課税対策で負担を減らそう!事業承継を行うなら一般社団法人の活用がおすすめ!

目次 [非表示]

少子化問題もあり、事業承継に頭を抱える企業も多いのが現状です。また、事業承継は代表者を変えるだけではなく、それに伴う税金も考慮しなければいけません。しかし、法人格の種類はさまざまあり、その会社によって事業承継に発生する課税も異なっているのです。

ここでは、事業承継を一般社団法人で行うメリットや、設立にかかる費用について紹介します。

ポイントを解説!一般社団法人とは

一般社団法人は、同じ目的を持った人が集まり、営利を目的にしない活動を行うことを指します。営利を目的にしない活動であるため、ボランティアと考える人も多いでしょう。しかし、決してボランティアではありません。

一般社団法人は、活動で得た利益を社員に分配しない非営利法人なのです。ただ、社員は、無償で働いているわけではありません。仕事に見合った給料や報酬を受け取ることができます。

一般社団を含む法人制度は、平成10年に設立しました。一般社団法人は、事業内容に制限はなく、基本的に自由な活動を行うことが可能です。会社も登録のみで簡単に設立することができるうえ、活動が軌道に乗らなければすぐに解散することもできます。

また、一般社団法人で働くための特別な資格は必要ありません。活動に共感できるのであれば、誰でも社員として働くことができるのです。 会社を立ち上げると、必ず所得に対しての税金が発生します。しかし、一般社団法人では、法人格が与えられるため、事業が軌道に乗れば減税することが可能です。ここが、個人事業主との大きな差と言えるかもしれません。

また、一般社団法人の本人格を得ることにより、事業内容や財政状況を明確にできるため、社会的信頼につなげることができるでしょう。

一般社団法人と株式会社の違いとは?

一般社団法人と株式会社の違いを知るために、まずは非営利法人と営利社会法人を正しく理解しなければいけません。

非営利法人とは、事業で得た利益を配分しないことです。そのため、その利益は、次に行う活動費に当てられます。一方、株式会社は、営利社会法人です。営利社会法人とは、株式を発行し、株主から調達した資金をもとに事業を行なっている団体を指します。非営利法人と異なり、仕事によって得た利益は、株を保有する株主に配分されるのです。

この一般社団法人と株式会社の大きな違いは、いくつかあります。

たとえば、会社を新しく設立するときの立ち上げ人数です。一般社団法人では設立するためには、最低でも2名以上が必要になります。しかし、株式会社は、株主が1名確保できれば、すぐに立ち上げることが可能です。

また、会社を新しく設立するためには、資本金の出資が必要です。ただ、資本金に金額の条件はありません。そのため、株式会社は、1円から会社を立ち上げることができるのです。しかし、ここで気をつけたい点は、資本金の金額が大きいほど、財政が安定していることが判断できます。資本金の額は、会社の信用と比例していると言えるでしょう。

一方、一般社団法人は資本制度が存在しないため、資本金を出資する必要はありません。社員が集まれば、すぐに活動を始めることができます。しかし、会社を運営していくうえで、最低限のお金は必要です。そのため、一般社団法人では、資本金に変わる基金という資金調達の制度が設けられています。この基金をもとにして、活動を行うことが可能です。

一般社団法人のデメリットとしては、どれだけ売り上げを伸ばしても、証券市場に上場することはできません。上場企業に加われば、知名度や信頼度が高くなり、さらに事業を拡大していくことができるでしょう。しかし、一般社団法人では、事業を成長させていくことはできません。もし将来的に事業拡大を考えているのであれば、一般社団法人ではなく、株式会社で設立する必要があります。

株式会社と比較!一般社団法人で事業承継を行うメリット

事業承継とは、会社の事業を後継者に引き継いでもらうことです。全ての企業が直面する問題であり、避けて通ることはできないでしょう。

事業承継は、単に代表者が変わるだけではありません。事業承継したあとも、会社を運営しなければいけないのです。 また、次の世代に事業を承継するのは、社員や経営のノウハウだけではありません。

株式会社であれば、自社で保有している株式も引き継ぐことになります。しかし、会社の財産とも言える株式を受け継ぐには、多額の相続税が課税されるのです。実際に、この相続税に悩む企業は多いのではないでしょうか。一般的に、株の価値は会社の事業が好調なほど、株の価値も高くなります。そのため、相続する際も、利益の分だけ相続税がかかります。

しかし、一般社団法人では、相続税は発生しません。株式会社とは異なり、相続税の負担を減らして、事業を承継することが可能です。

事業承継で発生する相続税はどうなる?

一般社団法人も、利益がでなければ会社を運営していくことはできません。しかし、利益が出て余ったお金はすべて法人の活動資金にあてられます。そのため、一般社団法人の活動で得た利益は持分ではないため、財産とはみなされません。また、次の世代にも課税の負担をすることなく、事業を承継し続けることが可能です。また、一般社団法人の引き継ぎに、複雑な手続きは必要ありません。

社員を交代する手続きだけなので、手間がかからないのもメリットといえるでしょう。 しかし、一般社団法人で働く社員は、全員に平等の議決権が与えられています。何か取り決めを行うときは、社員を収集し、議決を取らなければいけません。

家族経営の場合、社員の半分が家族であるときは、意見が一致していれば議決を取っても何も問題は起こらないでしょう。しかし、一般社団法人の社員は増える傾向にあります。外部の人は増加すれば、議決権を持つ社員が増えることになるので、思い通りに運営することが難しくなるかもしれません。

一般社団法人の設立にかかる最低限必要な費用は?

一般社団法人の設立は、書類提出と登記手続きのみです。設立にかかる費用は、法定費用と呼ばれる定款認証代、登録免許税をはじめ、印鑑作成代、印鑑証明書取得の手数料を支払わなければいけません。それぞれ金額は異なりますが、合計で12万円以上の金額が発生します。しかし、登録免許税は登記内容によって費用が変わるため、合計金額が変動する可能性があるので注意しましょう。

一般社団法人を設立する際は、個人、もしくは専門の業者に依頼して手続きを行うことが可能です。個人で行えば、コスト面で安く抑えることができるでしょう。一方、第業者に頼めば、手続きにかかる時間が省略され、提出漏れなど問題が起こる心配もありません。

また、設立に関わる社員が多いほど、その手続きも増えるため、必然的に代行業者に依頼する人は多いかもしれません。ただ、個人で手続きを行うこともできるので、十分に検討しましょう。

あわせて読みたい関連記事

実質税負担ゼロで自社株が引き継げる特例事業承継税制とは?
事業承継にかかる贈与税や相続税の負担が軽減される?後継者は知っておきたい特例事業承継税制

特例事業承継税制を検討する際にはおさえておきたい特例の落とし穴
ちょっと待って!知っておきたい特例事業承継税制をとりまくリスクと対応策

事業承継をきっかけに家族ともめたくない方はお読みください
事業承継は先代経営者と後継者の問題だけではない。家族ともめやすい遺留分問題とは?

事業を売却するってどういうこと?
法人の事業譲渡とは?~メリット・デメリットと手続き~まとめて解説

企業の承継は、自社株の引継ぎだけじゃない
事業承継・会社/企業の承継って何?承継と継承の違いも合わせて解説

ゼロイチよりも買収!?これから増えるM&Aについておさえよう
M&Aって一体なに?会社に係るM&Aを基礎知識から理解しよう!

親族での事業承継を考えるポイントをまとめました
事業相続・承継!【親族内承継】って何?納税猶予も含めて解説!

中小企業を長年コンサルしてきた元金融機関行員中小企業診断士が語るシリーズ
事業承継との向き合い方②事業承継を幻にしないために〜誰に引き継ぐべきか〜
事業承継との向き合い方④~なぜモメるのか?親子間のボタンの掛け違いから考える事業承継~
事業承継との向き合い方⑤ 事業を譲る側がすべきこととは〜船に船頭は二人もいらない?〜

関連記事