目次 [非表示]
会社を存続させるにあたって、事業承継は避けることができません。事業承継をしようと考えたところ、意外とお金がかかるので、いざ事業承継を行うタイミングになって資金が足りないために事業承継ができないということはあってはいけないでしょう。
そこで、この記事では、事業承継の際に資金を調達する手段にどんな方法があるか紹介します。
事業承継にはどんなお金が必要?
事業承継をする場合、親族内で承継する場合と、M&Aなど親族外承継の場合で必要な資金が異なります。まず、親族内承継には相続税や贈与税がかかります。中小企業の事業承継にかかる費用の中で最もかかるのがこれらの税金であり、実際に事業承継の際にかかる税金の高さに悩まされている人は多いです。
ただ、相続税や贈与税に関しては、経営承継円滑化法により、相続の場合80%、贈与の場合は全額5年間にわたる納税猶予が受けられます。また、親族内承継の場合、何代も続いている会社だと自社株式が分散している可能性があります。それを買い取るための資金も必要です。
そして、親族外承継の場合も株式を買い取る必要があります。それに加えて、事業を取得するための資金も必要となるので、事業承継には数百万円~数千万円単位のお金が必要なことが多いです。
事業承継の流れは?
事業承継はかなり時間がかかるものなので計画的に行わなければ失敗する可能性があります。失敗しないためにも事業承継の手順を把握しておきましょう。
事業承継を始めるにはまず事業承継計画を立てることから始める必要があります。事業承継計画では承継する事業の現状を把握することが大切です。この段階では、まず会社の従業員数、持っている資金・資産、経営者の資産などの状況に加え、後継者候補のリストアップを行います。
その情報をもとに承継方法・後継者を確定した上で、中長期の経営計画や事業承継の時期などを記載した事業承継計画書を作成します。事業承継計画書が完成したら、その計画を実現するための資金を調達しなければいけません。必要な資金が手元にあれば良いですが、そうでなければ銀行などから融資を受ける必要があります。
そして、資金が調達できたら事業承継を実行します。親族内承継の場合、後継者が業務のノウハウを理解していないことが多いです。そのため、後継者の育成に力を入れて引き継ぎ作業を行うこととなります。また、親族外承継の場合は、自社株の引き継ぎや債務保証など、企業経営を行う上でのリスクに関する情報共有を忘れずに行いましょう。
さらに、M&Aの場合は会社の環境が大きく変わります。そのため、社内体制を一度見直すことが大切です。
どこから資金調達をすれば良い?
事業承継の際の資金調達方法には様々な方法があります。
まず挙げられるのが銀行からの融資です。この方法が最も一般的と言えるでしょう。会社を経営していく上で銀行との付き合いは長年にわたって続きます。そのため、承継する前から利用している銀行から事業承継にかかる資金の融資を受けることになることが少なくありません。
さらに、銀行から融資を受ける場合、会社経営に関するアドバイスを受けることができます。事業承継に関しても計画立案の段階からサポートをしてもらうことができるので、銀行と相談しながら事業承継を進めていくと良いでしょう。
ただ、銀行の融資の審査に落ちてしまうなどして融資が受けられない場合もあります。そんな時の選択肢として日本政策金融公庫に融資の申し込みをすると良いでしょう。
日本政策金融公庫では中小企業向けに「事業承継・集約・活性化支援資金」という融資制度を設けています。
日本政策金融公庫は銀行よりも金利が低いことが多く、資金に余裕がない場合はこちらから融資を受けることも視野に入れておくと良いでしょう。ですが、日本政策金融公庫は審査期間が長いので、それを踏まえた上で申し込む必要があります。
返済不要!補助金を活用しよう!
事業承継の際に銀行や日本政策金融公庫などから融資を受けることができますが、借金はできるだけ少なく抑えたいでしょう。そんな時にぜひ活用すべきなのが補助金です。事業承継に使える補助金として「事業承継補助金」があります。
事業承継補助金は事業承継やM&Aなど中小企業の新しいチャレンジを応援する目的で設置された制度で、中小企業庁が運営しています。年に1度だけ募集されており、事業承継をするならこの制度を知っておくべきと言えるでしょう。
事業承継補助金には1型と2型の2種類があります。1型は親族内外に関係なく経営者を交代するタイプの事業承継に適用されます。この際に新商品・事業・生産/販売方法の導入や事業活性化に繋がる取り組みを行う企業が対象です。1型に応募するには日本国内で事業を営む中小企業者等であること・地域経済に貢献していること・すでに事業承継が済んでいることが条件となっています。
万が一事業の承継が済んでいない場合は承継予定者が経営経験がある・同業種に関する知識がある・創業/承継に関する研修等を受講しているという3つの条件のうちどれかを満たしている必要があります。この場合には人件費や設備費などを最大500万円受け取ることができます。
一方、2型に関してはM&Aなど事業再編・事業統合の際に利用できます。この場合は法人の代表者交代・個人事業が廃業し、その事業を別の法人に譲渡する場合・法人から事業譲渡を受けて個人事業を開業する場合・法人間における事業承継の場合に適用されます。応募条件・補助対象となる経費は1型と同じです。なお、2型の場合は1型よりも支給される金額が多く、最大1,200万円を受け取ることができます。
しかし、事業承継補助金を受け取ることができるのは申し込みから半年後です。そのため、資金に余裕を持って申し込みましょう。また、事業承継補助金には審査があり、この審査をクリアしないと補助金を受け取ることができません。画期的な新事業のみが対象となっているので、しっかりと事業承継計画を立てた上で申し込むべきと言えるでしょう。
ただし、2が型は融資額が大きいので審査が厳しく採択率が50%台となっており、受け取ることが難しいでしょう。一方、1型だと採択率が70~80%程度で、5社のうち3~4社は審査をクリアしています。したがって、1型なら補助金を受け取れる可能性が高いと言えます。
おすすめの関連記事
会社を継ぐなら知っておきたい!事業承継税制と担保提供の仕組み
事業承継にかかる贈与税や相続税の負担が軽減される?後継者は知っておきたい特例事業承継税制
M&Aって一体なに?会社に係るM&Aを基礎知識から理解しよう!
事業承継との向き合い方① 〜事業承継から目を背けるな!中小企業にふりかかる後継問題〜
ちょっと待って!知っておきたい特例事業承継税制をとりまくリスクと対応策