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銚子市でキャベツとトウモロコシの生産をメインに、農作物の販売を行なっている「ヘネリーファーム」の代表・坂尾英彦さん。
アフロコーンやアフロキャベツなどの独自のオリジナルブランドを作成し、従来の農家とは一味違ったおしゃれな農業を運営する坂尾さんにこれからの農業のこと、地方で新しいことを始めるために必要なことをご自身の経験からお話していただきました。
自社で栽培した野菜のストーリーを作りたい
坂尾さんは代々農家を営んでらっしゃるとお伺いしたのですが、ご自身は何代目になるんですか?
助っ人編集部
坂尾英彦
少なくとも12代以上続いていますね。正確な文献が残っているわけではないのですが、うちの先祖が家の近くの神社に狛犬を奉納したという記録があって、その人が7代目とかなんですよね。そこから計算するとだいたい12代くらいですね。
12代!歴史がありますね!家業を継がれる時、葛藤などはありましたか?
助っ人編集部
坂尾英彦
僕は高校を卒業して、18歳で就農したんです。でも、その頃は農業をやりたくなくて…
高校生の頃から音楽が好きで、クラブDJをやりたいと思っていたんです。それで、20歳の時にお金をためて上京して、派遣の仕事をしながら夜はDJをするという生活をしていました。
しばらくして、友達とレコードや洋服の買い付けのためにアメリカに行くようになりました。それから、仕入れたレコードを国内で販売することを始めたんです。
そのうち、東京にいる必要も感じなくなってきて、DJも地元の銚子から発信できないかと思うようになりました。
地元にもどると、実家の農業を手伝いながらレコード屋を始めました。他にも、洋服や雑貨を輸入して販売していました。
それなりに売り上げもあってうまくいっていたんですが、先ほどもお話した通り、だんだんPCでDJする流れがでてきて、売り上げが落ちていってしまったんです。
DJ時代の坂尾さん
坂尾英彦
結婚してからは奥さんが子供服の店を開くことになり、子供服の買い付けでもアメリカに行くようになりました。
ネットショップを開設して販売も行っていましたし、ヤフーや楽天などのサイトでも販売をしていたんですが、ネット販売は広告を出さないと売り上げが立たないですよね。
しかも、うちで取り扱っていた商品はオリジナルのものではないので、同じものを販売しているところは他にもあるんです。それが大手だったりすると、対抗できないんですよ。大々的に広告を出すと売り上げは立つけど、利益は下がってしまう。売り上げはあるのに、手元にお金がない状態になってしまったんです。
自社ブランドで製品を作ることも考えたんですが、在庫を抱えることのリスクがあるじゃないですか。在庫を抱えずにオリジナルで販売できるものがないかと考えた時、日々関わっている農業なんじゃないかという答えにたどり着いたんです。
農業がオリジナルブランドに結びつくんですか?
助っ人編集部
坂尾英彦
農家によって土や肥料や収穫のタイミングはバラバラですし、ちょっとしたコツなどもその畑によって違う。これって究極のオリジナルなのではないかと思ったんです。
「生産して出荷して終了ではなく、生産者に届けるまで関わりたい」と思いました。
そこには、ネット販売で経験した様々なノウハウがいかせるのではないかとも思ったんです。
農業のブランディング!アフロキャベツ誕生秘話
農業のブランディングについてお伺いしたいのですが、どのようにアフロキャベツは生まれたのですか?
助っ人編集部
坂尾英彦
本格的にブランディングを始めたのは1年半くらい前からですね。
白いトウモロコシとかは珍しさもあってブランディングしやすいんですが、キャベツはブランディングがしにくいんですよ。
それならまずはキャッチーな名前をつけようと思ったんです。当時、僕自身もアフロヘアだったこともあって、「キャベツも丸いし…アフロでいっか!」と思ってアフロキャベツと命名しました。
そんな感じで決まったんですね(笑)でもぴったりですよね!
助っ人編集部
坂尾英彦
そうなんです(笑)
アフロキャベツってふざけたネーミングだし、インパクトもあるじゃないですか。
そういうところから農業の閉鎖的なイメージを変えたいと思っているんです。
テキトーな名前なのに、やっている人はいたって真面目に農業に向き合っていることも重要かなと思っています。
事業を継承していくことの難しさと挑戦
ご実家を継がれたことについてお伺いしたいのですが、課題に感じていることはありますか?
助っ人編集部
坂尾英彦
結構大変ですよ(笑)実は、うちはまだ農業に関しては親の代のままなんです。
ただ、僕は東京から戻ってきた段階で個人事業主になっているので、「ヘネリーファーム」を設立して農作物の販売や加工などを行なっている会社として運営しています。
引き継ぎの部分では、どういったところが大変ですか?
助っ人編集部
坂尾英彦
僕は、農業をやりながら販売も自分がやろうと思っていて商品も作っているのですが、両親はそれが気に入らないみたいで…勝手なことして販売していると思うみたいですね。
今までの方法を変えなくてもいい、自分で販売しなくてもいいって言うんですよ。
なので、両親とは別で販売するようになりました。
親の農家からキャベツやコーンなどを仕入れて、外部からオーダーを受けて自分で販売する形を取っています。
ヘネリーファームで販売している「カリッとアフロコーン」
簡単には理解してもらえないんですね…
助っ人編集部
坂尾英彦
そうですね…。
仕入れの量も量なので、一定の値段で買い取ってそれに利益を乗せて販売しています。
大変ではありますけど、今のうちに販売に到るまでの仕組みを作っておくことで、今後自分たちが農家を引き継いだ時に円滑に運営できるかなとも思っています。
事業承継では、先代とぶつかるケースも多くあると思うんですがその辺りはどのように対応されていますか?
助っ人編集部
坂尾英彦
親は自分たちとは20〜30も年が違うので、簡単に考えを変えてもらうのは難しいと感じています。
でも、今は時代の流れがかなり早くなっていますよね。そんな時代を自分たちは生きて行く。
親がいうことを守ってその通りにやっていたら完全に時代に取り残されてしまうと思うんです。なので、自分で考えたようにやっていった方が悔いはないと思って動いています。
親世代も家業を引き継ぐ時は大変なことがたくさんあったと思うんですけど、今引き継いで自分たちのやり方で運営しているんですよね。なので、僕も今は大変ですけどそこまで悲観はしてなくて、なんとかなると思っていますね。
取引先などは先代からのお客さんもいらっしゃると思いますが、坂尾さん自身が顧客獲得のためにしていることはありますか?
助っ人編集部
坂尾英彦
もともと農業をやっていない知り合いの方が多かったので、そういうところから紹介してらって顧客獲得に繋がっていますね。
僕は音楽をやっていたこともあって、その関係の人の紹介や、音楽イベントも行っているのでそこで知り合った人などからお客さんの輪を広げています。
逆に業者や個人に対しての営業は特にしてないですね。
後編に続く〜 ブランディングで農業が変わる!次世代につなぐ「楽しい農業」~後編
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