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事業承継を行う際には数百万円~数千万円程度の費用が必要となります。そのため、いざ事業承継をするタイミングになって思っているよりも費用がかかり、必要なお金が用意できなくて困ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、事業承継にはどんな費用がかかるのかや事業承継の際に利用できる融資制度などについて紹介します。
事業承継に必要なのはどんなお金?
事業承継には親族内承継と親族外承継の2種類があります。親族に事業を承継するかどうかで支払う税金の種類が変わるので注意しましょう。
まず、親族内承継の場合にかかる税金は相続税です。相続税の計算方法は相続時の取得金額に応じた税率をかけ、控除額を引きます。相続税における基礎控除額は3,000万円+法定相続人の数×600万円であり、法定相続人が多ければ多いほど控除額も大きくなります。
また、子や孫が事業を継承する場合、相続時精算課税制度という制度を使うことができます。この制度は贈与者が60歳以上、受贈者が20歳以上の場合に2,500万円の控除を受けることが可能です。
一方、親族外承継の場合は贈与税がかかります。贈与税も相続税と同じように、金額に応じて税率が高くなる累進課税制となっており、相続税よりも基礎控除額が少ないので親族外承継の場合は贈与税が高くなりがちです。
また、不動産の所有権を移転するにあたって必要な登録免許税や不動産取得税も必要となります。ただ、登録免許税は固定資産評価額の2%、不動産取得税は土地・住宅だと3%、非住宅だと4%と相続税・贈与税よりは負担が少ないです。
事業承継の際に利用できる融資制度にはどんなものがある?
事業承継を行う場合、銀行から融資を受けるのが一般的です。しかし、経営が苦しいなどして銀行の審査に通らないこともあります。そんな際には事業承継用の融資制度を活用するといいでしょう。
事業承継用の融資制度として日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」が挙げられます。日本政策金融公庫は中小企業や国民の生活を支援する機関であり、国の法令に基づいて設立された特殊法人で沖縄県を除いた46都道府県に展開しています。沖縄県の場合は内閣府が運営する沖縄振興開発金融公庫の扱いとなるので注意しましょう。
事業承継・集約・活性化支援資金は中小企業を対象に地域経済の維持・発展のために事業の承継の資金調達を支援する制度となっています。 この融資制度の対象となっているのは事業承継計画を既に立てている人・事業承継を機に新しい事業を始めようとしている人・中小企業経営承継円滑化法に基づき認定を受けている中小企業・事業承継の際に銀行に融資を申し込んだけれども断られた人です。
日本政策金融公庫は銀行に融資を断られた人でも融資を受けることができるので審査に通りやすいと言えるでしょう。 なお、事業承継・集約・活性化支援金では最大7億2千万円の融資を受けることができます。また、金利も最大3%と銀行から融資を受ける場合よりも低いです。ただし、審査にかかる時間が長く、場合によっては審査に数か月かかることもあります。
事業承継・集約・活性化支援金を利用する流れは?
事業承継・集約・活性化支援金を利用する際はまず日本政策金融公庫の支店に相談しに行きましょう。他にも、定期的に商工会議所で定例相談が行われているので、そちらで相談しても問題ありません。
この際に会社案内や事業計画書など融資の審査に必要な書類を持参すればより詳しく相談に乗ってもらうことができます。ちなみに、相談で申し込みに必要な書類など具体的なことを確認するので、相談をせずに日本政策金融公庫への申し込みをすることはできません。
相談が済んだら申し込みをしましょう。申し込みの際には会社案内・法人の登記事項証明書・最新3期分の決算書/税務報告書・納税証明書が必要です。また、設備投資を行う場合は見積書等概要がわかる資料、決算月から時間が経過している場合は最近の試算表など場合によって必要な書類が増えるので相談の際に必要な書類について入念な確認をしましょう。
申し込みが済んだら審査です。審査では住宅ローンを組むときなどと同じように申込者本人の社会的信用や収入から返済能力を確認するだけでなく、その後に会社や事業計画予定地に実際に日本政策金融公庫の職員が訪れて事業に関する質問をされることもあります。
ただ、日本政策金融公庫は金利が低いので申し込む人が少なくありません。そのため、担当者の視察のスケジュール調整が難しく、審査が終わるのに時間がかかってしまう場合があります。したがって、日本政策金融公庫に申し込む際は時間に余裕をもって申し込みましょう。
審査に通るといよいよ融資です。日本政策金融公庫の場合は一括で資金が振り込まれます。その後は毎月一定の金額が口座から自動的に振り替えられるようになっているので、毎月の支払いを忘れずに行いましょう。
返済方法は基本的には元金均等割賦返済方式となっていますが、元利均等払い方式など様々な返済方法に対応してもらえるので元金均等割賦返済以外の返済方法を利用したい場合は申し込みの際に相談しましょう。
また、設備投資資金の調達に日本政策金融公庫を利用した場合、実際にその資金を使って設備の購入が行われたかどうかの確認として日本政策金融公庫への報告に加え、現地調査や固定資産台帳への計上確認などが行われます。
助成金・補助金も活用しよう!
事業承継には多額の費用が必要ですが、少しでも借金の金額を安く抑えるために助成金や補助金を活用するのがいいでしょう。
事業承継の際に使える補助金制度として「事業承継補助金」があります。この制度では事業承継をきっかけに斬新な新商品の開発や生産、生産方式などを導入した中小企業を対象としており、数百万円の補助金を受け取ることが可能です。
ただし、受給にあたっては審査が行われており、申し込んだ人全員が受け取れるというわけではありません。ですが、日本政府が事業承継の支援に力を入れていることから採択率が高くなる見込みがあり、申し込んでみると良いでしょう。
それ以外にも、事業承継を機に雇用を見直し、ハローワークなどを経由して35歳以下の未経験者を採用した際に受け取れるトライアル雇用助成金や、高齢者・母子家庭の母などを雇用した際に受け取れる特定求職者雇用開発助成金など活用する企業も多いです。雇用に関する助成金制度はたくさん存在しているので、この制度を使って事業承継にかかる費用をまかなうのも良いでしょう。
ただ、補助金や助成金は受け取りまでに時間がかかるうえに受け取れない可能性もあります。そのため、補助金・助成金で受け取れるお金に頼ってしまうと事業が失敗してしまったり、経営が苦しくなってしまったりします。したがって、補助金・助成金を受け取ることができた際に事業承継にかかる費用に回すのは良いですが、最初から補助金・助成金を受け取れる前提で事業承継計画を進めるのはやめましょう。
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