事業承継が進まない理由3つ!上手に事業承継するためには何が必要?

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高齢化が進み、長い間元気に働き続ける経営者が増えています。しかし、今は元気とは言え、万が一のときのことを考えると、事業承継を検討すべきタイミングが来ている企業は実際には多いはずです。ところが現状をみると、事業承継はあまり進んではいないようです。

ここでは事業承継が進まない理由と、状況改善のための方法を解説します。

事業承継とは

事業承継というのは、会社の事業を後継者に引き継がせることです。後継者となる相手としては、経営者の親戚や家族などの身内、会社の従業員、外部からの人材などが考えられます。ちなみに、親戚や家族などの身内の場合には親族内承継、従業員の場合には従業員承継、外部からの人材の場合にはM&Aと呼ばれます。

事業承継では、会社の物理的な資産や財産だけではなく、株式、人材や企業文化など含め、全てを引き継がせます。一方、よく似た言葉として「事業継承」という言葉もあります。こちらは、地位などを引き継ぐ際に使われることが一般的です。

より具体的に2つの言葉の違いをみていくと、事業承継は法的な意味合いも含まれるときに使います。

ですから、経営者としての地位や、企業文化など精神的な部分だけではなく、会社のさまざまな権利・義務も引き継ぐときには「事業承継」です。ただ引き継ぐだけではなく、これまでの企業文化を大切にしながらも、より一層事業を発展させていく、というような考え方です。

一方で「事業継承」の「継承」は、「王位継承」などに使われるように、身分や地位をそのまま引き継ぐことを意味します。事業承継にあるような、さらなる事業の発展という意味は少し薄れ、やや事務的・義務的な考え方となります。

事業承継の現状

中小企業庁が、事業承継の現状について調査した際、平成26年までのおよそ10年間における経営者の交代率は、平均で3.5%でした。一方で、1975年から1985年、昭和50年代の経営者の交代率は平均で約5%です。経営者の交代率は、低くなっていることが分かります。さらに、この数値を、2011年という単一年だけに限ってみると、2.46%です。つまり、交代率は減少傾向にあり、事業承継があまり進んでいないという現状が伺えます。

事業承継が進んでいないということは、一人の経営者が経営に携わり続ける期間が長くなるということです。 自ずと経営者の年齢は上昇していきます。同じ中小企業庁作成の資料を参照すると、経営者の交代率が右肩下がりであるのに対し、経営者の平均年齢は、右肩上がりです。

2011年の経営者の平均年齢は、59.09歳でした。そして、経営者が最終的に引退する年齢の平均は、2010年は中規模企業で67.7歳、小規模企業では70.5歳です。また、60歳以上の経営者の割合でみると、2012年は51.8%となりました。20年前、60歳以上の経営者の割合は29.8%ですから、いかに経営者の高齢化が進んでいるかというのが分かるでしょう。

現在の高齢化は経営者だけではなく日本全体の傾向ですから、こうした流れは今後も続くことが想定されます。今後の10年以内で、5割を超える経営者が引退の年齢に差し掛かるわけです。まさに今が、事業承継を考えるべきタイミングと言えます。事業承継が進んでいない状況は、改善していかなければなりません。

事業承継が進まない理由その1

事業承継が進んでいないのには、どのような理由が考えられるのでしょうか。事業承継を進めていない企業に理由を尋ねたところ、最も多かったのが「まだ事業を譲る予定がない」というものでした。高齢化が進む日本社会では、まだまだやる気に溢れ、身体も元気な高齢の経営者が多くいます。経営者自身が「まだ自分はやれる。大丈夫」という意識なので、事業承継も進まないのでしょう。

しかし、事業承継をスムーズに進めるためには、準備期間も含めて10年程度の期間が必要と言われています。いざ必要が生じたときに慌てて事業承継しようとするのでは、実は遅いのです。

事業承継が進まない理由その2

「後継者が決まっていない」という理由も、非常に多いです。後継者あっての事業承継ですから、決まっていないのであれば、確かに事業承継は進みません。最初に触れたように、事業承継する後継者は、親族や家族、従業員、他社からの経営者の3つが考えられますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。それらをよく把握した上で、できるだけ早く後継者を決めることが重要です。

事業承継が進まない理由その3

意外なようですが、「自社には不要・事業承継の必要性を感じない」という理由を挙げる企業もあります。事業承継したばかりの企業であれば、すぐに次の事業承継を考えられないのは当然かもしれません。しかし、事業承継せずに自分の代で会社を終わりにすることを考えている企業も、ある程度存在するということです。これは、非常に勿体のないことと言えるでしょう。

事業承継を進めるためには

事業承継する計画自体がないというのと、事業承継を検討してはいるが何らかの事情で進まないとの2つの間には、大きな違いがあります。

「計画自体がない」企業の理由は、前述の通りです。しかし「事業承継を検討しているけど進まない」という企業に限ってみると、他に、「自社株など個人資産の取り扱い」という理由が挙がっています。また、「事業の将来性に不安がある」・「借入に際しての個人保証がある」・「相続税・贈与税などの税金対策」なども、理由としては多いです。

これらは、企業の財政にも関わってくる非常にデリケートな分野ですので、おいそれと他人に相談はできません。大抵の経営者は一人で思い悩み、それがまた事業承継を進みにくくしている要因となっていると言われています。 事業承継が進まない状態を改善するためには、ここまでに挙げた「進まない理由」を、一つ一つ解決していかなければなりません。

まず、事業承継を今現在検討していない経営者は、事業承継するには時間がかかるということを認識しましょう。後継者を育成するのも、事業承継の計画を立てることも、時間を要します。いざとなって慌てないように、早め早めに準備をしていくことがポイントです。

次に、後継者選びです。国内企業の約3分の2が後継者の不在企業と言われています。親族や家族、従業員の中に後継者として相応しい人がおらず、悩んでいる経営者は多いです。それにも関わらず、事業承継の手段として他社に売却するM&Aを選ぶ企業は、まだあまりありません。

自社を他社に売るということに罪悪感を感じるのかもしれませんが、M&Aにはメリットも沢山あります。親族や従業員だけに後継者候補を絞らず、いろいろな可能性を検討してみましょう。後継者選びの段階から手伝ってくれる、税理士などの事業承継の専門家も増えています。そうしたところに相談してみるのも良いかもしれません。

事業承継の手続きには大変なこともありますが、実際に事業承継を実現した経営者の多くが、世代交代によって良い影響があったと考えています。経営者は一人で悩まず、ときには専門家の助けも借りながら、事業承継に取り組むのが大切です。

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