事業承継入門!事業承継のために覚えておきたい知識とは

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事業承継という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのようなものかを知っている方は多くないでしょう。しかし、事業承継に関わる機会が巡ってきた場合、適切に手続きを進めなければ会社の先行きが見えなくなってしまいます。それゆえに、事業承継の知識を手に入れておくことは非常に重要です。

そこで、事業承継における基本的な知識を紹介していきます。

知識を蓄えることこそ事業承継入門

事業承継入門の段階でしなければならないこと、それは知識を蓄えるということです。知識がない中で事業承継を始めてしまうと本来受けられるはずの制度を利用できなかったり、手続きに不備が発生したりしてしまうことがあります。もちろん、専門家の助言を求めることで解決できることも多いですが、まずは経営者と後継者の両方が知識を蓄えておくことが重要となります。

事業承継は経営者と後継者が共通の認識を持って進めることが欠かせません。どちらかだけが事業承継に詳しくても成功にはつながらないので、あくまで2人ともが事業承継についてのある程度の情報を持っておくようにしましょう。

事業承継とはなにか

事業承継とは、経営者から後継者へと経営権を承継していくことを言います。経営者は会社に関する様々な財産を持っていることが多く、その財産を引き継ぐことも事業承継の1つです。事業承継を行うと自社はもちろん、取引先などにも影響を及ぼすことがあります。

また、税制上のルールもあるので適切な事業承継を行うことは非常に大切といえるでしょう。

また、経営者が代わるということは会社に関わる権利の所有者が代わるということでもあります。単なる人事異動とは全く異なっており、円滑に事業承継を進めることは会社にとって非常に重要なことです。

事業承継を始める前にしなければならないこと

事業承継を始める前に行わなければならないことがあります。それは後継者の決定です。後継者がいなければ事業を承継することは出来ません。日本の企業においては後継者不在による倒産が相次いでおり、後継者を見つけることは極めて重要といえるでしょう。後継者が経営者の親族である場合と、そうでない場合では若干手続きに違いがあります。

いずれにしても見切り発車で事業承継を始めるのではなく、後継者を確実に決めてから進めることが大切です。万が一、事業承継の手続きの途中で後継者を変更することになれば、様々な部分を修正しなければならなくなってしまいます。

また、事業承継を始める前にはお金の準備もしておかなければなりません。事業承継においては経営者から後継者へと自社財産の引き渡しをすることになります。その際には、相続税がかかります。税金を支払うことが出来なければ、事業を無事に承継できなくなってしまいます。それゆえに、あらかじめ資金を用意しておくことが大切です。

事業承継にかかるお金

事業承継にかかるお金は、後継者が経営者の親族かどうかによって変わります。後継者が経営者の親族だった場合は相続税を支払うことになります。事業承継における財産は個人の財産よりも基本的に高額となるため、それに伴って増える相続税も大きいのが特徴です。

また、相続ではなく、贈与という形で引き継ぐこともあります。その場合は贈与税が発生します。相続税と贈与税のうち、どちらが高額になるかはそれぞれの状況によって異なるため、税金の専門家に相談するのが有効となります。

さらに、後継者が経営者の親族でなかった場合、一度相続された経営者の財産を親族から買い取らなければなりません。この場合は相続税よりも大きな費用がかかるため、なおさらお金の準備が重要となります。なお、相続する予定になっている親族がいた場合、あらかじめ話をしておくことも大切です。

事業承継への支援

事業承継に関わるお金を用意できずに事業承継をしてしまうと、会社の財産が没収されてしまったり、事業の存続が出来なくなってしまったりすることがあります。これは倒産にも直結しうる事態です。

しかし、事業承継をきっかけとして企業が倒産することは社会的な損失となるので、地方自治体や国では事業承継に関して支援を行っています。その1つが事業承継税制です。 事業承継税制とは、特定の要件を満たしている場合において適切な申請があれば事業承継に関わる税金の支払いを猶予するというものです。

通常の事業承継税制においては猶予期間が決まっていないため、要件を満たし続けることで事業承継に関わる税金の支払いを猶予し続けることが出来ます。ただ、担保を用意しなければならないので注意しておきましょう。

また、この税制には特例も存在し、特例の場合は10年間という期限付きの猶予となっています。いずれの場合でも要件を満たさなくなった場合、相続税や贈与税などの支払いを命じられることになります。そのため、経営者だけでなく、後継者もその要件について学んでおくことが必要です。なお、この税制を利用できるのは非上場の中小企業となっています。

事業承継税制は国が作った制度なので日本全国どこにある企業でも条件を満たしていれば利用が可能です。ただし、それぞれの地方自治体で、その土地にある企業に絞った支援を行っていることがあるため確認が必要になります。支援を利用することにより、事業承継の負担を大きく軽減できるということも珍しくありません。必ずチェックしておくようにしましょう。

事業承継においてよくある困りごととは

事業承継のよくある困りごとの1つに税制の仕組みが分からないということです。事業承継税制は必要に応じて改定がなされており、最新の規定を知らないという経営者の方も少なくありません。そんなときは税理士や弁護士に相談することが必要です。最新の規定を知っている人物に相談すれば、事業承継を円滑に進めることが出来ます。

税金の支払い猶予の申請は期限が決まっており、その期限をオーバーしてしまうと猶予できなくなってしまいます。そのようなことにならないためにも、事業承継の際には専門家の助言を受けながら進めるといいでしょう。

また、事業承継税制を利用したいものの担保を用意できないというケースもあります。事業承継税制では猶予する税金と同等の担保を用意することが求められます。しかし、非上場株式を全て担保に入れた場合は、たとえその価値が高くなくても猶予する税金と同等であると見なされる仕組みになっています。したがって、不動産などの担保がないという問題は、非上場株式を担保とすることで解決できます。

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