっという間に会社の売上が下がります。
実際、2016年は介護報酬が下がったことにより倒産件数が増加したと言われています。
参考:介護事業所の倒産急増 昨年最多108件 介護報酬下げ響く
ただでさえ儲けづらいのに、国に報酬を減らされたらそりゃ潰れますよね。
単純に介護報酬を下げるだけでなく、「デイサービス自体をなくそう」という方向で国が動いたら、もっと介護報酬が下げられるでしょう。
さすがにいきなり淘汰されることはないと思いますが…徐々にデイサービス事業全体が後退させられる可能性もあるわけです。
1年という短期間で起業から倒産まで経験できるのは、なかなか無いことです。もう1度同じことを体験したいか?と問われたら答えはNoですが(笑)…
人の動かし方を学ぶことができ、メンタル力や行動力の向上など、かなり自己成長に繋がりました。
2~30代のうちに倒産は経験しても良いのかなと思います。やり直しききますからね。
と、失敗して良かった理由を書きましたが、これはあくまで僕の個人的見解です。
成功する人は、他人の失敗事例を見て「あ、これはしんどいからやめておこう」とは考えません。「失敗を活かして成功へ導こう」と考えます。
僕は介護事業をおすすめしないわけではありません。僕には向いていなかったというだけの話です。こんな個人的見解で、あなたの「開業する決意」が揺らいでしまうようなら、他の事業にした方が良いです。
本当に介護事業を展開していきたいと考えている方は、これら失敗談を糧にして、成功への道を突き進んで行って欲しいなと思います。
助っ人の記事を読んでいる人は、「すでに独立している人」、もしくは「独立に向けて行動し始めている人」が大半かと思います。
そういう人にとって、以下に書くことはあまり役に立つ内容ではありませんが、
・独立しようか迷っている人
・独立したいけどできていない人
に向けて伝えたいことがあります。
それは「独立は誰でもできる」ということ。
僕は全く優秀な人間ではありませんでした。
学生時代は空気が全く読めない癖のある人間で、周りから少々嫌われていました。大学に進学できたとはいえ、5流大学。
社会人時代も大して仕事のできない、どこにでもいるサラリーマンでした。
能力が低い証拠でしょうね。
ネット詐欺にもあったし、ビジネス関連の高額商品を買って失敗したこともありました。そんな僕でも独立して何とかやっていけてます。
もちろん、闇雲に独立しても失敗してしまうので、ある程度準備をしてからの方が良いですが…6~70点の準備ができたら、あとは勢いで行動すべきです。でないと、いつまでたってもサラリーマンのままで何も変わらないですからね。
もちろん、家族や子どもがいていきなりリスクのある独立をするのには不安がある人もいるでしょう。だったら、副業を少しずつ大きくしていって、安定したらそっちにシフトするって手もあります。
副業が禁止されている会社でも、やりようによっては会社にバレずに副業できます。それが無理だとしても、下準備ぐらいはできるはずです。
独立したいのにできていない人は、「できない理由」を探してしまっているのです。
人と違う行動をすれば、時間もお金もサラリーマンの時以上に手に入ります。
満員電車に乗って、ヘボい上司にペコペコしてストレスフルな仕事をする…それってあなたが望んだ人生なのでしょうか?
僕の周りには
・オッサンになってもアルバイトで生計を立てている人
・億単位の借金を背負っている人
・家族に養ってもらっている人
といった、「普通の人よりも不利」と思われる生き方をしている人がいます。
それでも、その人たちは「自分の人生終わってる」なんて考えていません。自分のやりたいことをやろうと決意して人生を歩んでいるので、目が超キラキラしています。
余計なプライドを捨てることができずに、「毎日が辛い」と感じながらサラリーマンをしている人より、自分のやりたいことを実行できている人の方が、よっぽど人生を楽しめているんじゃないかなぁと僕は思います。ぜひ、独立仲間になってください!
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