持株会社における事業承継のメリット・デメリット

目次 [非表示]

企業経営者にとって次世代への事業承継は悩みの多い、頭の痛い問題だといえるでしょう。

様々なトラブルの発生や高額の税金の支払いを回避しながら事業承継の手続きをスムーズに進めるためには、持株会社の活用がおすすめです。

持株会社を事業承継に活用する方法やそのメリットやデメリットなどについて、さらに詳しく確認してみましょう。

事業承継は早い時期からの検討が必要です!

事業承継とは自分の後継者に、企業の経営権を引き継ぐ作業のことです。

日本の中小企業では社長自らが事業を起こし企業を成長させ、企業の実質的な経営を社長一人で行うケースが多くなっています。

ワンマン社長が経営する企業には意思決定のスピードが早いといった強みがありますが、一方で社長に何かあると企業活動全体がストップしてしまうという問題があります。

そのため現在は健康であっても、もしもの場合に備えて早めに事業承継を検討する経営者が増えているのです。

事業承継の手続きでは企業が有する個別的な資産だけではなく、事業そのものを一括して承継することが重要なポイントになります。

具体的には企業がこれまでに育ててきたブランド力や技術力、さらに取引先や顧客との信頼関係などを、新しい経営者が引き継ぐことになるのです。

事業承継の手続きがスムーズに行われれば新しい経営者は引き継いだ知的資産や人的資源を有効に活用して、安定した経営を行うことや、事業を効率的に拡大することが可能になります。

日本の中小企業ではオーナー社長が、自分の子供など親族を後継者に指名することが多いようです。

親子間で事業承継を行う場合には財産の譲渡であると判断され、贈与税や相続税などが発生することになります。

企業の価値が高ければ高いほど税金は高額になりますので、税金対策は事業承継の際の重要なポイントだといえるでしょう。

様々なトラブルの発生や高額な税金の支払いを回避しながら、事業承継の手続きをスムーズに進めるためには、持株会社を活用する方法がおすすめです。

事業承継には持株会社を活用しましょう!

iStock-576713682

持株会社とは株式の保有を目的とする企業のことです。株式の保有を通じて子会社を支配する、親会社だと考えるのがわかりやすいかもしれません。

近年では「○○ホールディングス」「○○グループ本社」などといった社名の企業が増えていますが、これらはいずれも1997年の独占禁止法改正により誕生した持株会社に該当します。

持株会社そのものは事業を行わず、子会社が行う事業を間接的に管理・運営することが特徴となります。

企業はその成長に伴って、取り扱う事業の数や種類を増やしていくことになります。

それぞれの事業にはいわゆる成長の限界のようなものがあるため、経営者は経営の多角化により企業規模を拡大していくのです。

企業が成長を続けると社内に複数の事業部門ができて、さらに分社化によりそれぞれが独立した企業へと成長します。

このようにして企業グループが形成されることになります。

企業グループは独立した企業の集合体です。グループ全体の利益を向上させ効率的な経営を行うためには、その中心となる企業が必要になります。

持株会社は企業グループ全体の司令塔として、グループ全体を統括する役割を担うことになります。

さらに持株会社に対しては税制上の様々な優遇措置が適用されます。

中小企業にとっても持株会社の設立は魅力的な選択肢であり、さらに事業承継にも役立つのです。

持株会社を活用した事業承継には様々なメリットがある!

持株会社を活用した事業承継のメリットとしては、まずは承継の手続きが簡略化されることがあげられます。

事業承継の対象となる企業が複数の場合には、通常はそれぞれの企業ごとに株式の所有権を移転する作業が必要です。

一方で持株会社を設立した場合には持株会社の株式の所有権を移転することで、企業グループ全体の実質的な所有権の移転が可能になります。

面倒な手続きを省略することで、事業承継のための作業をスムーズに進めることができるのです。

持株会社を活用した事業承継では、税制面においても様々なメリットが生じることになります。

持株会社を設立する際に株式の移転に必要な資金を金融機関から借り入れた場合には、資産(株式)と負債(借入金)の相殺により持株会社の株価を低く抑えることができます。

現在の経営者が持株会社を設立して後継者に事業を承継すれば、持株会社の株価を抑えることによる贈与税や相続税の節税が可能になるのです。

さらに持株会社が所有する株式には、その含み益に対して一定の控除が適用されます。

それぞれの個別の企業の株式を直接保有するよりも、持ち株会社を通して間接的に保有する方が有利になるのです。

その他には持株会社を設立する際に、企業の経営者は自らが所有する株式を持株会社に売却して現金化できることがあげられます。

非上場の中小企業の株式は一般的な売買による換金が難しいため、適正な価格で現金化できることは大きなメリットだといえるでしょう。

自社株式を現金化することは、納税資金の準備などにも役立つことになります。

持株会社を活用した事業承継ではデメリットに注意しよう!

持株会社を活用した事業承継にはデメリットもあるため、事前にしっかりと検討して慎重に判断することが必要です。

まずは持株会社を設立した場合には、後継者はグループ企業全体を一括して承継することになります。

長男はA社、次男はB社、三男はC社などのように、それぞれの企業を個別に承継することはできません。

持株会社を活用した事業承継は後継者が1人の場合には優れた方法になりますが、後継者が複数存在する場合にはトラブルの原因となる可能性があります。

企業グループの規模が小さい場合には持株会社の設立により、グループ全体でのコストが増加することにも注意をしてください。

持株会社を設立して運営していく際には、法人を維持するための様々な費用が発生することになります。

企業グループの規模が一定以上であれば費用の負担よりも経営の効率化によるメリットが大きくなりますが、規模が小さい場合には持株会社が企業グループ全体の重荷になってしまう可能性があるのです。

さらに節税だけを目的として持株会社を設立した場合には、国税庁から問題視される可能性があることがあげられます。

節税行為が否認され追徴課税を受ける場合などがありますので、実際の手続きについては専門家に相談をしながら慎重に行うようにしましょう。

あわせて読みたい関連記事

実質税負担ゼロで自社株が引き継げる特例事業承継税制とは?
事業承継にかかる贈与税や相続税の負担が軽減される?後継者は知っておきたい特例事業承継税制

特例事業承継税制を検討する際にはおさえておきたい特例の落とし穴
ちょっと待って!知っておきたい特例事業承継税制をとりまくリスクと対応策

事業承継をきっかけに家族ともめたくない方はお読みください
事業承継は先代経営者と後継者の問題だけではない。家族ともめやすい遺留分問題とは?

事業を売却するってどういうこと?
法人の事業譲渡とは?~メリット・デメリットと手続き~まとめて解説

企業の承継は、自社株の引継ぎだけじゃない
事業承継・会社/企業の承継って何?承継と継承の違いも合わせて解説

ゼロイチよりも買収!?これから増えるM&Aについておさえよう
M&Aって一体なに?会社に係るM&Aを基礎知識から理解しよう!

親族での事業承継を考えるポイントをまとめました
事業相続・承継!【親族内承継】って何?納税猶予も含めて解説!

中小企業を長年コンサルしてきた元金融機関行員中小企業診断士が語るシリーズ
事業承継との向き合い方②事業承継を幻にしないために〜誰に引き継ぐべきか〜
事業承継との向き合い方④~なぜモメるのか?親子間のボタンの掛け違いから考える事業承継~
事業承継との向き合い方⑤ 事業を譲る側がすべきこととは〜船に船頭は二人もいらない?〜

登録することで、 利用規約・プライバシーポリシーに 同意したものと見なされます。

関連記事