経営者が高齢化する前に!事業承継対策を始めておこう

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日本では少子高齢化問題が深刻化しています。その影響は日本の産業の基盤を支える中小、零細企業にも波及しています。このような企業が、少子高齢化によって抱える問題の一つは「会社の後継者」に関することです。

ここでは、会社の跡継ぎがいない場合の対策や、自分の子供などに継がせる場合の注意点などについて言及します。

少子高齢化の波は中小企業にも

すでに日本では年間の出生数よりも、死亡数のほうが上回る事態が起きています。2018年には日本の70歳以上の人口割合が、初めて2割を超える統計結果が出ました。その影響はいろいろな分野に及びますが、中小や零細企業の経営者にとっても他人ごとではありません。それは自分の経営する会社の跡継ぎの問題に直結するからです。

跡継ぎ選びは中小企業経営者にとってはとても重要な作業です。今まで長きにわたって培ってきた技術や知恵、知識を誰に継承させるかはその会社を存続させる上で極めて大事なことです。

中小企業と大企業で大きく異なる事の一つは、中小企業では会社が社長の持つ能力に依存している点があります。つまり、中小企業のほとんどは、社長と会社が一心同体の存在であり、社長の考える内容によって経営方針が決まります。ですから、跡継ぎを決めることは、会社の今後の方向性を決める事に直結するのです。

後継者不足が深刻に

日本では企業の約3分の2が少子化等の影響により、後継者の不在という事態に直面しています。しかし、中小企業では、社長の子供を後継者にすればよいので、後継者不在にはならないイメージがあります。

けれども、当の子供が、すんなりと後継者になってくれるかどうかは未知数です。中には、全く継ぐ意思がない場合や、継がせるには不安が多い子供である場合には、無理に継がせると会社の存続にかかわってきます。

他にも、企業によっては、特別な技術などを継承させなければならない場合は、それを教え込むまでに長い時間がかかる可能性があります。このように、様々な理由で子供に継がせることが難しいケースもあるのです。

後継者の見つけ方

後継者は社長の子供という選択肢以外にも、その親族の中から見つけるという方法もあります。子供の他にも経営者の兄弟や、娘婿などから選ぶことも出来るのです。他にも、親族間に適切な後継者が見つからない場合には、会社の内部から探す方法もあります。つまり、従業員の一人を経営者にするやり方です。その他にも外部から良い人材を見つけて社長にするというやり方もあります。

これらすべてに共通して大切な事は、その人材が社長としての器が備わっているかという事です。会社内から選ぶ場合には、社員として優秀であったとしても、経営者として人を束ねる力などが備わっているかどうかを判断します。

もし時期社長候補者が能力不足であると感じた場合には、選択肢から外さなくてはなりません。しかし、逆にその欠点を教育して補うことによって、時期経営者として育成することも出来ます。

もう一つ大切なことは、その人材に会社を末永く経営してゆく熱意があるかどうかです。中小企業では大企業と違い、社長が交代することは滅多にありません。何十年物長きにわたって経営を続ける事や、即断即決ができるような能力のある人を選ばなくてはなりません。

事業承継に失敗した場合

跡継ぎがもしも決まらなかった場合はどうなるのでしょうか。

万が一そうなってしまった場合の選択肢の一つとして「廃業」があります。ただし、廃業した場合に失うものは計り知れません。会社の資産を売却したり、負債を清算したりして会社はなくなります。そして、そこで長年にわたり働いていた社員も解雇しなくてはなりません。社員を解雇した場合には、その家族にも影響が及ぶことを認識するべきです。

しかし、中小零細企業の廃業によって失われるものは他にもあります。それはその企業の持っていた独特の技術、誇れる価値なども失われてしまうという事です。 そして、もしも運よく跡継ぎが見つかってもゴールではなく、スタートラインに立ったという認識を持つ必要があります。

社長が交代した場合、中小企業では社長の一存で、大きく経営方針を変えることが出来るからです。その方向性を間違えた場合には、会社が経営危機に陥る危険性も出てきます。無理に会社の規模を広げようと大きな借入をしても、売上を伸ばすことが出来なければ、債務超過や最悪の場合には廃業という道を辿る事にもなりかねません。

ですから、社長が交代した場合でも、前社長はその会社が誤った方向に向かないように目を光らせておく必要があります。

M&Aという選択肢

廃業させたくない場合には、会社の全部もしくは一部の事業を売却するという方法があります。それは「M&A」と呼ばれており会社の譲渡や売却、統合など幅広い意味を持ちます。この方法を採れば、後継者が見つからなくても会社を存続させることが可能です。

M&Aを行うメリットの一つに、従業員の雇用の確保があります。売却により従業員の給料は減る事も考えられますが、雇用は維持できる可能性が高くなります。

他にも、長年培ってきた会社の持つ誇れる技術や、価値もその身売り先で存続させることが出来ます。 さらに、会社の持つ特殊技術などの売却によって、金銭的な収入を得ることが可能で、会社の持つ技術力が優れているほど、その収入も比例して大きくなるでしょう。

一方で、M&Aのデメリットもあります。それは、売却や譲渡によって会社の名称が消滅することです。長年続いてきた会社の名がなくなる事はつらいことですが、会社の事業は存続させることが出来ます。

跡を継がせる場合には元気なうちに準備をする

会社を存続させる為には、早いうちに対策を取ることが一番です。その為には、社長が元気なうちに後継者選びを考え始めておくこと方が良いでしょう。例えば、社長が70代くらいになり、引退を考えるようになってから始めるよりも、できれば50代くらいのうちに、将来のことを考え始めることが出来れば、時間的に余裕が出来ます。

また、後継者選びから了承までに要する時間は意外なほど長く掛かることも、早い時期に事業承継を始めたほうが良い理由の一つです。長い場合には数年程度の時間を要する事もあります。それ以外にも、社長が健康状態の不安を抱えている場合であれば、なおさら早い方が良いでしょう。

他の会社にはない技術力や、得意分野をもつ中小や零細企業を存続させることは、日本の将来の為にとても大事なことです。優秀な中小零細企業を廃業に追い込まないためにも、また従業員とその家族の為にも色々な手段を取って存続させていきましょう。

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