起業だけじゃない!「継業」するという道

地方で「継業」という選択を考えてみる

政府の「働き方改革」によって、副業や兼業を後押しする世の中になってきました。 現在の私たちは働くことに対しての選択肢の広がりが出てきました。その一方で、日本における少子高齢化の問題により、地方においては地方出身者が大都市圏に流出し、人口減少が進むことで人手不足が起こり、地域経済の活力が失われていくといった悪循環を生んでいる現状があります。

起業を目指す人も増えていますが、今回は起業とは異なり地方において「継業」という方法についてご紹介します。

さまざまな情報を得て、自分自身の次のステップへとつなげていきましょう。

地方を取り巻く環境

後継者不足。

今、地方で事業を営む人たちにとって大変悩ましい問題となっています。廃業に陥いる企業というと、赤字で事業継続ができなくなるイメージを抱いている人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。事業が安定していて、顧客を多く抱えている企業であっても経営者の高齢化や後継者不足によって廃業を余儀なくされてしまうのです。

帝国データバンクの「後継者不在企業の動向調査」によると、都道府県別では沖縄県(83.5%)が全国トップ、次いで山口県(75.0%)、神奈川県(73.8%)、北海道」(73.5%)などが続いています。


image2(11)出典: 帝国データバンク 全国「後継者不在企業」動向調査(2018 年) 

今後も、少子高齢化は加速していくと予想されていて地方では中小企業を中心にさらに廃業する事業者が出てくるとされています。

そこで、今注目されているのが「継業」という新たな仕事のカタチです。

「継業」とは何か?

「継業」の定義は、“事業・生業、あるいはその経営基盤を継ぐこと。特に、親族や従業員といった一般的な後継者候補ではなく、接点のない第三者に引き継ぐこと。”といわれています。

注目すべきポイント3つ

ポイント1:有形・無形資産を受け継ぐことができる

例えば、農業であれば農地や農具、旅館であれば建物や設備だけではなく許認可や権利といったものごと引き継ぐことが可能になります。土地、建物、設備といった有形資産(有償、無償の場合あり)、技術・顧客・ブランドといった 無形資産を受け継ぐことができるのは最も魅力的なことといえます。地域に根付いて事業展開をしているのならば、後継者となれば地域の中においての信用も引き継ぐことができるので、顧客やその他人間関係などをスムーズにつくりあげていくことができるでしょう。

もちろん、後継者といっても経営など未経験の場合はいきなりビジネス展開をしていくのが困難な場合もあるはずです。その場合は、後継者の候補として現時点の経営者について知識や経験を得ていくことで、先々に後継するというやり方もできます。

ポイント2:自分の経験や能力を生かした新たな事業展開ができる

受け継ぐ事業の中には、従来のビジネスモデルにこだわり続け、時代の流れに適応できていない事業によって、企業自体が危うくなっていることも問題として挙げられます。引き継ぐ事業を理解したうえで、これまでの自身の経験や知識を生かして、その企業にこれまでなかった新たな視点を盛り込むことで、事業として新たな展開を図ることが可能にもなります。

自分にとって当たり前に行ってきた仕事の中にも、ヒントがあるかもしれません。当たり前が、当たり前ではないことも多々あるのです。地方では、すでにある資源と多角的な視点を組み合わせることで、ビジネスチャンスが広がる可能性が多いにあります。

ポイント3:起業ほどのリスクは少ない

起業には興味関心がある人でも、経済的な面や事業失敗のリスクがあることに不安を抱き、起業に対して足踏みしている人もいるでしょう。「継業」においては、ゼロからスタートするわけではなく、企業の資源を活用して運営していくことになります。会社の目指すべき姿や取引先、既存の業務内容などはすでにできている状態なので、起業のリスクを懸念している人にとってみると、挑戦のしやすさがあると感じる人もいるでしょう。

起業についてはリスクばかりではなく、メリットもありますので合わせてこちらも参考に読んでみてください。

地方ではどんな動きが起きている?地方起業の失敗と成功とは

長年にわたり継がれてきた技術や、愛されてきたお店が失われるのはとても悲しくもったいないことです。そこで、第三者に事業を受け継いでもらうという「継業」が注目を集めています。継業は、既存の中小企業や個人事業主の「後継者」になり、有形・無形資産を受け継いで新しくビジネスを展開していくことが出来るのです。ゼロから起業するわけではなく、今まで培ってきた資源を引き継げるのが継業の大きな魅力です。

継業のカタチ

「継業」といっても、単に自分ひとりで受け継ぐだけではなく、パターンがあります。

  1. 全てを引き継ぐ
  2. 一部だけを引き継ぐ
  3. 複数人で引き継ぐ

自分自身のやりたいこと、企業の目指している方向性が合っていてマッチングすれば、全てを引き継ぐということは考えられますが、「継業」において決して絶対条件ではありません。 既存の資源を活用して自身の仕事や新たな事業を展開するうえで、必要な事業を受け継ぐということも経営者と相談して選択する方法もあります。

また、一人で全てを担うのではなく、複数人で業務分担をして受け継ぐというパターンもあります。ひとりがひとつの企業を受け継ぐという決まりがあるわけではないので、継業したい人たちがそれぞれ力が発揮できる業務分野があれば一緒に引き継ぐのもいいかもしれません。

「継業」に向けたサポート

「継業」をいきなり選択することが難しいという人もいるでしょう。「継業」についての情報やサポートはほかにもあります。理解することでより具体的なイメージや行動を検討することができますので、ぜひ参考にしてみてください。

行政支援

各都道府県では、移住者の「継業」をサポートする支援の動きも出ています。

例えば、わかやま移住者継業支援事業として、後継者を求める事業主と意欲ある移住者のマッチングを支援して、継業の経費を最大100万円補助する支援を行っています。

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事業引継ぎポータル

相談から成約に至るまで、中小企業・小規模事業者の方の事業引継ぎを 「事業引継ぎ支援センター」 がバックアップします。

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スクール

地方における後継者不足の問題に着目し「継業」を学べるスクールや合宿などもさまざまなところで行われています。

座学での勉強やキャンプ形式で理解を深めることができるようなプログラムを組んでいるスクールなどもありますので、まずは自分の知りたいことを提供してくれるものを探すのも、最初のステップとしていいかもしれません。

おわりに

いかがでしたか?

今、「自分のやりたいことで仕事をしていきたい」「起業して、地方で暮らしていきたい」といった、自身の能力や経験を生かした働き方、生き方をしたい人は増えてきています。まずは、どのような方法があるのか地方の現状とともにさまざまな情報を得て、自分の中での選択肢を多く持てるようにしておくことをおすすめします。

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著者プロフィール

草野 明日香

草野 明日香

新卒で大手鉄道会社に入社し、営業や開発部門を経験。2017年より“働く人が生き生きとできる、背中を押せることをしたい”とフリーライターとしての活動をスタート。雑誌web記事、創業者などのインタビュー記事執筆を行いながら、地域のフリーペーパー、パンフレット制作等の編集も行っている。また、地域や人を応援できる場づくりにも携わっており、東東京の創業支援ネットワーク「イッサイガッサイ」のイベント企画運営を行っている。お酒好きが高じて、ときどき「スナックあすか」の名前で人や仕事がつながる場づくりにも挑戦中。趣味は、お酒、旅行、お笑い鑑賞。