独立した後の保険等の手続きについて

会社に勤めているときは、あまり意識することのない社会保険ですが、独立するとなると、今まで会社任せにしていた社会保険を自分でどうするか考える必要があります。

この記事では、会社に務めているときの社会保険にどのようなものがあるか、退社時にはどういう手続きがあるか、独立後の社会保険はどのように考えるべきかについて説明します。

会社で入っている社会保険とは?

社会保険は病気、失業、老後の生活など、社会生活におけるリスクを軽減するために、あらかじめ備えておく保険です。

会社員や公務員など職種によって名称が異なりますが、保険の内容は同じです。

一般的な会社の場合、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険(労働者災害補償保険)と呼ばれる4つの保険が社会保険です。

企業によっては、後者2つを労働保険と呼ぶこともありますが、この記事では区別せず社会保険とします。社会保険は会社に就職すると強制加入となります。

その代わり保険料は会社と被保険者の折半で払います。保険料は月々の給与から天引きされます。一度給与明細を確認してみるとよいでしょう。

それぞれの保険の内容について説明すると、まず健康保険は医療を受ける際に医療費負担を軽減するものです。

現在(2019年)は一般の会社員は3割負担となっています。次に、厚生年金は定年後の生活を支えるために一定年齢から年金を支給するものです。

現在の支給年齢は65歳です。雇用保険は失業保険ともいわれており、失業したときに次の働き口を探すまでの間に給料の代わりとなる失業手当てを払う保険です。

失業するまでに働いていた年数や失業に至った経緯、もらっていた給与額によって給付期間と給付額が決まります。

期間は最短で90日、最長で1年です。新しく勤め先を見つけると働いていた年数は0から数え直しになります。

そして、労災保険は業務に起因する怪我や病気などに対して補償を行なうものです。通勤時の事故などによる怪我や病気にも適用されます。

会社を辞めるときの手続き

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社会保険は会社が加入しているので、解約の手続きは全て会社がしてくれます。大変なのはその後の手続きです。

やってくれる人はいないので、自分で全て手続きする必要があります。特に健康保険は重要です。

日本は皆保険制度を取っているので、健康保険に加入しないことは認められません。そのため、何かしらの保険に入らないと最悪の場合罰金が科されます。

さらに、加入期限は加入資格が発生した日(会社を辞めた日の翌日)から14日です。

これ以上加入が遅れると手続きをした日から、最長2年まで遡って請求されますので、早めに手続きをしましょう。

また、年金保険も1986年4月から国民全員が国民年金への加入を義務づけられています。

会社に勤めている間は厚生年金に国民年金が含まれているので問題ありませんが、会社を辞めても国民年金には加入し続けないといけません。

なお、厚生年金では専業主婦の配偶者は保険料を払わなくても国民年金が受け取れますが、国民年金に切り換えた場合、配偶者の分も保険料を支払う必要があります。

これも早めに手続きしないと未納期間となり将来の年金額が減ってしまうので注意しましょう。

独立後の社会保険はどうするか

独立した後の社会保険については、個人事業主と起業して会社を設立する場合で少し異なります。

まず、個人事業主の場合ですが、4つの保険の内、失業保険と労災保険には加入できません。

個人事業主は仕事がなくても失業ではないので、失業保険はあきらめるしかありませんが、労災については、一般の自動車保険や障害保険などで、ある程度代替できます。

次に、健康保険は国民健康保険に切り換えるか、勤めていた会社の健康保険を任意継続するという選択があります。

後者は2年しか継続できず、加入期限や支払い期限に1日でも遅れると資格を喪失し再加入はできないという厳しい点がありますが、扶養家族がある場合、国民健康保険は家族の人数分保険料を払うのに対し、家族全員分が1人分の保険料で済むというメリットがあります。

ただし、会社にいるときには折半していた保険料が全額負担になるため、保険料は2倍になります。

国民健康保険に切り換えた場合と比較して、メリットがあれば2年間は任意継続するのがよいでしょう。

もし、共働きで奥さんが扶養家族ではなく会社の保険に入っている場合、収入が少ない内は奥さんの扶養家族に入れてもらうのも1つの方法です。

けれども、収入が奥さんの年収の半分未満で130万円以下、連続した3ヶ月の平均月額収入が108,334円未満という条件があるので、収入に波がある場合は注意が必要です。

そして、厚生年金については継続できないので、加入が義務づけられている国民年金に切り替えます。将来の年金額に不安があるなら私的年金に加入するのもよいでしょう。

とはいえ、月々の支払額で困窮するのでは本末転倒ですので、無理のない範囲で考えましょう。

さらに、起業して会社を設立した場合、従業員がいなくても社会保険に加入する義務があります。

けれども、例外条件として報酬がゼロまたは一定金額より低い場合は逆に加入できません。

例えば、2016年の時点で東京都の場合、月額12,000円以上の報酬がないと健康保険が払えない計算になるので加入できませんが、報酬が十分あるなら、1人でも健康保険と厚生年金には加入する必要があります。

加えて、従業員を雇った場合は、雇用保険と労災保険にも加入しなければいけません。

社会保険加入の手続きとして、健康保険と厚生年金は会社の設立から5日以内に、会社の所在地を所轄する年金事務所に届け出をします。

必要な書類は「健康保険・厚生年金保険新規適用届」、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」です。

なお、役員や従業員に扶養家族がある場合は「健康保険被扶養者(異動)届 」も提出する必要があります。

いずれの書類も日本年金機構のWebサイトからダウンロードが可能です。

「健康保険・厚生年金保険新規適用届」には会社の登記簿謄本の原本を添付しなければならないので忘れないようにしましょう。

次に、雇用保険と労災保険は従業員を雇ったときに加入します。雇用保険は会社の所在地を管轄するハローワークに届け出をします。

必要な書類は「雇用保険適用事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」です。

どちらも従業員を雇った翌日から10日以内に提出する必要があります。書類はハローワークのWebサイトからダウンロードが可能です。

ちなみに、「雇用保険適用事業所設置届」を出すときには登記簿謄本の原本を見せる必要があるので持っていきましょう。

そして、労災保険は会社の所在地を管轄する労働基準監督署に届け出をします。

必要な書類は「保険関係成立届」、「労働保険概算保険料申告書」です。

「保険関係成立届」は従業員を雇用した日の翌日から10日以内、「労働保険概算保険料申告書」は保険関係が成立した日から50日以内に提出しなければいけません。

書類は厚生労働省のWebサイトからダウンロードが可能です。

なお、「保険関係成立届」には登記謄本原本、労務者名簿、賃金台帳、出勤簿、就業規則届(従業員が10人以上の場合)を添付する必要があります。

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