20代で未経験から起業して億を超える成功する会社をつくる方法
- ①20代での起業をした時によかったこと
- ②0から1を作る難しさ
- ③モチベーションに繋がる責任感と経営戦略
伊藤>僕自身も23歳の時に起業をしていて、9ヶ月だけ社会人経験があるのですけど、起業との関係で言えば、殆どが意味のない社会人経験でした。
逆に石川さん以外の方にもお伺いしたいのですが、ある種、何もリソースのないところから起業をしていると思います。
吉岡>私は、一回就職してから起業するメリットはあると思います。
私の場合は高校卒業して、即起業したのでアルバイトや他の企業に務めたことが一度もありません。恥ずかしながら、営業の方法も分かりませんでしたし、会社を設立しても、会社概要や請求書もなかったため、一番はじめにメンバーが入社した時は「本当に会社ですか」と言われるような状態でした。なので一回企業に勤めるメリットとしては、ビジネスモデル、営業から商品作り、マーケティング、運用、顧客の管理、一連のフローを体験できることかなと思っています。
芦川>僕も吉岡さんがおっしゃったことは同感でして、何もないというか知らないのでゼロから作ることは結構大変で、それって実は他社には出来上がっている仕組みだったりして、それを知ってスタートするというのは結構時間的には早かったりとか、無駄にお金かけなくても済んだりすることだったりとかするので。その点は、今でも時間が許すのであれば、どこかの会社に入って1年くらい勤めてみたいなっていう気持ちは凄くありますね。
一番はじめは請求書がない、契約書がないという状態から始まりました。起業家、特に0から1を作る人というのは、本当に無駄が多いと思います。
遠回りをして、1年後をふり返りこれをやっていれば良かったなというのが凄く多いですね。だけれども、そのステップを踏むというのは凄く大事なことかなと思います。確実にそれを自分でこなす、ないしはチームでこなしていくと会社の本当に力強い基礎力となっていきますので、それがよいことだと思っています。
一方で大企業に入ってから、企業経験してからスタートアップを始めるというのは、その辺がある程度分かっていますよね。
例えば、大手企業さんと取引をする際は、阿吽の呼吸みたいのが実は結構ありまして(笑)僕はその辺を知らなくて、大手企業の方に結構怒られました。局長とかにも、お前なんだそれは、と態度とかも怒られたのですけど、その辺を踏まえていい経験になったのかなと勉強をしつつ自信にどんどん繋がっているのかなというふうに思います。
片岡>私は就職しないで起業するメリットについお話させていただきたいと思います。私は特に不動産業界で昔からのしがらみにおいて、不動産の経験が全くなくて創業させていただきました。そこで良かったこととしましては、常識がない訳で不動産業界では歩合給でお客さんに営業するというのが当たり前で、それを一年くらい入っていたらそれが当たり前だよね、と言う風にはじめていたと思います。
でもそれが私の中では当たり前ではなくて、何で営業するのですか、何で歩合給なのですか、という考えで、ゼロベースで本当に自分が正しいという道を選べたのが一番良かったと思います。
吉岡>辛い時の話は2つあります。
1つ目は、田舎の岡山から東京に大学進学で出てきて友人もいない中で、花のキャンパスライフを捨てて起業を始めた時のことです。
自分でWebサイトを作るにあたり、周りに詳しい友達もいないですし、当時はFacebookのようなSNSもまだ流行ってなかったので、2ちゃんねるで分からないことを質問していました。
何日経っても回答が来ず、「誰か助けてください」と書いたら、「ググれカス」って言われたりとかして(笑)本当に教えてくれる人がいないのが辛かったです。やっぱり一回勤めたりしていると、その業界の繋がりができるので羨ましいですね。起業後は分からないことだらけで朝から晩までパソコンで情報収集をしていました。一方で同学年の人たちは花のキャンパスライフでわいわいしていて、本当に俺はこのままでいいのだろうかという孤独感が辛かったです。
2つ目は、会社が大きくなってからの話です。二期目で個人投資家の方から5000万円の資金調達する機会があって、一気に人を30名ほど採用しました。自分たちに経験のない負い目から、キャリア採用で、例えば「前職はマイクロソフトでプロダクトマネージャーでした」のようなすごい方がいたら即採用、と一気に拡大したんですね。
でも会社が大切にしている価値観を伝えずに経験や能力重視で組織を急拡大した結果、自分たちのリーダーシップやマネジメント経験の不足でチームとして成果を出すことができませんでした。
人が増えても売上が全然上がらず、毎月500万を超える赤字が続き、2期目で数千万の赤字をだしてしまいました。自分たちを信じて出資してくれた株主からも株式を買い戻すことになったので、22歳の時に個人で1億円の借金を共同パートナーの2人と抱えることになった時が一番辛かったです。
片岡>私が辛かったことはですね、大学時代の同級生と創業しまして、その時7、8人で、無給で休みもなく働いていたんですね。
でも彼らが私たちの会社じゃ安心できなくて、就職してしまったのが正直辛いことでした。その時の私たちは彼らを引き止めるだけの売上もなくて、熱意も足りなかったんでしょうね。
だから就職をしてしまったのは辛いことでしたが、私たちの実力不足だったところが大いにあります。
もう一つが、採用は何度か失敗しました。それは価値観が合わなかったのが大きく、単価の交渉などでもめてしまい、結果相手が出て行くことになってしまったんですが、やはり組織課題で苦労することが多かったですね。でも本当はそこに時間を使うべきではなくて、営業課題や戦略課題に時間を使うべきだったなと今物凄く反省しております。
芦川>辛かったこと、、皆さんの中で起業されている方は、良くあると思うのですが、最初は人の目が気になりました。
実はこのパネルのパネラー、皆慶應大学出身なんですけど(笑)大体、皆、野村証券いきますとか、本当にエリートになるとゴールドマンサックス行きますとか、良い企業に皆さん就職していくわけですね。
そんな中就活最中に自分で会社を作り、何故か毎日学校にスーツで行き、早めに帰り、あいつは何をしているんだと言われ。一応会社をやっているといいつつも、大して売り上げがないので、どっからお金を取っているのかわからないような、とにかく凄く人の目が気になりました。
でも段々自分たちの提供できるサービスの価値がでてくると、自信が持てるようになりました。多分もっと片岡くんみたいにパッション高かったり熱意があったりすると、自分こんなことやっているんですって言い切れるのかもしれないですけど、僕はそんなに熱量が高くない起業家だったので(笑)なので最初は人の目を気にしつつやっていましたね。
石川>コッタの例を事例にすると、コッタというのは、以前から既にあるECサイトだったんですね。それまで運営していたタイセイがマザーズに上場するタイミングで、今後ECに資本を本格的に投下しようということになって、専門家が必要だとなったんです。ただ、タイセイは大分県にある会社なので、大分県でECを回せる人間がなかなかいないよね、という話になり、僕が以前cottaのコンサルに入っていたという経緯があったので、声をかけてくれたわけですね。
ここで厳しいところは、最初から成功を約束させられている、ということなんですね。アントレプレナーとして立ち上げたのではないので、タイセイとしては成功を金で買うよ、ということで TUKURUという子会社を設立してます。絶対に失敗が許されない。上場企業が親会社で最大のクライアントです。その先に多くのステークホルダーがあります。新しく子会社を立ち上げてECを拡大します、という風にIRもしますので、当然投資家の目としては、今後伸びてくるんだろうなと思われるんです。スゴいプレッシャーです。その前提が一番キツイところでした。
吉岡>事業が成功しはじめたのは、会社設立して4年目の時です。当時は営業戦略も確立しておらず、お客様が困っていることを全部引き受けていたんですね。Web制作やネットショップの運営代行、広告の運用など、正直何でもですね。御用聞きの何でも屋さんみたいになっていました。 様々な事業を展開していると、商品力が上がっていくのが遅くなるので、2009年にSEO事業に絞った結果、3年間で社員数7人から72人に増えました。色んなことをやらずに、一つのことに絞ったというのがターニングポイントになりましたね。
片岡>IT側の集客が弱かったので、そこの部分を他社様と提携させていただいて改善した結果利益が伸びたのが成功のポイントだと思いますね。
伊藤>IT側が弱かったとはどういうことですか?
片岡>いわゆるオペレーションシステムとしてのITの使い方は上手くいっていたのですが、WEBを作ってしっかりSEOで集客してというところが、結構知見がいるんですよね。
ですから私たちは不動産なので、専門外のところは外に委託する、という風にしたのが良かったと思います。
伊藤>不動産の引越しを探しているユーザーの人たちをインターネット上で集客できる様になったということですかね?
片岡>集客することに時間を割くのではなく、集客の種となる自分たちの強みに磨きをかけることに時間を使ったのが良かったと思います。
伊藤>なるほど。オペレーションのところで、お客さんがきてからの、実際の実務というところを突き詰めていって、集客のところは外部の会社さんに任せてっていうことですね。
芦川> 起業後にうまくいきはじめたのは、企業から予算をとるということを覚えた時ですね。1社で、500万、1000万ととれるようになった時が随分楽になりました。
その貰ったお金で次の新しいことできたりするのが1番大きかったかなと。 実は最初の頃に、予算が取れたのが、電通さんなんですね。
どうやったかというと、実は電通さんのとある局長が慶応の野球部出身で、うちの専務も慶応の野球部出身なんですね。電通慶應三田会っていうのがあるんですけど、要は慶應出身者の派閥みたいなところですね(笑) 我々はその機会を活用させて頂き、諸先輩方に可愛がってもらいながら、電通さんの新橋本社ビルをローリング作戦の様に回って名刺交換をして、お願いしますって言い続けました。
でもその地道なのって凄く効いて、電通の方からするとベンチャーで頑張っている若者というのがかなり新鮮なんですよ。
そこで応援してやるよ、という人が出てきたのが大きかったですね。
伊藤>3人の事業や起業の成功スケールのポイントって実は共通しているのってわかりますか?
芦川君は電通に的を絞って、片岡君は集客のところは委託してオペレーションに絞っていますね。吉岡君は散らかっていた事業を一つに絞ったというお話でした。
僕とかも最初はかなり調子に乗っていて何でもできると思っていたので、色々なところに手を出してしまうんですけど、結局1つ1つの商品レベルやオペレーションが相当低いものになるんですね。
なので、どこかのタイミングで整理するということは、凄く大切だなあという風に僕も納得しました。
石川>事業成功のポイントとして、「人」でしかないんですよ。僕らはECというある種ニッチな業界で、専門家としてやってきた集団なんですけど、最初にやったことは最強のメンバーを集めることです。今cottaは20億のサイトですけれども、全部で10名弱で回していて、全員が100億以上のECサイトをやってきたレベルのプロフェッショナルだけを選りすぐって集めてきています。そういう意味で、本当に良い方に集まってもらえたことが成功の理由だったかもしれません
伊藤>次の質問ですが、今、起業をメディアを含め目にすることが増えてきたのではないかなという風に思います。
皆さんの中で起業についてどういうふうに思っているのか、また今までの経験を活かして今、起業するとしたら、どんなことに気をつけていくかなどを教えて頂きたいです。
芦川>最初の起業の時の良くなかったなと思うことは、自分だけで会社経営をやろうと思っていたところですね。周りから大人の人の意見を聞くとか、組織体もなければ寛容度もなかったので、少し遠回りをしてしまったなというのがあります。今だとやっぱり起業するのであれば、その分野について詳しい人とか、ビジネス通じている人を明らかに組織の中に招いて、ないし外的に関わっていて頂いて、わからないことはサポートしてもらうような体制を作るだろうなというのが6年やったなかでの経験だと思います。
吉岡>今は起業しやすい環境が整っていると思います。facebookや、TERACOYAのようなイベントで、起業家やビジネスをしている人と知り合うのが容易な時代だとと感じています。この誰とでも簡単に繋がれるという時代を、フル活用しないともったいないです。今選ぶ事業内容としては、今の旬なキーワードでいくと、スマホ、クラウドソーシング、グローバル、かなと思っております。私の時代はYahoo!、Googleの成長が著しかったので、SEOのマーケットを選んだんですけど、今Yahoo!のユーザーもスマホ比率が50%超えて、ITの戦場は、アプリに移ってきています。
こういうのは40代、50代のおじさま・おばさま達にはなかなかわからない領域で、若いからこそ新しいものをキャッチアップできるはずなので、これから伸びている市場に対していち早く参入することがポイントだと感じています。
片岡>リスクの考え方については、起業ってリスクがあるってよく言われるんですけど、それこそ企業の寿命がどんどん短くなっていく中で、自分に力を付けないことがリスクだと思っています。起業することがリスクなのではなくて、自分が力を付けないことがリスクだと思っています。
私、実はリスクを避けたがる人なんですね。安定志向だからこそ、短期的なリスクというのが、長期的な安定に繋がると考えている。逆に短期的な安定というのが長期的なリスクに繋がると思います。
私の事業の選び方としては、人がやりたくないことをやることをやるというのを決めています。不動産の賃貸仲介は、僕の友達でも1人も就職した人はいなくて、誰もやりたがらない、ないし誰でもできる仕事だからこそ、まだまだユーザーさんの不安とか色々な需要がありまして、かつ、競合が弱いので企業として成り立ちやすいというところを私は狙ってやっています。
芦川>ほかには、私はヒト・モノ・カネの中でお金についての話しをします。起業する時ってお金ってすごく大事かなあと思いますので。
最初は仲間の持ち金でやって、創業三ヶ月後にベンチャーキャピタルから一億円の増資をしました。お金を調達することは今では投資側が潤っているので資金調達しやすいと思います。ただこれは株式をとられるということなんですね。ここは僕は自分の中で凄く大切にしていて、株式を取られるということは、自由がなくなることもたまに出てくるんですね。これしたい、と言っても株主がノーといったからできない、我々みたいな未上場会社でさえも厳しいので上場会社は、もっと厳しいと思うんですけど。なので今のハッピーズという会社は自己資金でやっていて、ずっと黒字もだし続けているので、比較的お金も潤っていて、自分たちの好きなことができるというテーマは凄く大切にしています。
でもどこかのタイミングで、この事業で100億円、1000 億円とはいかなくてもスケールできるタイミングがくるのだろうなということを思っています。
その時にはじめてVC ないしは銀行からお金を調達して、一気にスケールしていこうと考えています。
なので最初のお金をどうすれば良いのかというのはきちんと考えたほうが良いと思います。
創業パートナーとの株式割合とかも随分気をつけたほうが良いと思います。
資金調達やファイナンスの勉強は先にやっておくことをお勧めします。
石川>僕は、アントレプレナーとイントレプレナーの対比でお話しします。僕らは、既存のプラットフォームの上に自分たちが身を置くをというのが一番リスクが低いし、事業の成功確度が一番高いという考え方ですね。どっちが正しいとか悪いとかなくて、経営者のタイプや考え方によって、というところなのかなと思います。
僕らの考え方としては、言葉を選ばずに言うとすれば、「ゲーム」と同じなのだと思っています。ゲームって必ず制約条件があって、某有名なRPGを考えても、最初ってレベルが当然1だし、持っている武器も弱いし、制約だらけで始まるんですね。その中できちんと段階を踏んでレベルを上げるとボスが倒せてクリアできる、ということなんですよ。
僕らも既存の事業基盤に乗ってリスクをなくしている変わりに、制約がつきまとうというのは受け入れていて、その中でどうやってスピード感をもって成功させていくかというところが、プロとしての腕の見せ所かなという風に思っています。