年末調整をしていても必要?副業をしている人のための確定申告ガイド

ポイント
  1. サラリーマンでも副業する人はどんどん増えており、25人に1人が副業をしている
  2. 副業の給与が20万円超か、給与以外でも「儲け」が20万円超であれば確定申告が必要
  3. メインの会社に完璧にバレないようにするのは難しいが、バレにくくすることは可能

目次 [非表示]

第三章 給与以外で副業収入を稼いでいる場合

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次に、給与収入以外の副業収入を稼いでいる場合の確定申告について、解説致します。

(1)確定申告をすべきかどうかの基準

メインの勤め先からの給与収入があり、副業収入は給与収入以外の場合の確定申告についてです。メインの勤め先からの給与収入があり、給与収入以外の収入がある方のうち、確定申告をすべき方は次の通りです。

・給与収入以外の収入にかかる所得金額(給与や退職金以外)が(複数ある場合はその合計額)が、20万円を超える方

・自分や家族の経営する会社から、不動産などの貸付賃料や、車や器具など設備の使用料、貸付金の利子を受け取っている方

以上の方が確定申告が必要になる方となります。ここでは、このうち、前者の方について、解説します。

確定申告が必要な場合をもう少し詳しくいうと、副業の収入にかかる所得が20万円を超える方が確定申告が必要となる方となります。ここでは「所得」という言葉を使っていますが「収入」と「所得」は明確に定義が異なります「収入」は、得た収入となりますし、「所得」とは、「収入から必要経費を差し引いたもの」すなわち「儲け」となります。

例えば、サラリーマンなどで給与収入を得ながら、一方でFXや仮想通貨での儲け(確定した利益)、挿絵や原稿料などの収入から経費を引いた儲けなどの合計が20万円を超えれば、確定申告が必要となります。

「所得」の金額をもう少し具体的にしましょう。

クラウドソーシングなどでの収入の場合→クラウドソースの外注収入から、仕事に必要になった経費を差し引いた金額

ライター収入の場合→ライター収入から取材などで要した費用など必要経費を差し引いた金額

民泊経営→民泊で得た宿谷代収入から、広告費などの必要経費を差し引いた金額

せどりや輸出入ビジネスなど、仕入れて販売する副業→売上から仕入金額や、手数料などの必要経費を差し引いた金額

FXや仮想通貨などの投資→年間の確定利益

株式のトレードなどの副業→この副業については、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を通して行うことがほとんどだと思いますから、給与収入などとは合算しない「分離課税」での扱いとなります。この場合、確定申告は必要ありません。

なお、副業について開業届を出して青色申告をする方が有利な場合もあります。くわしくは、こちらの記事をご確認ください。

副業でも個人事業主の開業届は出した方が良いのか?ダメなのか?

このように、副業での「儲け」の合計が20万円を超えたら確定申告の義務があります。

(2)会社にバレたくないときの対処方法

確定申告が必要な場合についてはご理解頂けたと思います。では、副業をしていることを、メインの勤め先にバレたくない場合もあるでしょう。完全にバレないようにするのは難しいですが、バレにくくすることは可能です。

バレにくくするには、「確定申告書へのチェック」がポイントです。会社にバレるのは、お住いの市町村からメインの会社に届く「住民税の通知」か「同僚からの密告」です。

後者を防ぐには、とにかくしゃべらないことが一番ですが、前者の「住民税の通知」でバレにくくする方法について解説致します。

住民税の通知はどのようにして作られるのでしょうか。

それは、税務署へ提出された確定申告書が、市町村にも送られ、それをもとに、市町村では住民税を計算し、メインの勤め先である会社に対して、年間の住民税の金額と、毎月天引きすべき住民税の金額を通知します。

この通知は、本人あての通知と、会社あての通知の2種類があります。
本人あての通知には、昨年の所得状況と住民税の算定根拠が書かれています。第二章でも説明したように、個人情報の関係から、シールで隠すなど、所得状況が会社にわからないようにしている市町村もありますが、すべてではありません。

会社あての通知には、毎月天引きすべき住民税とその合計額が記載されています。

毎月天引きすべき住民税の金額に、副業にかかる住民税が加算されていれば、「会社から支給している給与の割には、住民税が多いのでは?」と副業に気づかれてしまうことがあります。

確定申告のときに、ある箇所にチェックをつけることにより、「毎月天引きすべき住民税の金額に、副業にかかる住民税を加算させない」ことが可能です。

確定申告での具体的な箇所は下記の通りです。
確定申告書の第二表に「住民税に関する事項」という項目があります。

「給与から天引き」「自分で納付」どちらかをチェックすることになっています。

「給与から天引き」を選択すると、メインで勤めている会社の「毎月天引きすべき住民税の金額」に副業にかかる住民税も含まれることになります。「自分で納付」を選択すれば、副業にかかる住民税が、会社から天引きする住民税額(特別徴収税額といいます)に反映されません。副業にかかる住民税の金額は、自宅に納付書が届き、自分で納付することになります(普通徴収ともいいます。)

自分で納付に〇を (2)

確定申告書の上記の箇所にチェックを入れ、会社あての住民税の通知に副業にかかる住民税を加算させない方法をとった場合は、副業にかかる住民税は、5月頃に自宅に届く納付書で別途住民税を納付することになります。

副業について、許可している会社に勤めていても、副業の収入について、あれこれ詮索されるのも面倒なものです。確定申告書の上記の箇所には、ぜひ「自分で納付」を選択チェックして頂いて、会社の給与から天引きされる住民税は、会社の給与にかかるものについてのみにしておきたいものですね

(3)確定申告をしなければならないのにしなかった場合のリスク

ここまで読んで頂いて、「確定申告をするのはめんどうだな、せずに済ませられないかな」と思われた方もいらっしゃることでしょう。また、副業でかなり儲けることができて、確定申告をして所得税を納めるのが惜しいという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、確定申告をしなかった場合や、少なく申告した場合には、見つかった場合にペナルティがあります。

どんなペナルティがあるのでしょうか。

・無申告加算税

確定申告をすべきだったのに、しなかった場合には、無申告加算税といって本来納めるべき税額について、50万円までの場合は15%、50万円を超える部分については20%のペナルティが課されることになります。(ただし、税務調査の前に、自主的に納付した場合は、5%となります。)また、申告期限から1か月以内の場合は、課されません。

・延滞税

もともとの期限から遅れて納付するわけですから、利息に相当する延滞税というペナルティも課されることになります。遅れれば遅れるほど、延滞税は多額になりますので、お気を付けください。

・重加算税

所得がないように装ったり、隠蔽したりした場合、悪質だと認定された場合には「重加算税」という重いペナルティを課されることもあります。納めていなかった税額の35%~40%となり重い負担となることが多いです。

確定申告をしなければならないのに、しなかったこということは、法律で書いてあることについて、守らなかったことを選択していることになります。「知らなかった」「わからなかった」という主張では済まされません。容赦なくペナルティがかかります。

わからないな、不安だなと思われることがありましたら、ぜひ専門家である税理士に相談しておきましょう相談料は1時間5,000円~1万5,000円のところが多いように思います。また、初回の相談が無料の税理士もあります。専門外のことについて、頭を悩ませる時間がもったいないと感じられたら、ぜひ積極的に専門家を活用しましょう。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ